同戦の福谷は7回まで広島打線を5安打無失点に抑える好投を見せていたが、8回に連打を浴び1死一、二塁のピンチに。ここで打席に立った鈴木誠也に4球目を投じた際に足をかばうような仕草を見せ、与田剛監督も状態確認のためマウンドに足を運んだが、福谷は続投を志願し鈴木を空振り三振に打ち取った。
ただ、与田監督はこれ以上は危険と判断したのか、鈴木を打ち取ったところで福谷の交代を決断。すると、福谷は帽子で顔を隠し涙を流しながら自軍ベンチへ下がり、ベンチ内でもしばらくうなだれたまま号泣。後を受けた中継ぎ陣が無失点に抑えたため「7.2回無失点・被安打7・1四球・8奪三振」で3勝目を挙げたが、試合後のヒーローインタビューでは「悔しかったのが一番。情けない姿を見せてしまった」と最後まで投げ切れなかった悔しさを口にしていた。
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福谷の姿に、ネット上では「好投したのに涙流して反省って意識高すぎる」、「打たれて号泣なら分かるが、抑えて号泣っていうのはなんか不思議」、「昨シーズンの不振を考えると十分過ぎるほどやってくれたと思うけどなあ」、「今日は打って投げての大活躍だったから、もっと胸を張ってもいいと思う」と驚く反応が多数寄せられている。
「2013年にプロ入りした29歳の福谷は当初セットアッパーや抑えを務めていましたが、昨シーズンから先発に転向した選手。ただ、昨シーズンは右肩痛や椎間板ヘルニアといった怪我の影響で、一軍登板がわずか1試合のみと結果を残すことができませんでした。しかし、今シーズンは同戦を含め『3勝2敗・防御率2.89・33奪三振』と安定した投球を見せている上、同戦ではプロ初安打を含む『2安打・1打点』とバットでもチームに貢献しています。称賛に値する働きを見せたことは明白なのですが、それでもなお悔しさをあらわにする姿に驚いたファンも少なくないようですね」(野球ライター)
試合後、与田監督からは「よく頑張ってくれた。先発ローテの柱になっている」とねぎらわれている福谷。今回は惜しくも逃したが、自身初の完投・完封を達成する日もそう遠くないのかもしれない。
文 / 柴田雅人