この予言は、通称「エコノミスト誌の予言」と言われるもので、世界有数の政治経済誌であるエコノミスト誌の年末恒例特集号「世界はこうなる(The World in ○◯(来年の年号)」の表紙には、何らかのメッセージが含まれているという都市伝説を下敷きにしている。「5月11日に日本で地震が起きる」という噂は、2014年末に発売された「2015年世界はこうなる」の表紙に「11.5」「11.3」と数字が書かれた矢が2本描かれていた事から来ている。欧米では日にちを「日、月」の順で表記するため、「11.3」と書かれた矢は3月11日に発生した東日本大震災を指し、そこから「11.5」は「5月11日に同じくらいの規模の地震が起きる」ことを意味しているのではないかと言われたのだ。
この予言は2015年以降、毎年5月11日が近づく頃になると、ネットを騒がせるものなのだが、今年は実際に11日朝に茨城県沖を震源とする地震が発生、北関東に緊急地震速報が出る事態となり、すわ予言が当たったのか、もっと大きな本震が襲ってくるのではと話題になった。
また、11日に本当に地震が起きるかもしれない、と多くの人に思わせた現象として、「前日の5月10日、多数の家庭で電波時計が狂ったという報告が上がった」という点も外せないだろう。
毎日基準になる電波を受信し、時刻を自動修正することで、ずれない時計のはずなのだが、正確な日時を表示しなかったり、急に時計の針がぐるぐる回り出した、止まってしまったなどの情報が相次いだのだ。
地震予知の中で、大きな地震が起きる時には電波時計が止まる、という予兆現象が確かに報告されている。また、そこから電波時計を用いて地震予知を行えないか研究している人もいるようだ。
しかし、今のところ明確な因果関係は確認できておらず、また今年の2020年はうるう年のため、2月29日以降日付が1日ずれるエラーが起きる機種が出てくると、標準電波を送っている情報通信研究機構も説明している。このことから、5月11日の地震騒動は「もともとずれる可能性が多い年だった」ことと、「日時のずれが発生したのがたまたま地震が来ると噂になっていた日時に近かった」ことの二点が合わさって、騒動になってしまったのではないかと考えられる。
(山口敏太郎)