だが、ラミレス監督から「戻したらどうか」と、好調だった2016年のフォームを戻すアドバイスを受けた後の7月14日、久しぶりのスタメンに名を連ね、同点の1アウト満塁で打順が回ってきた4回に、ショートゴロとはなったものの、必死のヘッドスライディングで打点をもぎ取る。この後、今シーズン初安打の他にもう1本ヒットを放つ活躍を見せ、この日が調子を上げて行くターニングポイントとなった。
その後は、ラミレス監督の「対左ピッチャーの時の打率がいい」との理由で、徐々にスタメンの機会を増やしていき、7月30日には決勝打を放つなど月間打率.381をマーク。8月に入ると約半数の試合でスタメン起用され、8月9日には初回満塁決勝ホームランなど活躍。最近では相手が右ピッチャーでも、更に2番でも起用されることもあり、バントをせずとも右方向に転がしランナーを進めるチームバッティングも披露。また、好球必打で若いカウント、特に0-2までは打率5割を超えるが、同時にファールで粘るスタイルも復活し、2-2やフルカウントでも高打率を残すなど、打ち取り辛い打者としてもチームに貢献している。
3年前まではショートの不動のレギュラーだった倉本だが、2018年は85試合出場に留まり、昨シーズンに至ってはわずか24試合出場で、打率.121と不本意な成績に終わった。しかし、今年はすでに35試合に出場し、打率3割を超える活躍。大和、柴田竜拓と共にトロイカ体制で二遊間を形成する重要な戦力となっている。「結果を残すしかない」。年頭に誓った言葉を着実に形にしている今シーズン。6年目の背番号5が、悔しさを背にもう一度輝きを取り戻し始めた。
取材・文・写真 / 萩原孝弘