「その瞬間、巨人のフロントはみんな来たる恐怖に震え出しましたよ。そして、原のバカモンが、と監督に怒りをぶつけていました…」
巨人関係者がこう振り返るのは、CS(クライマックスシリーズ)で中日に3連敗、日本一奪回の夢を絶たれた場面のことである。来たる恐怖とは、“巨人のドン”こと渡辺恒雄会長の怒りで、案の定、カミナリが落ちた。そのうえで「(監督原は)落合と頭の差だよ」と切って捨てた。
大物OBが解説する。
「巨人の歴代監督で読売本社から公に“頭が悪い”と罵倒されたのは原が初めてでしょう。その意味では、原は巨人史に残る監督であると同時に、これまで巨人監督は球界一というブランドも地に落としたといえるな」
ナベツネ発言に飛び上がったフロントは来シーズンに向けて補強を開始した。「中日のような投手陣が必要」と例によってヨソの真似である。そこで“岡島獲得”を決めたという。なぜ岡島かというと。
ワールドシリーズに勝ったレッドソックスの報道で、日本のマスコミは岡島の好投を褒めちぎった。巨人フロントの一人が「うちもああいう投手が欲しいね。日本ハムがよく出したものだ」とため息をつくと、部下が「あのう、彼は巨人にいた投手なんですが…」。幹部いわく「だれが出したんだか知らねぇが、すぐ戻せないのか」と怒鳴り、そこから岡島獲りがスタートした、などという話が広がっている。
岡島は巨人時代、速球派の左腕として期待されたのだが、コントロールが悪いために先発失格。リリーフに回り良かったのは25セーブを挙げた01年だけ。あとは暴投やらボークの連発で「壊し屋」の異名をとったほど。
その男を昨年、日本ハムのGMで巨人OBの高田繁氏(来季からヤクルト監督)が獲得。岡島はリリーフとして復活し日本一に貢献した。それを手みやげに大リーガーとなり、一躍ヒーローになった。球界から「巨人はなぜ岡島を出したのか」と批判の声が上がったのは当然だろう。
「岡島を出したのは原監督です。やっかい払いのように出しました。チーム内外で原監督の選手を見る目がないことを改めて証明した格好です。OBの中には、目は涙目にするためにあるのではなく、選手の資質を見抜くためにあるんだ、と怒っている人が多い」(担当記者)
岡島はこのままいけば「高額の契約を勝ち取れる」(大リーグ通)見通しである。ところが一方で「力は出し切った。来季はもう無理」との情報も。
「聞くところによると、レッドソックスは岡島の放出も考えている。今が売り時と見ているようだ。巨人がつけいるスキは大いにある。ただし大金が必要になる」(米在住のジャーナリスト)
巨人は欲しいと思ったら金に糸目はつけない。既に「レッドソックスに対しトレードマネー10億円を提示」とか「岡島の年俸は3億円」といった条件も用意していると言う。
巨人復帰の実現性はどうなのか。岡島サイドが語る。
「岡島は性格が優しいから巨人へのこだわりはない。ただ原監督だけは許せないでしょう。まあ五分五分ですね」と。今季、抑えに回った上原浩治を来季は先発に戻す構想もある。原監督の決断はどう出るか。今オフの注目の一つは、抑えエース岡島の巨人復帰はあるのかどうかだ。