>>手越祐也、山口達也容疑者に「思いは変わらない」“手越村”構想に言及、疑問の声も<<
かねてからアルコール依存症の疑いが指摘されていた山口容疑者。2018年に酒が原因で肝臓を患い入院し、退院直後に番組で共演していた女子高生にわいせつ行為をはたらいたとして書類送検された。その際には、「酒を飲んでいて覚えていない」と説明している。また、山口容疑者は2016年に元モデルの妻と離婚した過去があり、その原因も酒だったという。
そんな山口容疑者を含め、アルコールに溺れた人は、なぜ失敗と反省を繰り返しながらも酒を断つことができないのだろうか。
まず、アルコール依存症の人たちには、症状の進み具合に応じて行動に特徴が出てくる。
初期は本人に依存症の状態にあるという自覚がなく、指摘しても認めないことがよくある。また、飲んだことを隠そうとする様子が見られる場合もあり、それが原因で周囲の不信を買ってしまうこともある。
症状が進行すると、アルコールによって脳の働きが慢性的に低下し、次第に現実逃避傾向と自己中心性が目立つようになり、責任転嫁や責任放棄なども見られるようになる。また、感受性も麻痺して相手を思いやるような気持ちが薄れ、粗暴になることも多い。
さらに進行すると、何もかもがどうでもよくなったり、自暴自棄になり、目の前の快楽しか求めなくなるような状態になる。正常な判断は困難となり、周囲との人間関係が完全に崩壊してしまうことも少なくない。
そして、一度アルコール依存症になってしまうと、離脱症状がひどく、やめたくてもやめられない状態に陥りやすい。離脱症状は、手や全身の震え、不眠、発汗、吐き気、血圧の上昇、不整脈といった自律神経の症状をはじめ、イライラ、集中力の低下、幻聴や幻覚などがあり、深刻であることが分かる。これらは再びアルコールを摂取することで一時的に緩和するため、また飲酒を繰り返してしまう。アルコールが原因で引き起こした失敗について、本人がその時いくら反省してもまた飲酒を繰り返してしまう場合は、こうした離脱症状に悩まされた結果であることも多い。
また、社会的信用を失ったり人間関係が破綻してしまうことによる孤独感の増大や、たびたび人格が否定されることによって、自己否定的な考えが強くなりやすい傾向がある。その結果、自暴自棄やうつ状態に陥りやすくなり、再び酒に手を出してしまうという負の連鎖に苦しめられている人も少なくない。
アルコールに溺れた人が何度も失敗し、反省しても酒がやめられない理由として、こうした精神依存や身体依存の他、つらい離脱症状などが挙げられる。
アルコール依存症は自己流での治療が極めて難しく、治したいと考えている場合は専門の医療機関にかかる必要がある。治療開始が早ければ早いほど改善しやすいといわれているため、疑いがある場合は早めに専門機関に行くべきだ。
しかし、中には、専門施設で治療を行っても再びアルコールに振り回されてしまう人もいる。こうしたことからも、アルコールの日常的な過剰摂取が与える人体や精神への影響の深刻さが分かる。
アルコール依存症を予防するためには、そもそもストレスや孤独感を解消するツールとして酒を利用しないことが望ましい。そして、飲む時には、くれぐれも自分の体に適した摂取量にとどめるよう心がけたいところである。
文:心理カウンセラー 吉田明日香