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西田隆維のマラソン見聞録 第16話「箱根駅伝予選会」

 10月9日、シカゴで開催された『シカゴマラソン』で福士加代子が2時間24分38秒の自己新記録で堂々の3位入賞。マラソン2度目の挑戦で「センスの良さ」を知らしめた。

 最近では男子だけでなく女子マラソン界も停滞の一途をたどっており「世界との力」がドンドン開く一方であった。そんな中で「トラックの女王」がマラソンに本格参戦。3年9カ月前に『大阪国際女子マラソン』で初マラソン大惨敗を喫した女王は前回の失敗を糧に再挑戦。見事なタイムで完走した。

 結果だけをみると24分台は現・日本女子マラソン界のトップクラスに位置するが、その中の平均タイムと言っていいだろう。特段、称賛される時計ではないが、マラソン2度目の挑戦という事を考えると立派。しかも、前半の5キロラップは16分前半で刻んでおり「アダルトになった福士」を世にアピール出来たと思う。
 彼女にとって、16分前半は非常にゆったりとしたペースである事は言わずもがな。トラック5000メートルを15分前半で推移出来る彼女だけに、今後はトラックと同様のラップで攻めていければ、世界の強豪と対等に渡り合える。もはや、日本女子マラソン界で世界のトップ選手と戦えるのは「福士加代子」一人だけだろう。僕は個人的に、かなり期待している。

 さて、今週の土曜日(15日)は『箱根駅伝予選会』が立川・昭和記念公園で開催される。ご存じ、立川は僕が今、メーンで活動している場所。正直、箱根に関しては興味を持っていなかったので『箱根駅伝』人気は全く持って理解していなかった。立川の住民には怒られてしまうが、「たかが予選会」でこんなに盛り上がっているものなのか−−というのが率直な感想だ。何しろ立川駅には「祝・箱根駅伝予選会」の横断幕と予選会出場校の幟が展示されている。駅前のメーンストリートには「箱根駅伝予選会」の街路旗が立ち並ぶ。これにはただただビックリするばかりだ。

 そして僕も15日は朝から予選会会場の昭和記念公園に入り、大会の模様を『FMたちかわ』の番組内で生リポート。僕がパーソナリティの『週刊西田隆維』も予選会特集となる。その後の番組も予選会に関連した特集が組まれる事から当日は、特別編成のオンパレードとなるのだ。

 尚、今年の予選会は関東エリアの大学40校が出場。そのうち上位9校が本戦に出場出来る訳だ。主な有力校は「山梨学院大学」「日本大学」「城西大学」「神奈川大学」「専修大学」「帝京大学」「中央学院大学」「順天堂大学」「法政大学」…といったところか。
 驚いた事に本戦常連校が数校、シード落ちし予選会に回った事から今年の本大会(予選会)はハイレベルな競技になる事は間違いないだろう。

 実は僕自身、大学時代に「箱根駅伝予選会」というものは大学1年の一度きりしか経験が無い。しかも当時は、立川では無く「大井ふ頭」で開催されていたのを記憶している。結果は覚えていないが、それなりに走れて自分自身としては満足のいく内容であった。事実、そこで僕は「箱根駅伝」の事ではでは無く「よし、これで全日本(大学駅伝)のメンバーに選ばれたな」と思ったという非常に不埒な野郎であった(勿論、「箱根駅伝」も出場したが…)。

 それにしてもこの時期は「大学3大駅伝」が開催される駅伝シーズン。一般に「大学3大駅伝」とは「出雲駅伝」「全日本学生駅伝」「箱根駅伝」を指す訳だが、今年は冗談ではなく「3大駅伝」の口火を切る「出雲駅伝」が予選会開催の5日前、11日に開催された。
 今年は「出雲」出場校に「予選会」参戦校が無かったからよかった。が、「出雲」と「予選会」は毎年、同時期に実施される事はつとに知られている。
 「出雲」は前年の上位3校とその後に開催される「箱根駅伝」の上位10校(箱根のシード校)が翌年の「出雲駅伝」のシード校に選ばれる。
 という事は、前年に「出雲駅伝」の上位3位に入賞したものの、「箱根駅伝」では不甲斐なく11位以下になった学校は「出雲駅伝」と「箱根駅伝予選会」の両方を走らなければいけない。今回は無かったが、仮に今年そういう学校があったらどうなっていただろう−−。

 強いて言えば「出雲駅伝」は全体的に距離が短いのが特徴。一方の「予選会」は突出したスピードより全体がまとまったタイムで走るのがコツ。要は「出雲」に関してはトラック中心の選手で賄い、「予選会」にはロード、マラソン向きの選手を起用する、という格好となる訳だが、そのような贅沢な選手起用の出来る学校が「予選会」に回る事など、まずあり得ない。母校・駒沢大学が2年前に予選会に回った事があったが、それは例外中の例外だろう。

 まあ、それはそれとして正直、学生駅伝に全く興味の無かった僕が、今年からは真面目にチェックをしなければいけなくなった事が一番大きく重いテーマである事は確かだ。


<プロフィール>
西田隆維【にしだ りゅうい】1977年4月26日生 180センチ 60.5キロ
陸上長距離選手として駒澤大→エスビー食品→JALグランドサービスで活躍。駒大時代は4年連続「箱根駅伝」に出場、4年時の00年には9区で区間新を樹立。駒大初優勝に大きく貢献する。01年、別府大分毎日マラソンで優勝、同年開催された『エドモントン世界陸上』日本代表に選出される(結果は9位)。09年2月、現役を引退、俳優に転向する。9月3日スタートのラジオ番組「週刊 西田隆維(りゅうい)」(FMたちかわ)のメーンパーソナリティ。

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