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大リーグ イチローと松井秀喜 浅からぬ因縁

 米大リーグ、マリナーズのイチローが15日(日本時間16日)の復帰戦、エンゼルス戦で満塁本塁打を放ち、張本勲氏(元ロッテ)の持つ通算3085本安打に並んだ。一方、ヤンキースの松井秀喜は16日(同17日)、新ヤンキー・スタジアムでの記念すべき地元開幕戦で先発に復帰。今季2本目となるヒットを打ったが、ボテボテの当たりだったこともあり、完全復活を印象付けるまでにはいたらなかった。復帰戦で明と暗を分けた2人の間には、数々の因縁がある。

 「イチローはひどいヤツだ」。2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕前、世界の王の要請にもかかわらず、WBC出場を辞退した松井秀の周辺は、イチローに対して激怒。なぜか。
 「イチローから松井に『松井君、WBCに出場するかどうか、一緒に決めよう。開幕前の3月にやる大会だから、オープン戦みたいなものだからね』と言ってきた。松井秀が『イチローさんは出ないんだ』と思っても仕方ないでしょう」
 ひと言も「出ない」とは言っていないが、確かに松井秀が勘違いしてもおかしくない語りかけ。松井秀サイドが、確信犯的なイチローの言動だと激怒するのも理解できる。イチローの遠謀深慮の狙いは何だったのか。

 日本球界ではパ・リーグのオリックス、メジャーでも弱小球団マリナーズの1番打者イチロー。日米で名門チームの巨人とヤンキースで4番を任された松井秀。松井秀がWBCに日の丸を背負って出場すれば主役になり、イチローは脇役に回される。だが、松井秀が欠場すれば、主役はイチローだ。実際にその通りになった。
 当時、ヤンキースと大型契約を結んだばかりの松井秀は、WBC欠場を決めた後、王監督に手紙を出して丁重に謝罪したが、王監督の気持ちは松井秀からイチローに移っていた。イチローの松井秀に対する言動を伝えた球界関係者にも「でも、イチロー君は日の丸を背負って出てくれるんだからね」と、イチローの心意気を褒めちぎった。それまでは「松井はオレと似ている。不器用なタイプだから、練習を重ね、階段を一歩一歩上っていく。イチローはミスタータイプ」と言っていたのに…。
 巨人の原監督が日本代表監督を務めた第2回WBCでコミッショナー特別顧問、日本代表監督相談役に就任した王氏は、真っ先にイチローに対し出場要請した。「君が出てくれることがすべての始まりだから」とラブコールを送った。イチローは「王さんからいの一番に電話を頂いて感謝感激している」と王氏からの電話を自ら明かしている。そこには世界の王とのホットラインをアピールする狙いが見え隠れする。
 一方、松井秀は「長嶋さんや王さんから出場要請されたら、今回は喜んで出場したい。前回は残念ながら参加できず、迷惑をかけたので…」と出場に意欲をみなぎらせていたが、球団側からドクターストップをかけられ、ヒザの手術後のリハビリ優先を命じられた。「長期間故障者リストに載った選手は球団の許可がなければ、WBCに出場できない」という大リーグ機構(MLB)の規約を盾に取られてはどうにもならない。
 「年齢的に4年後のWBCにはもう松井秀は出られないだろう。ついに日の丸を背負った松井秀のユニホーム姿は見られないのか。それにしても、2回のWBCでイチローと松井秀の野球人生は大きな開きができてしまったなあ」。ある巨人OBはこう嘆く。
 「イチローさんをライバルだと思ったことはない。あんなすごい打者にかなわない」。巨人時代にこう語った松井秀だが、1歳年上のイチローは違ったのだ。
 イチローも一目置かざるを得ないONの後継者として、長嶋監督が「松井4番千日構想」をブチ上げ文字通り手塩に掛け、巨人の4番打者に成長した松井秀。メジャーでもイチローが本当に入りたかったといわれる名門ヤンキース入りした。イチローはポスティング(入札制度)で球団を選べず、FAの松井秀は好きな球団に入団できた。ナンバーワンでなければ満足できないイチローにとって、松井秀は目の上のタンコブだったのだろう。

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