まさに圧巻の勝ちっぷりだった。
KO予告をぶっ放していた近藤の打撃を一切受けることなく、寝技地獄へと引きずり込んで勝利したホジャー。その間わずか160秒。相手に何もさせずに勝利する姿は“詰将棋”と例えられた400戦無敗の男ヒクソンを彷彿させた。
ゴング開始から距離を取ったホジャー。近藤の左ジャブを交わして懐に入りみ、両腕を抱え込んでコーナー際に押し込むと、近藤を足をかけてテイクダウンさせた。
そこからは独壇場。アブダビコンバット、柔術世界選手権(ムンジアル)と数々の寝技の称号をほしいままにしてきた技術を発揮。ハーフガードからいとも簡単にサイドポジションを奪うと、マウントポジションに移行してパウンドを連発。最後はパウンドを嫌った近藤が背を向けたスキを見逃さず、チョークスリーパーでタップを奪った。
試合後は「近藤は完ぺきな選手。とにかく相手を倒して自分の得意なグラウンドで勝負する戦略通りにできた」と殊勝な言葉で試合を振り返った。
総合格闘技の試合は今回が2度目だが、早くも大器の片りんを見せたホジャー。次の総合格闘技戦については「どうなるかわからない」と明言を避けたが、ワールドビクトリーロードの國保尊弘広報は「年内にもう1度出てほしい」と再登場を予告した。
そんな大物ホジャーに対戦を要求する声が続々と出始めている。
この日、敗れた近藤は「自分を一から鍛え直して再戦したい」とリベンジを宣言。さらにこの日、川村亮に3-0の判定で勝利し、復活を遂げたケビン・ランデルマンも「いつか闘いたい」。戦極ヘビー級のエース、ジョシュ・バーネットはまだ総合格闘技の経験が少ないホジャーを「グリーンボーイ」扱いしながらも「レーダーの中に感じてはいる」と少なからず意識している様子だ。
またこの日、ホジャーの試合後に花束を贈呈した吉田秀彦という柔道VS柔術の対戦にも期待が高まる。吉田VSホジャーについて國保広報は「もう少しホジャー選手のことを、日本のファンが理解してからの方がいいのでは」としながらも「吉田もおそらく年内に(6・8「戦極〜第三陣〜」後に)あと1試合になるだろう。その中で可能性がなくはない」と語った。
吉田自身もホジャーに対しては「どれくらい強いのか…」と興味を示しているだけに、國保広報の言う「ファンの期待が高まれば」両者の激突もあり得なくはない。
ホジャーを中心に活気づいてきた戦極マット。水面下での争奪戦をモノにしてホジャーの前に立つのは果たして誰か。