戦極ライト級の絶対君主にとって同リングは安住の地ではなくなった。
3・5戦極旗揚げ興行でTKO勝ちして以来、2度目の出陣となったこの日は、メーンに登場し、現DEEPライト級王者の韓国人戦士ハン・スーファンを迎え撃った。
「向こうはカウンター狙いだったし、チャンピオンだからなかなか攻めてこなかった」。日韓ストライカー対決は静かな立ち上がりだった。互いにけん制し合った1Rだったが、五味は時折ノーモーションから繰り出す右のローキックをさく裂させた。必殺のパンチこそヒットしなかったが、ローキックで小刻みに有効打を与えていった。
2R序盤にも強烈な右のロー。だが「右の蹴りで自分が倒れるかと思った」と振り返るようにこれで右足を負傷してしまい、ここから決定打はなし。終盤に放ったジャンピングニーも仕留めるまでにはいかなかった。戦前から危惧されていた夏バテがたたったのか、3Rには動きが止まり右フックをアゴにぶち込まれる一幕もあった。結局、最後までKOできずに、辛くも判定3-0で勝ち名乗りを聞いた。
明らかに不完全燃焼に終わった五味。試合後はバツが悪いのかマイクを握って「良いところで決められないのがオレって感じ」と自虐的に笑うしかなかった。無理もなかった。この日のライト級GPでは期待の日本人戦士が軒並み目の覚める勝ちっぷりだったからだ。
それだけにベスト4の日本人戦士については「日本人には負けません」「たくさん強い挑戦者が集まった様子なんでトーナメントの優勝者とベルト懸けて闘います」などと威勢良くコメントするので精一杯。来年開催が見込まれているGP覇者とのタイトル戦に向け、ベスト4の日本人戦士が台頭してきたことにより「完璧にもっていく」と迎撃態勢をとることを強調しながらも「メーンでこけちゃった。もうみんな(GPベスト4の日本勢)に任してもいいんじゃないかなって思う内容だった」と危機感を募らせている。
次戦はあくまで負傷した右足の状態次第だが、早ければ11月の大会でワンマッチを行う見込みという火の玉ボーイ。20代最後の試合で、世代交代の波にさらされた戦極ライト級不動のトップファイターは、今後その座を守ることができるのだろうか。