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スポーツ 2009年10月22日 15時00分
虎が吠える 佐山サトル見参!!(8) 最高の感激「猪木のひと言」
故カール・ゴッチ氏は「コーチというのは自分で実戦してはならない、すべてを完全に把握し、第三者の目で教えること」と私に言っていた職人気質の人である。 私の若手時代、猪木会長はストロングスタイルの実践者であった。会長に出会えて幸せだったのは、セメントの部分で我々を裏切らなかったことだ。プロレスにおいてのアントニオ猪木像と、実際が一致していた。つまりセメントを通し、本物であったのだ。 ストロングスタイルの実践者の背を見て育ったことは、私にとって大きな財産である。セメントは選手が育って来ると、何時間やってもお互いとれなくなる。その日からレスラーとして認められるのだ。それでも飽き足らず、私は藤原敏男を有すキックの目白ジムに入門。強くなりたかった。 今考えると、そんなプロレスラーはいるはずもない。他の道場に行くという慣習のない当時、私は怒られると思い、仲間にもジムにも黙っていた。レスラーが最も強く、レスラーに打撃が必要という強い気持ちがあったからだ。 ところがある日バレてしまった。黒崎先生から新日に伝わった時、なんと猪木会長は喜んでくれたのである。お前を格闘技の第一号の選手にすると言われた時、最高の感激だった。 猪木のためなら死ねるとも思った。もし猪木会長がストロングスタイルの気質でなければ、こんな青春時代なかったかもしれない。 私の弟子の桜木や瓜田はセメントを受け継いでいる。瓜田はUKFの総合世界チャンピオン。桜木はUKFのキックの世界チャンピオンと、先日ロシアでワールドパンクラチオン無差別級の世界チャンピオンになった。 プロレスはお芝居を見に行くのではない。プロレスラーの勝負を“魅”に行くのである。
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スポーツ 2009年10月22日 15時00分
IGF 15歳の現役高校生・定アキラがデビュー
IGFの11・3JCBホール大会でデビューする、15歳の現役高校1年生・定アキラの対戦相手が決定した。公募の中から選ばれたのは、同じく高校生の奥田啓介(18歳)。 奥田はレスリングで米国遠征の高校日本代表に選ばれるなど、さまざまな大会で優勝、入賞の経験を持つ。 さらに、世界寛水流空手道連盟で初段を取得。寛水流空手は、27年前に一時は対戦が具体化したアントニオ猪木と空手家・水谷征夫氏とが創設した団体で、猪木は名誉会長を務めており、IGFのリングで定と奥田の対戦が実現するのは偶然にしては運命的である。 デビュー戦の相手が決まった定は21日、UWFスネークピットジャパンで公開練習を行い「自分はプロなので、アマチュアの人には絶対に負けられない」とコメント。その太い太腿を見れば、いかにハードな練習を積んできたかは一目瞭然。 IGFの宮戸優光GMは「奥田君は高校レスリングで全国レベルですが、アキラはこの10か月、プロとして対等、またはそれを上回る修行を積んできたと思っています」と期待を寄せる。 鍛え込んでいるのは肉体だけではない。IGFの先輩である鈴木秀樹、パンクラス・バンタム級初代王者の井上学とのスパーリングでは、定は必死に食らいつき、前に出る気持ちの強さを見せた。 「激しいけど清々しい戦いを見せてほしい。彼らが見せるエネルギーがプロレスの未来につながる」(宮戸GM)。高校生対決への注目が俄然高まってきた。
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スポーツ 2009年10月22日 15時00分
川田利明 迷い吹っ切り田中の世界ヘビーに挑戦
川田利明が衝撃発言を行った。ZERO1の10・24後楽園ホール大会で、田中将斗の保持する世界ヘビー級王座に挑む川田が21日、都内で行われた公開調印式に出席。「オファーを頂いたとき、プロレスに対して迷っている自分がいました」と打ち明けた。 川田が直面した苦悩は、ライバルであり盟友だった三沢光晴さんの急逝が多分に影響しているはず。心の支えを失い、川田はプロレスとどう向き合えばいいのか分からなくなったのかもしれない。それこそ引退の二文字が脳裏をかすめた可能性もある。 しかし、「オファーがあるということは自分が欲しがられているということ。若い世代の人間に自分がやってきたことを伝えられるんじゃないかと思って今回のオファーを受けました」と、心の整理をして迷いを断ち切り、タイトル奪取に狙いを定めた。 ベルトには思い入れがある。世界ヘビー級王座は、ジャンボ鶴田が歴代王者に名を連ね、伝統あるAWA世界ヘビー級王座の流れを汲むもの。 田中とのシングル対決は8年ぶりになるが、川田は前回の試合をはっきり覚えている。弾丸戦士の当たりの強い攻撃を受けてムキになり「ガンガンこられて、それ以上のお返しをした」と熱くなった過去を振り返る。 前回敗れている田中は「必ず防衛する」と雪辱に燃えるが、川田は「体がシェイプされていて動きやすい体になっているが、その分ヘビー級として通用するのか、試してみたい」と王者を分析。すでに攻略方法を見出しているようだ。
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スポーツ 2009年10月22日 15時00分
ハッスル 小路 RGを鉄拳制裁予告
ハッスルで活躍する“最後の日本男児”小路晃が21日、都内の同道場で会見。29日の後楽園ホール大会で一騎打ちを行う自称“神の子”RGに撲殺を宣告した。 後楽園ホール大会の「試練の五番勝負」第2戦でRGと対戦する小路。この日の会見では、開口一番「真剣にプロレスを学びたいと思っていたのにRGってどういうこと?」と不満をあらわにした。 さらに広報から「だいたい小路さんってプロレスではオレの後輩だよね? しょうがないからRGがプロレスってものを教えてあげますよYO〜」という神の子のなめきったコメントを聞かされて完全にブチキレた。 肩を震わせながら「前回の両国で天龍さんと戦った時、天龍さんからグーパンチをたくさんもらった。僕もグーパンチ出します」となぶり殺しにする決意を固めていた。
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スポーツ 2009年10月22日 15時00分
戦極 郷野 相手はラーメン!?
総合格闘技のメジャーイベント戦極に“ヘンテコ戦士”が参戦だ。23日には都内のWVR本社で「戦極〜第十一陣〜」(11月7日、東京・両国国技館)の追加カード発表が行われ、郷野聡寛の再起戦が決まったが、注目を集めたのは相手の方。その名も辛拉麺、なかなかの本格派だ。 この日は8月の戦極デビュー戦でKO負けを喫して再起を目指す郷野のウェルター級ワンマッチが発表されたが、報道陣が矢継ぎ早に質問したのは郷野ではなく、対戦相手の辛拉麺(シンラーメン)選手についてだった。 有名なインスタント麺と同じ名前。WVR國保尊弘代表によれば「お父さんが辛ラーメンの役員」とのこと。本名はキム・ユンヨンで、これまでのプロでの戦績も13勝4敗と決して色物戦士ではないらしい。しかも190センチの長身ファイターで韓国ウェルター級期待のホープなのだとか。 一方の郷野はそんなラーメンに興味なし。ここのところ昨年のUFCから3連敗中とあって、難攻不落のビッグマウスもさすがにこの日は元気がなく「相手のリングネームなんてどうでもいい」と知らん顔だった。
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トレンド 2009年10月22日 15時00分
「パチンコの現場」2007年以降急増した闇スロは凶悪犯罪の温床
深夜0時。妖えんなネオンに彩られた都内のとある繁華街。人々の様々な欲望が渦巻く夜の街を1人歩いていると、突然男から声を掛けられた。「スロットやらない? 4号機もあるよ」。昨今急増している“闇スロ”店。暴力団の資金源とされるその実態に迫る。 10月16日、東京・渋谷区道玄坂にある雑居ビルの一室で違法パチンコ・パチスロ店「玉三郎」を経営したとして、責任者の寺社忍容疑者(36)ら店員5人のほか、プレー中の客12人が常習賭博容疑で逮捕された。店内には既に姿を消したはずの、いわゆる4号機と呼ばれるパチスロのほか、ギャンブル性の高いパチンコも設置。これらの台を通常の2倍のレートで客にプレーさせ、これまでに1億円以上の利益を上げたとみられている。 また、10月1日には同じく渋谷区の別の店舗(名称なし)を摘発。客を装った捜査官が1カ月かけて内定を行い、0時ちょうどに「下に連れがいるから入れてくれ」と、“キャッチ”と呼ばれる客引きを誘導し、店内に突入。店員と客、合わせて30人以上が逮捕される大捕物となった。 なお、渋谷区では酒井法子の夫・高相祐一被告が職務質問された百軒店に闇スロ店が密集しているといい、前述の2店舗の摘発で、百軒店に店を構えるオーナーたちは「次はウチがやられるんじゃないかと」戦々恐々とした日々を過ごしているとは、闇スロ事情に詳しい事情通の話。 闇スロが急増したのはパチスロ4号機が一斉に撤去された2007年以降だ。その理由は、 (1)撤去されたはずの4号機をプレーできる。 (2)高レートなので1回で数十万円の大金を手にすることも可能。 (3)比較的簡単に営業でき、しかももうかる。などが挙げられるだろう。 4号機はゲームセンターなどでもプレーすることが可能だが、当然ながら換金行為は違法となるため行われていない。「闇スロは換金できるのが魅力」とは、月に10日は闇スロに行くという常連客。さらに「普通にパチスロを打っているだけ。勝っても負けても自分の金だから問題ない」と続け、闇スロが違法との認識は薄い。 「それにパクられたとしても店員じゃないからすぐに釈放されるよ」。実際に一度ガサ入れに遭遇したものの、調書を取られただけで即日釈放されたと、まるで自慢話のように語った。 たとえば麻薬のように自分自身の体に悪影響を及ぼすことはないし、誰に迷惑をかけるわけでもないから…と甘く考えているやからが多いようだが、闇スロで上げた利益は暴力団の資金源であり、凶悪犯罪の温床となっているのである。そのことを問うと、一瞬男は口をつぐんだものの、すぐに「4号機を一掃した警察が悪い」と開き直ってみせた。 闇スロは店によって営業形態がまちまちだ。夜にのみ営業している店が多いものの、新宿・歌舞伎町には24時間営業の店もあるという。一方、共通しているのは多くの店で“シキテン”と呼ばれる見張り役を置いている点で、店の扉は厳重にカギがかけられており、シキテンの合図がなければ扉が開かれることはない。ちなみに渋谷ではシキテンの代わりにキャッチを雇っており、彼らは新規客1人につき、約1000円程度のバックマージンを受け取っている。さらに客引きだけでなく、警察の護送車を見かけた場合は店に連絡する役割も担っているとのことだ。 なお、闇スロの主流は「ミリオンゴッド」など、射幸性が極めて高い4号機。通常とは異なるROM、いわゆる“裏モノ”が設置されていることも珍しくないという。 「以前は(違法賭博の主流は)ポーカーゲームやバカラなどだったが、ゲーム性が分かりにくく一部の客にしか需要がなかった。だがパチスロなら誰もが知っているし、撤去された4号機が打てるということで、闇スロにハマる人は後を絶たない。昔は大都市のみだったが今は全国どこにでもある」とは前述の事情通。 ちなみに彼によれば、わずか数年で闇スロがここまで急速に広がった原因のひとつはズバリ“毒まんじゅう”。そのため、ガサ入れを行うのは所轄外の警察と相場が決まっているのだという。本当ならとんでもない話だ。 たしかに4号機が打てるというのは魅力的かもしれないが、常に逮捕のリスクがつきまとうし、レートが高いため数十万の金がわずか数時間でなくなることもある。そして、その金は市民の敵である暴力団の資金源となることを忘れてはならない。リスクうんぬんよりもこれが一番の問題点なのだ。善良な市民でありたいのなら、闇スロには絶対に手を出してはいけない。◎風営法とは 正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」。風適法と呼ばれることもある。風俗店やギャンブル店などに関する法律であり、未成年の立ち入り規制が主な目的。風俗営業を行う場合には、事前に各都道府県の公安委員会の許可が必要となる。 つまりパチンコ・パチスロ店を営業する場合には必ずこの許可証が必要となるわけで、当然ながら闇スロは無許可営業店として摘発の対象となる。
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レジャー 2009年10月22日 15時00分
「渋井哲也の気ままに朝帰り」もう二度と行きたくない店
飲み友達の一人(34)が宝くじが当たった、という話があり、キャバクラを奢ってくれることになった。よくその飲み友ともう一人加えた3人で歌舞伎町のキャバクラへ…。店を選ぶにあたって、飲み友が知っている店があるというので、言ってみることにした。区役所通りにある店だった。私はこの店に入るのは始めてだ。 店に入るなり、お客さんが満員ではないのに、客数よりもキャバ嬢の数が少ない「マイナス営業」だった。時間帯の問題なのか、あるいは、たまたま出勤していないキャバ嬢が多いのかは不明だ。 そんなマイナス営業だったので機嫌を損ねたのか、酔っているのも手伝って、飲み友が帰ろうとしてしまう。いま、帰っても終電はない。しかも、店に入ったばかりで、まだキャバ嬢が着いていないのだから、もっと様子を見ようと言って、私が連れ戻す。結局、1セットだけいることにしたが、マイナス営業のままだった。 その店への印象はそれほど悪くなかったものの、私は、「また行こう」とは思えなかった。しかし、再び、その店に行ってしまうことになる。私と飲み友と一緒に行ったもう一人に、営業メールが届いていたためだ。その男がいうには、キャバクラにはたまに行くが、営業メールをしてくるのは珍しい、というのだ。 キャバ嬢に対して、いつも強気に出ているその男は、あまりキャバ嬢と連絡先を交換しない。またしたとしても、数回はメールが続いたとしても、すぐに途絶えてしまうことが多かった、という。しかし、今回は、キャバ嬢はマメにメールをよこすタイプだった。その営業熱心さに、「かわいくはないけど、また行ってみよう」とは思っていたようだ。 数週間経った頃だろうか。その男を含め4人でキャバクラに行く機会があった。ある店の半額イベントデーだったために、みんなで行こうとなった。その店で過ごした時間が楽しかったのか、その男が「もう一軒行こう」という話になった。そこで男の頭に浮かんだのが、営業熱心なキャバ嬢がいる店だった。 この段階でいつの間にか、一人がはぐれてしまった。彼が客引きと話をしている姿があったが、いつの間にかどこかへ消えてしまったのだ。 仕方がないので、3人で行くことになった。店の前で話を聞くと、本指名だと正規料金で高額なのだが、場内だったら初回料金(つまり、1セット目は安い料金)で可能という話だった。「場内」でもいい、ということになり、店に入る。 男が場内指名をすると、指名嬢がやってきた。指名嬢は「びっくりした」と、うれしそうに言ったのだが、すぐに、「なんで場内なの? うちは、場内だと意味ないんだけど」と言ってきた。本指名ではないとポイントがつかないというのだ。 しかし、いきなり、そんな話ですか。「本指名ではないと意味がない」と、まだ2回目の客に言いますか? 男は若干、キレかかる私も同様だった。 たしかに、キャバ嬢の気持ちも分からなくはない。どうせ来てくれるのなら本指名のほうがポイントになるし、素直にうれしい。でも、それほどの仲でもなく、たった2回目の相手に、「場内だと意味がない」なんて、普通は言わない。 しかも、再び、マイナス営業になった。店側に聞くと、「団体客がいるので」と話してきた。みると、確かに団体客はいるが、そこにもキャバ嬢が1対1でいるわけではない。この店は、ちょっと人数が入るとマイナス営業になるくらい、キャバ嬢がいないのか? と思ってしまった。 もし、そうなら、ちゃんと入る前に言えよ、と不親切な対応にいらだった。こんな対応をしているから、どんどん歌舞伎町から人が減って行くんじゃないだろうか。もちろん、歌舞伎町浄化作戦のために、夜の街に人は減っている。しかし、お客は、よい店にはつくもんだ。 こんな対応の店ばかりだったら、もう歌舞伎町は死んだ、と言われても仕方がない。ただ、そんな店のために、歌舞伎町のイメージが悪化してほしくないとも思う。こんな対応の店は、この店だけだと思いたいが、こうした店は自然淘汰されていくだろう。半年後にはないかもしれない。サービスが悪い店は消えて行く。そして、また新たな店がつくられ、評判のよい店になっていく。歌舞伎町なそんな街だ。<プロフィール>渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。【記事提供】キャフー http://www.kyahoo.jp/
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その他 2009年10月22日 15時00分
幻覚ナビ
左から1・2・3・4
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芸能 2009年10月21日 15時00分
上戸彩が“日本の美”を体現
女優・上戸彩が20日、「第7回きもの大賞」に選出され、横浜市の横浜アリーナで行われた授与式に出席。「これからも日本の女性として着物の似合う女性になっていきたい」と語った。 過去多くの有名人が選出されているこの賞は、着物のよさ、日本のよさのイメージアップに貢献された人物に贈られる。 上戸は「このような賞をいただいたことを光栄に思います。母に一番に伝えたい」と喜びの表情。普段は着物を着ないそうで「自分で着物を着られる人がうらやましい。ゆかたなら簡単に着れるんですけど」と照れ笑いした。またこの日の着物については「秋をイメージして、もみじ柄にしました。きものは常に季節のものが入った柄を入れるんです」と語った。
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社会 2009年10月21日 15時00分
クライマックスシリーズの観戦が数倍おもしろくなる!! 鳩山首相の野球理論
プロ野球はセ・パ両リーグともきょう21日からクライマックスシリーズ(CS)第2ステージに突入、頂上決戦に向けた死闘が始まる。ひとつの作戦ミスが命取りになるため、ファンは「バントなんてダメだ!」「盗塁させろ」などと監督気取りで好き勝手言うのが楽しい。この人もそうかもしれない。野球好きが高じ、東京工業大学の助手時代に「野球のOR(オペレーションズ・リサーチ)」と題した論文を発表している鳩山由紀夫首相(62)その人だ。せっかくなので専門家の力を借りて論文を徹底解剖した。“鳩山マジック”を知ればCS観戦はウン倍おもしろくなる!? 鳩山首相が1979年に発表した論文「野球のOR」をさっそく入手したものの、内容はチンプンカンプン。一般人が理解するのは難しい。そこでORの専門家である駒沢大学経営学部の小沢利久教授に解説をお願いした。それにしてもORとは聞きなれない言葉だ。 「次の行動を決めるための有益な情報を引き出すために、対象を数学的にモデル化し、分析する学問です。もともとは英国での軍事研究からはじまり、経営やマーケティングなどの分野で応用されています」(小沢教授) いまでこそORをスポーツに応用するのは珍しくないというが、小沢教授は「当時では珍しいと思いますね。日本のスポーツORの先駆け的存在といってもいいと思います」と言い切る。さすが首相、先見の明があったわけだ。さて、ORについて理解したところで、実際に「鳩山野球理論」の解説に移ろう。 ご存じのように野球では、仮にひとつの戦術を考えるにしてもさまざまなケースが想定される。点差やアウトカウントをはじめ、打率だけでは導き出せない各打席ごとのバッターの期待値などをすべて加味して考えると「ケース・バイ・ケース」となってしまう。 そこで鳩山理論では、まず基本前提として1イニングのみで考える。打者の打率は当時のセリーグ現役打者の平均。打席では暴投や振り逃げなどあらゆる可能性があるため、結果はアウト、四死球、単打、二塁打、三塁打、本塁打のいずれかに分類する。その上ですべてのアウトカウント(無死、1死、2死)におけるすべての走者状況(ランナー一塁〜満塁まで)について考察している。 「要するに、イニングが終わるまでに点数が入る確率を計算するわけです」と小沢教授。 具体例を挙げよう。たとえば、2死走者二塁の場合、得点する確率は46%。これから導き出されるのは、「いかなる状況下で盗塁、バントをすべきかがわかります」(小沢教授)という。 たとえば1死走者三塁の時、走者の盗塁成功率が54%以上なら盗塁すべき。1死走者一塁の場合、打者のバント成功率が94%以上でなければ強行策をとる。 これら数値化されたデータから、監督は、盗塁すべきか、バントすべきか、強行策に出るべきかを判断できる。最終的に論文では「ほとんどのケースで無死よりも1死、2死の時に盗塁すべき」「走者二塁および一、二塁ではバントを用いるべきではない」などの結論を導き出している。 実際のケースにあてはめて検証してみよう。 昨年の5月31日、巨人対楽天の交流戦。試合終了後に楽天・野村克也監督が「ばっかじゃなかろかルンバ〜」と巨人・原辰徳監督の采配をコケにしたのを記憶している人も多いはず。原因となったシーンは9回2死。一塁走者の巨人・矢野謙次外野手が盗塁を試みるも失敗。ゲームセットとなり楽天が勝った試合だ。 鳩山理論では「無死よりも1死、2死の時に盗塁すべき」となるため、原采配は一見正解だったようにみえる。 しかし、「走者には最低61%以上の盗塁成功率がなければならない」との前提条件を満たしていなかった。矢野はこのシーズン中、この時点まで一度も盗塁に成功しておらず、その前のシーズンでも盗塁1回の選手。サインプレーだったかどうかは別にしても、鳩山理論では、ID野球を標榜する野村監督の主張が正しいことになる。 解説の最後に小沢教授は、「鳩山野球理論はORの代表的な手法をうまくつかっています。野球をよく知っていないと書くことはできないと思います」と関心した。 翌週に臨時国会を控え、鳩山首相にプロ野球観戦する余裕があるかどうかは分からない。しかし野球ファンにとって気になる理論ではある。 鳩山首相は「米国留学中はアメリカンフットボール一色だった」と振り返るほどのアメフトファンでもある。ポジションはチームの司令塔クォーターバック(QB)だった。野球理論を完成させるだけでなく、戦術がモノを言うアメフトが好きとなれば筋金入り。さらに、講演会ではORを駆使した「お見合いでもっともタイプの子と結婚できる理論」を披露したこともある。 噛み砕いて説明すると、たとえば1000人の女性と順番にお見合いできるとして、1人目の女性が「結構かわいいな」と思ったとき、ここで決めちゃうか、次以降に期待してパスするか。鳩山理論では、1000人中最もかわいい女性と結婚できる確率は最高でも3割6分8厘止まり。最初の368人はパスして、369人目以降から「368人中トップだった女性」とハイ&ローで決めるのが戦術として正しいとしている。 単純に考えた場合、1死二、三塁よりも1死満塁のほうがチャンスに決まっている。しかし守備側に立つと、1死満塁の場合は内野ゴロならばホースプレーでホームゲッツー(ダブルプレー)できるため、むしろ満塁のほうが守りやすいとしてわざと打者を歩かせて塁を埋めることもある。 いったいどっちが得点チャンスが高いのか? 鳩山野球理論では、1死二、三塁で、そのイニングに1点以上得点する確率は47.5%、満塁の場合は56%。守備側が守りやすいのはそうかもしれないが、あくまで満塁の方がチャンスとの結論を出している。