同戦はスタメンではなくベンチスタートだった福留は、「1-3」と阪神2点ビハインドの6回裏2死一、二塁の場面で代打起用されると、2点タイムリーツーベースを放ち試合を振り出しに。その後「4-4」で迎えた8回裏1死一塁の場面では、バックスクリーンに決勝2ランホームランをたたき込んだ。
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代打での登場から「2打数2安打・1本塁打・4打点」と大活躍を見せた福留に、ネット上には「福留がいなかったら確実に負けてた、救世主になってくれてありがとう」、「43歳でバックスクリーンにあんなホームラン打てるのは凄すぎる」といった称賛の声が多数寄せられた。一部では、「代打から決勝2ランって流れはWBCを思い出すな」、「あの時のWBCと同じように生き返ったな」といったコメントも挙がっている。
福留は中日時代の2006年、MLB・カブス時代の09年にそれぞれWBCに出場した経験を持っている選手。06年WBCでは今回の試合と同じように、代打出場からチームを勝利に導く劇的な一打を放った試合がある。
06年3月18日、アメリカ・ペトコパークで行われたWBC準決勝・日本対韓国戦。王貞治監督率いる侍ジャパンの一員として大会に参加していた福留だが、試合前時点で「.105・1本・2打点」と絶不調。同戦ではスタメンから外れベンチスタートとなったが、「0-0」で迎えた7回表1死二塁のチャンスで王監督は福留を代打に起用した。
初球、2球目を見逃し、カウント「1-1」となった後の3球目。同戦で実況を務めていたTBS・松下賢次アナウンサーが「生き返れ福留!」と叫んだ瞬間、福留は相手投手が投じた直球をフルスイング。打球はライトスタンドへ一直線で飛び込む、値千金の先制2ランホームランとなった。
福留の一発で勢いに乗った日本はこの回に5得点、8回にも1点を追加し「6-0」で韓国を粉砕。福留は迎えた同月20日の決勝・キューバ戦でも9回に代打で2点タイムリーを放つ勝負強さを見せ、「10-6」の勝利、並びに日本の優勝に大きく貢献した。
日本を救ったこの一打について、福留は19年11月13日放送の『戦え!スポーツ内閣』(MBS)で当時の心境を明かしている。福留によると、韓国戦の7回、先頭の松中信彦(当時ソフトバンク)がツーベースを放った瞬間に「あっ、代打俺だ」と直感したといい、同じタイミングでベンチから代打を告げられたとのこと。また、打席でも初球を見逃した瞬間に「あっ、打てるかも」と、直後の劇的弾を予感していたという。
福留はWBC以降も現在に至るまで、たびたび勝負強さを発揮しチームを救っている。19年5月5日のDeNA戦では、セ・リーグ最年長記録となる42歳0カ月でのサヨナラ2ランホームランを放ってもいる。
14年が経った今でも“伝説の一打”として、多くのファンの間で語り継がれている福留の代打決勝2ラン。16日の試合での福留の大活躍を受け、当時の記憶が蘇ったファンも多かったようだ。
文 / 柴田雅人