どちらも日本球界ではトップクラスの打者ということで、これまでの歴史を塗り替えるような活躍が期待されている両名。ここではその歴史の一つとして、日本人野手のメジャー1年目における打撃3部門の歴代1位記録をそれぞれ見ていきたい。
メジャー1年目における日本人歴代1位の打率は、2001年にイチロー(オリックス→シアトル・マリナーズ)がマークした「.350」。2000年オフにオリックス(1992-2000)からマリナーズへポスティング移籍したイチローは、前年まで7年連続でパ・リーグ首位打者を獲得。ヒットを打つことに関しては、日本で右に出る者はいないといっても過言ではない打者だった。
日本人野手初のメジャーリーガーとなったイチローだが、海の向こうでも変わらず快音を連発。1年目にしていきなり首位打者、最多安打(242本)、盗塁王(56盗塁)のタイトルを獲得し、さらにマリナーズが所属するアメリカン・リーグの新人王やMVPにも選出されるなど、まさに記録ずくめのルーキーイヤーとなった。
日本人ルーキーの最多本塁打記録は、2018年に大谷翔平(日本ハム→ロサンゼルス・エンゼルス)が放った「22本」。投手と打者を両立する“二刀流”の選手として日本ハム(2013-2017)で活躍した大谷は、2017年オフにエンゼルスへポスティング移籍。高校時代から公言していたメジャー挑戦の実現は、数多くのメディアによって広く伝えられた。
注目のメジャー1年目。大谷は右ひじの靭帯を損傷したことにより、投手としては10試合しか登板できず。しかし、打者としては104試合に出場し、日本時代の2016年に並ぶ自己最高タイの数字となる22本塁打をマークしている。
メジャー1年目の日本人打者が残した最多打点記録は、2003年に松井秀喜(巨人→ニューヨーク・ヤンキース)が記録した「106打点」。巨人(1993-2002)で長らく4番を務め、この間に本塁打王、打点王にそれぞれ3回ずつ輝いた松井。その実績を引っ提げ、2002年オフに海外フリーエージェント(FA)権を行使しヤンキースへ移籍した。
前年に50本塁打を放っていたこともあり、異国の地でもアーチを量産することが期待された2003年の松井だったが、迎えたシーズンで松井が放った本塁打は16本と激減。一方、打点については日本時代とそん色ない数字をマークしている。
現時点での打撃3部門の最高記録はどれもハードルの高い数字となっているが、もし塗り替えた場合は大きな注目・話題を集めることは確実。アベレージヒッターの秋山には打率、そしてパワーヒッターの筒香には本塁打、打点の記録更新を大いに期待したいところだ。
文 / 柴田雅人