一難去ってまた一難。
興毅は3月4日の世界前哨戦でKO勝ち。2階級制覇に弾みをつけた。
問題となっていた王者デンカオセーンのマネージャー二重契約問題も和解の方向に向かっており、亀田陣営が熱望する6月の世界戦に向け一歩ずつ動き始めていた。
ところが、事態は急展開を迎える。
3月31日に一部報道で「同級12位の久高寛之がデンカオセーンと5月12日にタイトルマッチを行うことが内定した」と伝えたのだ。
もちろん、亀田陣営にとっては寝耳に水。五十嵐紀行会長は「(5月の試合は)聞いていません。タイでスポンサーが見つかっていないみたいなので、実現は無理だろうけど…」と困惑した表情を浮かべながらも、静観する姿勢を示した。
新挑戦者として、なぜ久高の名前が挙がってきたのか。
マッチメーカーとして交渉にあたった林隆治氏によれば事のてん末はこうだ。
二重契約問題がひと段落した2月後半にデンカオセーンのマネージャーを務めるニワット氏から「新たな日本人選手を探している」とオファーを受け、これをチャンスと見た久高陣営は挑戦を決意した。WBA側の窓口を務めているニワット氏と契約を交わし、現在はWBAの承認待ちの状態だという。
久高陣営は「1週間前に現地に入る予定。ニワットさんから『飛行機の手配があるので値段を調べてくれ』と言われました」と現状を説明する。WBAの交渉窓口であるニワット氏の判断で契約が結ばれたようだ。
5月の久高との防衛戦が実現すれば、興毅のタイトル戦は先延ばしにせざるを得ない。亀田陣営はまたしても王者陣営に振り回される形となった。2階級制覇を狙う興毅に再び試練が訪れている。
○興毅「メキシカンになる」
WBA世界フライ級1位の興毅は8日、合宿のためメキシコに出発。現地の“ボクシングヲタク”に弟子入りすることを明らかにした。
6月の世界挑戦を見据える興毅は、4月末まで現地に滞在予定。今回はこれまで合宿を行っていたメキシコシティではなく、グアダラハラにキャンプを張る。三男・和毅の試合がグアダラハラで行われるためで「メキシカンになって帰ってくるわ、次こそは」と話した。
2階級制覇に向け、さらなるレベルアップを図るため、元WBC世界フェザー級王者オスカー・ラリオスのトレーナーでもあるエディ・レイノソ氏の下でトレーニングを積む予定だ。