フェロモンボディーが最短距離で王座奪還に王手をかけた。
一回戦で後藤洋央紀との紙一重の熱戦に競り勝ち、準々決勝では田口隆祐を下してこの日の最終戦に進出した棚橋。準決勝ではGBH真壁刀義のラフファイトに手をこまねいた。戦前にGBHから血だるま予告された通り、危険極まりないチェーン巻きナックルやセコンドのイス攻撃を額に食らってヒヤリとさせられたが、きっちり要所を抑えた。
真壁のキングコングニーを見切って迎撃すると、一気に勝負。ダルマ式ジャーマンからハイフライフローで圧殺し、なんとか決勝の舞台に駒を進めた。
しかし、ジャイアント・バーナードとの頂上決戦でも苦戦を強いられた。コーナープレスやバーナードライバーで高角度から突き落とされたかと思えば、反撃のハイフライフローはキャッチされる始末。ことごとく打つ手が読まれた。
それでも、NJC初戦からさえていた勝負勘が終盤になって働いた。18分過ぎに絶体絶命のバーナードライバーの体勢に捕えられた瞬間、前方回転エビ固めで切り返して強引に丸め込み、逆転勝利の3カウントを奪取。30日に東京・後楽園ホール大会で行われる宿敵IWGPヘビー級王者・中邑への挑戦権を獲得した。
今年1月4日の東京ドームで中邑に敗れ、王座陥落してしまったが、最短距離でリベンジの舞台に戻ることに成功した。棚橋は「ベルトがオレを呼んでいる。向こう(中邑)は嫌でしょうけどね」と自己陶酔。さらには「新日本でNJC、そしてベルトを取って、全日本(チャンピオンカーニバル)を制しますよ」と前人未到の“3冠獲り”を誓約し「オレ、春を独り占めしますよ」と言い放った。
3年ぶり2度目のNJC優勝により、少し気が早い“春男宣言”まで飛び出した棚橋だが、実はNJCは「勝つべくして勝った」という。「年明けに中邑に負けて、僕にとっては厳冬でしたけど、いま思えば今シーズン開幕前にひと足早い春のお告げがあったんですよね」。棚橋によれば「パチンコで連日大フィーバーして、ある店に8万発近くの貯玉ができたし、何より31歳にしていきなり胸からミラクルな長い毛が生えてきたり、あれは何かの前触れだったに違いない」とNJC前に奇妙な前兆があったことを明らかにした。
NJC優勝で一気に扉をこじ開け「女神はオレを見放さなかった。このまま突っ走る」とキザなセリフを吐いた“伊達男”棚橋。NJCでの熱戦により試合後、その胸部に幸運を呼びこんだ毛は見当たらなかったが、王座奪還とチャンピオンカーニバル制覇に向け、フェロモンボディーの勢いはもう止まりそうにない。