1953年のNHKの放送開始から日本のテレビの歴史は報道番組とともにあったといっても過言ではなく、その日にあった重大な事件や事故をテレビは一日も休むことなく我々に伝え続けている。
さて、そんなニュース番組は生放送であることが多く、小規模ながら毎日何かしらのトラブルや放送事故が発生しているものだが、今回はニュース番組としてはあまりに致命的といえる放送事故をご紹介したい。
1986年11月25日朝8時ごろ、千代田区有楽町の三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)有楽町支店で、現金輸送車が謎の3人組の男に襲われ、現金約3億3000万円が強奪されるという事件があった。
「第二の三億円事件」とも言われるこの事件は、当時国際テロリストによる犯行ではないかとも噂され、東京中がパニックになっていた。
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各テレビ局は速報扱いでこのニュースを報じ、様々な情報が日本中を駆け巡った。当時、フジテレビ系の朝のワイドショー・情報番組『おはよう!ナイスデイ』も同様にこの事件を追っていた。
『ナイスデイ』は事件の最新情報を視聴者へ伝えようと、フジテレビの報道デスクへ中継をつないだ。
すると、報道局にいた露木茂アナウンサーが、大笑いしながら周りのスタッフと語り合う姿が大写しにされたのだ。
これに『ナイスデイ』司会の桑原征平アナウンサーが「あ!笑ってらっしゃる!露木さーん」と呼びかけるが反応はなく、中継は再びスタジオへ。これには桑原アナも苦笑いするしかなく、「ちょっと連絡がつかなかったようなんですけれど、えー、露木さん、本番前にちょっとリラックスされてたんでしょうかねぇ。失礼いたしました」と謝罪した。
しばらくして再び中継がつながり、そこには先ほどの満面の笑みとは打って変わりキリっとした表情の露木アナの姿があり、「突然来たものですから」と弁解する姿が放送された。
このハプニング映像は、露木アナがフジテレビを定年退職した今、放送される機会はほとんどないが、かつてはハプニング大賞などの番組にたびたび使われ「ベテランアナの笑える映像」として扱われた。
この時、露木アナが何に大笑いしていたのかはいまだに明らかになっていない。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)