両選手とも、「無症状だった」という。育成を含めた全選手91名と、首脳陣、スタッフなど計218名の希望者に対し、巨人は抗体検査を行っていた。その結果、坂本たちが“感染して、回復していたこと”が分かったのだ。
「巨人スタッフの説明した通り、2人はかなり以前に新型ウイルスに感染し、回復していたそうです。坂本、大城の入院も発表され、詳しい検査を受け直し、『陰性』が確認でき次第、チームに再合流すると。回復して時間も経過しているようなので、2人とも開幕戦には間に合いそう」(スポーツ紙記者)
巨人は一連の新型コロナウイルス禍において、かなり厳しい予防に努めてきたのは本当だ。他球団がOKした「距離をおいての質疑」に関しても自粛を要請し、手洗い・うがい等においても選手にやり直しをさせる厳しさを見せていた。
「坂本、大城は早期再合流もできそう。開幕戦に間に合わないとしても、チームの戦力面には大きな影響は出ないでしょう」(前出・同)
他球団も巨人の徹底した予防対策を知っているからか、今回の迅速な対応に理解を示していた。しかし、こんな声も聞かれた。
「12球団は開幕戦に向け、ペナントレース開催中の感染予防策をまとめたマニュアル作りに奔走しています。もちろん、専門家の監修のもとに進められていますが、マニュアルはあくまでも『予防方法』であって、感染者を出してしまった場合の項目は『無い』に等しい」(球界関係者)
感染者を出してしまった場合、どう対応すればいいのか。その後のペナントレースはどうなるのか…。今回の巨人の発表は、新たな問題提起にもなったようだ。他のスポーツ興行団体も注目しているという。
今さらだが、今春のキャンプ中の出来事が思い出される。
「坂本はインフルエンザで2度、チームを離れています。短期間で2度も感染したのだから、インフルエンザにかかりやすい体質とし、もっと配慮していたら…」(前出・同)
同日、奇しくも、新型ウイルスに感染し、再起を目指す阪神・藤浪晋太郎が二軍での練習試合に登板した。3イニングを投げているが、2イニング目から突如球速を失い、味方捕手やコーチが何度もマウンドに行った。力みすぎて、右胸の筋肉を痛めてしまったそうだ。失った信頼を取り戻そうとし、空回りした結果でもある。
「巨人が希望全員の検査を行ったのは5月29日からの3日間でした。一部からは非難の声も出ています。『全員の検査結果を待ってから、6月2日スタートの練習試合に臨む選択もあったはずだ』と。責任を感じている首脳陣、球団スタッフもいました」(選出・スポーツ紙記者)
坂本は、チームの主将でもある。責任感が強すぎて自身を必要以上に追い込むことがないよう、周囲も配慮しなければならないだろう。(スポーツライター・飯山満)