このロック葬には芸能界から多くの者が参列した。スタッフの名前を見るだけでも、芸能プロダクションの重鎮の名前がずらりと並ぶ。弔事を読んだ堺正章は、古くからの音楽仲間として知られるが、中には意外な人物もいた。彼ら、彼女らと内田さんの関係を紐解いてみたい。
ひと際目を引いたのがTRFのリーダーであるDJ KOOである。KOOといえば小室哲哉ファミリーとして知られる。TRFが基調とするテクノサウンドと、内田さんの硬派なロックサウンドは「水と油」のようにも思えるが、意外にもつながりがあった。デビュー時に内田さんにあいさつをする機会があり、サングラスを取ろうとしたら「いいよ、ミュージシャンなんだから」と言われたエピソードがある。内田さんの粋な計らいが感じられるエピソードではあろう。
指原莉乃は2014年に内田さんとコラボした音楽「シェキナベイベー」を発表している。この時、内田さんは70歳を超えていた。それでも20代の若いアイドルとコラボを成し遂げる野心が感じられる。
さらに、元タレントの田代まさし氏の姿も会場にはあった。田代氏はラッツ&スターとして、顔を黒塗りメイクにしたミュージシャンとして活躍していた。洋楽志向の強い内田さんとは相通ずるものがあったのだろう。芸能界の偉大な先輩として最後の別れを惜しんだのだろう。
こうして見ると内田さんは、芸能界の内外に幅広い人脈を築いていたとわかる。義理の息子の本木雅弘が述べた通り、「予定“不”調和」を生き抜いた稀有な人物だといえるだろう。ご冥福をお祈りしたい。