関西地区で活動しているプロ野球解説者が「トラ救援陣」について、こう説明する。
「矢野燿大監督は藤川をクローザーで使う予定でした。今年40歳になる年齢も考慮し、途中で休ませる時期も設けなければなりません。頼りになるセットアッパー、藤川のリフレッシュ休暇中の代役クローザーとして、スアレスを獲得しました」
スアレスは2016年にソフトバンク入りしたが、トミー・ジョン手術を受けた影響で近年は精彩を欠いていた。ようやく、本来の調子を取り戻したのか、同日の登板も150キロ台後半のストレートを連発させていた。しかも、試合後、こんなコメントも発していた。
「今日はセーブのつく場面(での登板)だったから、楽しんで、チャンスを生かそうと思って投げたよ」
今季、クローザーが本調子ではないチームが少なくないのだ。広島のスコットは不振で二軍落ち、巨人・デラロサも早くも故障で戦線を離脱してしまった。それだけではない。(以下成績=同時点)
※
DeNA 山崎 0勝1敗6S 防御率4・70
ソフトバンク 森 0勝1敗3S防御率3・12
千葉ロッテ 益田0勝1敗7S防御率3・27
東京ヤクルト石山1勝1敗4S防御率4・22
阪神 藤川 0勝2敗2S 防御率15・75
※
東北楽天、埼玉西武などクローザーが好調なチームもある。しかし、クローザーの不振は「逆転サヨナラ」の楽しみを増やすかもしれないが、これだけ揃って不振だと、何か他に原因があるかもしれない。
>>元阪神・下柳氏、藤川の“異変”を指摘「全然らしくなかった」 降格前に感じた右肩故障の予兆とは<<
真っ先に考えられる原因は昨季までの登板過多による勤続疲労だが…。
「無観客試合が影響しているのかもしれません。今、各球場とも上限付きでの入場が許されましたが、大きな声を上げるのはNGとされており、球場がシーンとしています。クローザーのモチベーションのせいではないか」(ベテラン記者)
昨季まで、クローザーがアナウンスされるのと同時に球場全体が盛り上がっていた。今季はそれがない。
「そもそも、今季はオリンピックイヤーだったので、例年よりも約1週間早い開幕が予定されていました。2月のキャンプも体力強化の週を飛ばして、いきなり実戦に近い練習となりました。その分、選手たちは自主トレ期間を長くして調整していましたが、加えて新型コロナ禍でペナントレースのスタートが約3か月も遅延してしまいました」(前出・プロ野球解説者)
スケジュールがメチャクチャになり、特に投手陣は精神的にも疲れているのだろう。
12球団のチーム防御率を見てみると、4点台が9球団もある。クローザーは「1球の失投」が命取りになるので、先発投手よりも不振が分かりやすい。その意味では、好調で投げることにも飢えていたスアレスのいる阪神が息を吹き返してくるのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)