最短で6月19日の開幕戦開催を目指し、5月11日、12球団代表者会議が開かれる。最終決定は翌12日のオーナー会議に持ち越されるが、同代表者会議前に「新型コロナウイルス対策連絡会議」があり、そこで改めて専門家から“感染予防策”についてレクチャーを受けるという。ここでペナントレース開催の“前向きな意見”が出ることが大前提だが、新たな問題も浮上してきた。移動手段である。
「ペナントレースに移動は付きもの。主に新幹線、飛行機を利用していますが、『移動』が頻繁になると、感染防止にはなりません」(球界関係者)
「一般利用客との接触を無くす」という意味で、浮上してきたのがバス移動である。
映画・メジャーリーグで選手一行がバスに揺られ、深夜の長距離移動を強いられるシーンがあった。筆者も米マイナーリーグ、同独立リーグを経験した日本人選手に「バス移動の辛さ」を質問したことがあるが、
「一人で2席確保できたら、少しは眠れるが、そうでないときは床で…」
「逆に体が疲れてしまい…。でも試合があるから休むわけにもいかず」
などと語っていた。
日本内であれば、そこまで大袈裟にはならないが、バス移動による疲労は避けられないだろう。
「特にピッチャーは大変でしょう。先発投手は先日か、前々日に移動すると思われますが、ほぼ毎日ベンチ入りするリリーフ投手は体調管理だけでも苦労しそう」(ベテラン記者)
しかし、メジャーリーグではバス、飛行機を乗り継いで、「試合開始の2、3時間前に到着」なんてこともある。
「今オフのメジャー挑戦が予想される巨人・菅野、日本ハム・有原らのピッチングに注目です。ホームでの成績よりも、ビジターでの登板が注目されるでしょう」(前出・同)
先発投手は前日入りとなるだろうが、1日で移動の疲れを取ることができるのかどうか疑問だ。それも、新幹線、飛行機での快適な移動ではない。
「先発投手の投げるイニング数を短くし、リリーフ投手を多めに注ぎ込む継投策が考えられます。でも、リリーフ投手も移動で疲れているので、監督はその日に使うリリーフ投手と休ませるリリーフ投手を事前に決めるなどしなければなりません」(前出・同)
チームのエースともなれば、リリーフ投手全員を休ませ、完投するくらいの気概も求められる。それができなければ、メジャースカウトも評価してくれないだろう。
「エースのプライド、責任感で無理をしてしまうかもしれません。菅野は自主トレ期間中も若手投手を同行させるなど、“親分肌”なところもあります。年齢的にもリリーフ投手たちは後輩ばかりなので、『自分は5回まで投げて、後はよろしく』ということはできないでしょう」(前出・球界関係者)
同じくペナントレースの開催を目指すメジャーリーグでは、アリゾナ州など3州に全30球団を集めるプランも同時協議されてきた。日本では「移動のリスク」はほとんど触れられてこなかった。開幕戦が6月19日に決定するとしても、解消しなければならない課題は多い。移動による体力ロス、エースの意地、菅野智之にとって真価の問われるシーズンとなりそうだ。(スポーツライター・飯山満)