パ・リーグ6球団の球団社長がオンライン会議を開いた(3月31日)。6球団で意見交換し、そこで認識が一致したのは「4月24日の開幕戦実施は難しい」ということ。会議の様子についてコメントした福岡ソフトバンクホークスの後藤芳光球団社長によれば、「全日程の143試合を消化できなくても仕方ない」とのこと。12球団は4月3日に代表者会議を開く。そこで、パ・リーグの総意として「開幕戦のさらなる先送り」が提案され、ペナントレース再開のおおよその目安(時期)などが話し合われることになった。
「反対意見は出ないでしょう。セ・リーグの側からすれば、阪神からウイルス感染者を出してしまい、引け目みたいなものもあります。『24日以降の開幕』を提案しにくいので、むしろ、パ・リーグからの提案は有り難いは思っているはずです」
年長のプロ野球解説者がそう言う。
また、パ・リーグ球団の某スタッフによれば、問題はセ・リーグではなく、「選手会だった」と言う。
「開幕戦が5月になれば、日程は過密スケジュールとなり、もしかしたら、『クライマックスシリーズをやらない』とか、『日本シリーズが12月に行う』なんてことになるかもしれません。オンライン会議前、ある球団の幹部が、2011年の東日本大震災で選手会と話し合った時の議事録を確認していました」
同年、球界は開幕戦の日程を先延ばしにした。当時、「12月に日本シリーズを行うような事態になっても?」という確認がされ、選手会はそれを了承していた。パ・リーグはそのことを踏まえた上で、『24日以降の開幕』を3日の代表者会議で提案することを決めたそうだ。
しかし、こんな情報も交錯していた。
「セ・リーグは藤浪投手の感染を受け、パ・リーグよりも先に集まっています。その後、セ・リーグ球団の要人が私見と前置きして、『今季は125試合で』と話していました」(球界関係者)
125試合。どういう意味かというと、「今季は交流戦18試合をやらない」ことを指している。交流戦をやらない代わりに、クライマックスシリーズを確実に行う。確かに、クライマックスシリーズはプロ野球ファンの関心も高く、その頃には騒動も収まっていくかもしれない。そうなれば、試合減による損失も多少は取り戻せるだろう。
決して悪い話ではないと思うが…。
「セ・リーグとパ・リーグは、交流戦に対する考え方が全く違います。セは負け越しの続く交流戦が大嫌いで、パ・リーグはステータスを高め、かつドル箱カードだと解釈しています。開幕戦を5月以降に先延ばしする案では12球団が合致しますが、その後、試合数を減らすという流れになったら、交流戦をなくすのか、通常のペナントレースをなくすのかで、意見が割れるでしょう」(前出・同)
巨人・坂本には今季、2000本安打の名球会入りが懸かっている。「あと116本」なので、ペナントレースが120試合程度に減っても記録到達は間違いないだろう。7月13日までに116本のヒットを打っていれば、31歳6か月での達成となり、プロ野球史上最年少記録になる。だが、この状況では「歴史を塗り替える」ことは、ほぼ不可能となった。坂本自身はこだわっていないようだが、巨人はセ・リーグの中では交流戦の勝率が高いほうである。坂本の発奮がなければ、ペナントレースの行方に影響が出そうだ。(スポーツライター・飯山満)