記者会見には、サイバー社の藤田晋社長、ノア・グローバル社の武田有弘社長、DDTの高木三四郎社長や、ノアの丸藤正道を始めタイトルホルダーが登壇。藤田社長からは「当社では1997年に旗揚げされたプロレス団体 株式会社DDTプロレスリング(以下DDT)を2017年9月にグループ化しております。インターネットテレビ局「AbemaTV」を通じた試合の中継や、「DDTの木曜TheNIGHT」といったレギュラー出演番組の放送、ファンの皆様に喜んでいただける興行、サービス拡充等を行うとともに、ブログ・SNSを通じて幅広い方にプロレスの面白さや魅力を伝え、所属するレスラーの認知向上を図ることで、団体の成長に取り組んでおります。一方、ノアは団体名が表すようにプロレス界の“方舟”となるべく、華やかな演出と激しい闘い、魅力あるレスラーを特徴に多くのファンに支持されておりますが、近年、経営が安定しないという状況が続いておりました。このような背景のもと、DDTと同時期に旗揚げされ、また近年、交流を深めていたノアの経営安定・団体成長を目的に、ノアのサイバーエージェントグループ参画について合意するに至りました。今後、ノアは経営の安定化を図るとともに、グループシナジーを活かし、ファンの方に喜んでいただける興行の実施、サービスの拡充を行ってまいります」と今回買収に至った経緯が説明された。
サイバーエージェント体制になっても、ノア・グローバル社の社名に変更はないが、役員は高木三四郎社長、丸藤正道副社長が新たに就任し、武田氏は「私が現場の中心で回していく」と話しており、執行役員として今後もノアに携わっていくとのこと。
藤田社長に経営手腕を買われて2団体の社長となった高木社長は「このたび株式会社サイバーエージェントのもと、DDTプロレスとプロレスリング・ノアは同じグループ企業として共存共栄していく運びとなりました。それぞれ独立した立場ではありますが、今後は同じグループ企業としてオフィスワークを共有してまいります。私、高木三四郎は社長兼務という形になりますが、プロレスリング・ノアで担うのは企業経営部分です。現場に関しては一切タッチせず、プロレスリング・ノアの選手・スタッフに一任致します。DDTプロレスではこれまで以上に楽しく、激しく、デタラメなドラマティック・ストーリーをファンの皆様にお見せしていきます。これからも変わらぬご声援の程、よろしくお願い致します」とコメント。そして、「ノアさんの発信力は我々も見習う部分がある。ただ、資産を残す作業をお手伝い出来たらと思う」と語り、現在、新日本プロレスが独走している業界の1位を目指していく意向も明らかにした。
DDTとノアのオフィスワーク共用などにより経営の合理化を図るとともに、選手がプロレスに集中できる環境を整え、サポートしていく。さらに、インターネットテレビ局「AbemaTV」の格闘チャンネルにて、ノアの試合・番組の配信を行うほか、さいたまスーパーアリーナで開催するDDT年間最大のビックマッチ「Wrestle Peter Pan 2020」にもノアの選手の参戦も決定。早速、DDTの竹下幸之介はノアの若きエース、清宮海斗との対決を熱望しており、実現するのか注目だ。日本武道館再進出を目指すノアにとって、今回の買収劇は大きな後ろ盾を得たことになる。現在放送中のCSチャンネルでの放送に加えて、AbemaTVや世界に発信している動画配信サービスDDT UNIVERSEで放送されるのはメリット。2020年はプロレス業界の勢力図が大きく変わる年になるだろう。
(どら増田)