>>巨人・原監督に「若林のせいにするな」ファン激怒裏目に出たスクイズ指示、試合後コメントも物議<<
優勝目前での連敗だ。打線は適時打に欠き、新人王争いの真っ只中にいる戸郷翔征も満塁弾を食らうなど(5回5失点)、チームの調子は落ちているのは明白だ。「平内に投げてほしい」発言は敗戦ゲームへの悔しさから出たものだが、プロ野球界に選手を送り出すアマチュア指導者にとって、“最高の賛辞”になったようだ。
「東都リーグの真っ最中です。平内は東洋大戦に先発し、初回こそ失点しましたが、回を重ねるごとに良くなり、自ら志願して、9回のマウンドに向かいました」(アマチュア野球担当記者)
日程上、大学生は秋季リーグ戦の最中にドラフト会議を迎える。
その影響だろう。指名された選手は、指名されなかった選手の“嫉妬”に合う。ピッチャーが相手なら、プロ野球の世界に進めなかった悔しさをバントで返し、バッターが相手なら餞別代わりに「長打」をお見舞いしてやろうと必死になる。また、指名された側に変な緊張感が出て、本領を発揮できないという。
「巨人に1位指名され、最初の登板です。そこで完投勝利を飾ったということは、平内は精神的にも強く、指導者もしっかり教育してきたわけです」(前出・同)
“指名後の洗礼”は今に始まったことではない。見方を変えれば、指名後に評価を上げる選手もいれば、その反対もいるのだろう。
「昨年、中日に4位指名された郡司裕也(慶大)は、指名後の4年生最後の秋季リーグ戦で三冠王を獲得しました。スカウト、中日首脳陣は彼に対する評価を上方修正し、そのまま開幕一軍となりました」(プロ野球解説者)
平内も故障さえなければ、開幕一軍入りとなりそうだ。
もっとも、足踏み状態の続く原巨人だが、同日の戸郷の敗戦は痛い。新人王争いはもちろんだが、24日の阪神戦ではエース菅野が負けているだけに、「先発ローテーションのエース、2番手が揃って調子を落としている。日本シリーズは大丈夫か?」の声も出始めた。
「菅野は開幕から続いていた連勝記録の精神的な疲労、戸郷も自身の勝敗がそのままチームの好不調に直結する緊張感の中で投げ続けてきました。優勝争いをするチームの宿命と言えば、それまでですが」(前出・同)
原監督は早く優勝を決めてしまいたいと思っているはず。令和の時代に根性論は合わないが、プロの世界では「最後はメンタル」だ。まだプロで1球も投げていない大学生を称賛した指揮官の言葉を、発奮材料に替えられなければ、今年の日本シリーズもヤバそうだ。(スポーツライター・飯山満)