試合は、リング内外にラダー、テーブル、イス、一斗缶、大型バケツ、竹刀、レゴなどが設置され、場外カウント、ロープエスケープ、反則カウントは無しのルールで行われ、佐々木とイサミのバチバチの竹刀合戦で開戦。佐々木からさんざんこき下ろされていた勝俣も大奮闘して、三者が入り乱れて、一進一退の攻防が続いた。20分過ぎ、勝俣は佐々木をイス盛りの上へのペディグリー、さらに佐々木の体の上にイスを置いて、ムーンサルト・フットスタンプを炸裂させて追い込んだが、イサミがカット。その後、急所攻撃で勝俣の動きを止めた佐々木が佐々木式ウラカンラナで丸め込んで、3カウントを奪取し、24分を超える大乱戦を制した。
試合後、イサミが「今日の負けは認めます。佐々木さん、次はシングルじゃねぇか?」とアピールするも、佐々木は「疲れたから、10年後」と回答。イサミは「せめて五輪イヤー、来年会いましょう!」と期日を指定して、リングを降りると、佐々木は「次の挑戦者はオレが決めさせてもらう。高梨将弘だ!」と骨折により欠場中の高梨を逆指名して退場。
バックステージで佐々木は「もうイヤだ。ハードコアなんか2度とやりたくない。プロレスもしばらくやりたくない。家に帰りたい」と疲労困ぱいの様子。イサミのアピールに関しては、「満足した。オレのプロレス人生に悔いない。10年後にしろ。来年まで家から出ない」と話した。高梨に関しては、「休んでるのか?じゃあアイツの家でやる。アジア代表として指名してやった。このベルト、本来の形、ユニバーサルに戻す。アイツが戻るんなら、オレも復帰する。オレの緊急事態宣言は終わっちゃいねぇ。外に出たくない。(高梨は)足の1本、2本折れててもできんだろ?プロだろ?」と話し、あくまでも高梨とのタイトル戦にこだわっていた。だが、高梨は3月に左足の腓骨と脛骨(けいこつ)を骨折し、復帰のメドがまだ立ってないだけに、佐々木の希望が通るかどうかは流動的だ。
イサミは「ベルトには興味ある。佐々木、勝俣という人間に興味出てきた。ハードコアでもいいし、レスリングを堪能したい。DDTだけじゃなく、プロレスに飢えてる。本当の意味でプロレスがしたい。お客さんの前に出た時に、すごい自分になってやりたい。(佐々木と)前回やったのは4、5年前。五輪イヤーの来年には(シングルで)実現したい。それまで何回か当たるかもしれないし、DDTなりBASARAなり見てほしい」とコメント。
この試合でさらに評価を高めた勝俣は「佐々木に指名もらった時から、自分の1パーセントを信じて、この闘いに挑んだ。イサミさんが入ってきたら、0.5パーセントになったのかもしれない。血だらけだけど、こんなボコボコにされても生きてる。まだ終わらない、覚えとけ!」と雪辱を誓った。勝俣は映画『ジョーカー』を彷彿とさせるペイントをしてから、吹っ切れたのかレスラーとして急成長中。セミファイナルのタイトルマッチを張っても異論がない選手になった。これはDDTにとっても大きなことである。
今回は敗れてしまったが、次にチャンスが訪れた時、DDTの“ジョーカー”が天下を獲る可能性は高いだろう。
(どら増田)