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「時代遅れ」か否か? 張本勲氏の野球理論はなぜ物議を醸すのか

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張本勲氏

 『サンデーモーニング』(TBS系)での発言が何かと話題になる野球解説者・張本勲氏。先日は大船渡高校の佐々木朗希投手が、岩手県大会の決勝戦に連投回避で登板しなかったことについて、「投げるべき」と発言し、批判を浴びた。

 張本氏の野球解説については、しばしば「精神論」「古い」などと揶揄される。一方で、中高年層からは理解の声も聞こえてくる。そこで今回は賛否両論の張本氏が語る「野球理論」を検証する。

・「手の怪我なのに走り込みが足らない」

 張本氏はプロ野球選手というものは走り込みをしてナンボという考え方を持っており、身体のすべてを鍛えることが出来ると考えている様子。

 2018年、アナハイム・エンゼルスの大谷翔平選手が右肘内側側副靭帯を損傷した際、番組内で「走り込んでないから。ピッチャーは足が始動して、最後は脚」と指摘し、「嫌な練習から逃げるな」と上半身の怪我であるにもかかわらず、走り込み不足が原因であると批判した。

 さらに、2019年春にも、楽天ゴールデンイーグルスの則本昂大投手の右肘痛など、プロ野球選手に怪我人が相次いだことについて、「走らないから」と指摘。こちらも物議を醸すことになった。

 プロ野球選手に走り込みは必要な練習とされているが、ただ走ればいいのかと言われれば、そうともいい切れないはず。しかし、この論理を支持する人もかなりいるようだ。

・海外自主トレは観光

 2019年1月、張本氏はプロ野球選手が温暖なオーストラリアやグアムなどに渡り、自主トレーニングをすることについて、

 「海外でやっている人、あれは遊びに行っている。観光に行ってる。午前中練習で、午後は観光と飲めや歌えやの浦島太郎」

 とコメントする。これには横にいた福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩選手が「効果がある」「練習している」と反論したが、張本氏は「そういう考えもある」と一笑に付した。

 当然、この論理もネットユーザーから「何がわかるんだ」「決めつけるな」と厳しく批判されることになった。

・筋力トレーニングを否定

 2018年1月、阪神の糸井嘉男選手が自主トレで筋力トレーニングに打ち込む様子を見た張本氏は、「筋肉はよくない。下半身で打つべき。レスリングの選手じゃないんだから、野球に関係ある練習をしてもらいたい。変なところに筋肉が付くとスイングの邪魔をする」

 と激しく批判した。最近はウエイトトレーニングで筋力を付け、球を飛ばすバッティングが主流となりつつあるだけに、若い人からは「時代遅れ」と揶揄されることになった。

・故障寸前まで練習しろ

 2019年9月6日に福岡ソフトバンクホークスの千賀滉大投手がノーヒットノーランを達成。これを見た張本氏が、千賀投手が育成選手から這い上がり、エースとなったことを称賛する。

 そして、

 「倒れるぐらいまで練習しないと。故障する前ぐらいまで投げないとね、こんな良いピッチャーになれない」「素質があってね、大事にされ、楽にして、素質通りに伸びて大成して、何千万何億の選手になれると思いますか? なれませんよ」

 と語気を強めた。この論理に、「怪我する寸前は人によって違う」「苦行を与えるようなやり方では現代の子は付いてこない」「精神論は古い」などと、批判されてしまった。

 いずれの理論も、批判の一方で支持する人もいる。すべてが間違いとは言い切れないだろうが、精神論的な考えも多く、多くの人は支持していないようだ。

 高齢となっていることから、コーチや監督就任は難しいと見られる張本氏。その理論がどこまで人を育てることが出来るのか、見てみたかったのだが。

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