1月の東京ドーム大会終了後、シングルのタイトル戦線から一時的に離れてしまった棚橋と飯伏にとって、“新たなテーマ”を何処に向けていくのか注目されていたが、ドーム大会翌日の大田区総合体育館大会で、2人は当時IWGPタッグチャンピオンチームだったジュース・ロビンソン&デビッド・フィンレーとチームを結成し、G.o.D率いるバレットクラブと対戦。試合後、棚橋が「飯伏とはタッグも面白い」とコメントし、飯伏も「(プロレスを広める)方法は一つじゃない」と語り、シングルだけではなくタッグにも興味を示したことが始まりとなっている。
先シリーズのアメリカツアーでは、飯伏が病気のため欠場したものの、棚橋は挑戦に向けた“種まき”をし続けた。このツアーでは、G.o.Dがジュース組からIWGPタッグ王座を取り戻し、9日の大阪・大阪城ホール大会では、リターンマッチを主張するジュース&フィンレーとともに、棚橋と復帰を果たした飯伏もチャンピオンチームを挑発。新日本はまず棚橋&飯伏に挑戦権を与えた。
新日本本隊の日本人タッグチームで最後に同王座を巻いたのは、2017年3月の天山広吉&小島聡が最後。G.o.Dは天山&小島と並ぶ6回戴冠という同王座最多戴冠記録を更新中。IWGPタッグ王座の顔になりつつある。シングルでの実績は十分な棚橋&飯伏だが、タッグとなると違って来る。棚橋は真壁刀義や柴田勝頼、オカダ・カズチカらライバルたちとこれまでドリームタッグを結成してきたが、戦績には恵まれていない。しかし、飯伏の棚橋を慕う気持ちが、タッグとして必要な阿吽の呼吸に繋がり、G.o.Dのラフ&パワー、そして連携に苦しみながらも、2人は声を掛け合いながらこれを凌ぎ、飯伏がタマにカミゴェを見舞うと、場外のタンガとマネージャーの邪道をプランチャで排除。その隙に棚橋がハイフライフローを決めてカウント3。棚橋&飯伏が見事、一発獲りに成功している。
約15年ぶりに同王座を戴冠した棚橋は「飯伏!やっと本隊にベルトが戻って来たな」と、しばらく無冠状態だった新日本本隊にベルトをもたらせたことを喜ぶと、「俺たちは永遠に防衛するから!」と生涯防衛宣言。最後に「愛してまーす!」で締めようとしたところ、背後から鈴木軍のタイチとこの後楽園ホール4連戦では試合が組まれていないザック・セイバーJr.が2人を襲撃。次期挑戦者に名乗り上げた。棚橋&飯伏がこのベルトを巻いたことで、外国人選手のイメージが強かったIWGPタッグ王座戦線が新展開に突入する可能性は極めて高い。そのためにも、棚橋&飯伏には長期政権を期待したいところだが、いきなり曲者を相手にすることになりそうだ。
(どら増田)