社会
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社会 2015年04月30日 14時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 セブン一人勝ちの背景
流通大手の決算が出そろった。セブン&アイ・ホールディングスは、グループ全体の売上高が前年比6.6%増の10兆2356億円となり、国内の小売業として初めて10兆円の大台に乗せた。 一方、ライバルのイオンも売上高が過去最高の7兆円超えを果たした。中小スーパーが次々に傘下に入るなど、いまや日本の流通業は、セブンとイオンの両雄が支配する構造に変わってきている。 しかし、本業の儲けを示す営業利益をみると、両社は明暗を分けている。セブン&アイ・ホールディングスが4年連続で最高益を更新しているのに対して、イオンの営業利益は前期比17.5%減の1413億円と、3期連続の減益となっているのだ。 両社は、もともとスーパーを母体にしているが、イオンの中心事業がイオンモールになっているのに対して、セブン&アイの売り上げの7割はセブンイレブンが占めている。 そして、両社は昨年4月の消費税引き上げ以降、まったく異なる経営戦略を採用した。イオンは、プライベートブランドのトップバリュ6000品目のうち、8割にあたる5000品目の本体価格を3%引き下げ、税込み価格を据え置く戦略に出た。一方、セブンイレブンは値下げに踏み切るのではなく、セブンカフェの中で100円コーヒーの販売を拡充したうえに、一部の店舗で100円ドーナツを投入するなど、手頃な価格で魅力の高い商品の品ぞろえを増やしていった。 私は当初、消費税引き上げで生活が厳しくなった消費者がイオンに殺到するだろうとみていたが、思ったほど客足は伸びなかったのだ。一方で、セブンイレブンは順調に売り上げを伸ばし、コンビニ大手3社の中で唯一営業利益増に結びつけた。 この差は一体どこから生まれたのか。両社の第一の差は、立地の差だ。セブンイレブンの立地の中心は、大都市中心部。それに対してイオンモールは、大都市の郊外あるいは地方部だ。アベノミクスの景気拡大は、地方部には及んでいない。一方、大都市部は東京を中心にバブルといってもよい活況を呈している。つまり、イオンモールは確かに多くの人を集めているが、所得の伸びない地域でビジネスをしているというのが、利益の出ない一つの原因になっている。 しかし、より本質的な問題は、イオンの顧客がほとんど庶民ばかりだということだ。だからイオンが消費税の引き上げに対抗して値下げをするというのは、まさに庶民のニーズに応える経営判断だったのだが、いかんせん、その庶民の所得が伸びなかった。 一方のセブンイレブンは、所得を増やした大企業の社員も利用している。また、共稼ぎが避けられなくなったり、長時間労働で食事を作る余裕のない庶民も盛んに利用している。つまり、アベノミクスによる格差拡大が、結果的にセブン&アイの業績を押し上げたということになるのだろう。 厚生労働省の毎月勤労統計によると、500人以上の規模の労働者の賃金が前年比で1.8%増えたのに対して、30人未満は0.0%だった。今年の春闘でも中小のベアはない。このままいくと、セブンとイオンの格差も、社会全体の格差拡大とともに広がっていくのかもしれない。
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社会 2015年04月30日 11時00分
長期政権を狙う日産ゴーン社長 筆頭株主との軋轢噴出!
日産・ルノー連合の前途に、突如として暗雲が漂ってきた。 両社は昨年、研究開発や生産・物流、人事などで提携関係を強化するなど合併・統合を前提にした“事実婚”に踏み込んだ。要は日産に43.4%出資する親会社ルノーによるグリップ強化である。そのルノーで今、想定外の事態が生じている。同社株の15.0%を保有する筆頭株主のフランス政府が、4月30日に開催する株主総会を前にカルロス・ゴーンCEO(兼日産社長)の経営方針に反発し、真っ向から挑戦状をたたき付けたのだ。 日本の大手メディアは沈黙しているが、注目すべきはその理由である。 フランスでは昨年の法改正で、株式を2年以上保有する投資家には株主総会で否決されない限り、2倍の議決権が与えられる。むろん、1株1議決という従来の制度を維持することも可能。ルノーの株主総会には現行制度維持を求める会社側の案が提出されている。 これに反発するフランス政府は約1600億円の大枚を投じてルノー株を買い増し、保有比率を19.7%まで引き上げ、会社側案の可決を阻止する行動に打って出たのだ。 確かに、ルノーのゴーンCEOとフランス政府は労務対策などをめぐって派手な確執を演じてきた。とはいえ今回の敵対行動は突出する。その背景には、一体何があるのか。 ルノーは昨年12月決算で2565億円の最終利益を確保した。前年比3.2倍の大幅増益である。しかし、日産からの持分利益(約2100億円)がなければ辛くも黒字を確保したにすぎない。それどころか、前年までは実質的な大幅赤字の連続だった。日産・ルノー連合のウオッチャーは冷ややかだ。 「ゴーンさんは去年の総会で再任され、2018年までCEOを続けることが承認された。その際、フランス政府は『日産によるルノー支援を徹底すべし』との条件を突き付けている。日産との提携強化は、その布石に他なりません。今回、総会で対決色を鮮明に打ち出したのは『日産サイドに気兼ねせず、早く完全統合に踏み込め』というアピールですよ」 前述のようにルノーは日産に43.4%出資しているが、一方で日産はルノーに約15%出資し、フランス政府に僅差で及ばないが、それでも大株主2位である。もしルノーの総会で2倍の議決権を与える案が可決されれば、日産の議決権も約30%に達し、一気に発言力が増す。これを阻止する切り札が『1株1議決権』の死守だといえば話は早い。 「ゴーンさんもフランス政府の魂胆は十分承知している。だけど日産の社長を兼務する本人は、角を矯めて牛を殺す行為までは踏み込めない。ルノーが日産支援に乗り出した当時と違って、今のルノーは全てが日産頼み。もし日産に万一のことがあれば、ルノーは間違いなく破綻です」(担当記者) 問題は日産の経営だ。同社は2月9日、北米市場が好調であることなどを理由に今年3月期の業績見通しを上方修正した。しかし、証券アナリストは今後に懐疑的だ。 「世界最大の北米市場で日産は年々シェアを拡大しており、担当役員は目標に掲げるシェア10%達成が視野に入ったとして“ホンダ超え”に自信を見せている。日本勢としてはトヨタに次ぐ第2位躍進を意味しますが、その裏では業界平均を大幅に上回る販売奨励金を惜しげもなく注ぎ込み『ディスカウントセール』と皮肉られている。シェアを追う余り“たたき売り”にまい進すれば利益率は大幅に低下します」 北米だけではない。日産にとって中国は世界販売の2割を占める主戦場の一つだが、いまやジリ貧が続いている。反日感情に加えて、大変な誤算もある。ゴーンCEOは自分の地位を脅かしそうな実力者を次々と外部に追放してきたことで知られるが、その1人がプジョーシトロエングループのトップに就任し、よりによって日産と提携している東風汽車と提携した。結果、東風汽車が日産と距離を置き始めたのだ。揚げ句に3月の『消費者デー』では恒例となった国営テレビの特番で修理対応のまずさがヤリ玉に挙がる始末。これでは中国での市場奪回作戦が空回りする。 「鳴り物入りで投入した電気自動車『リーフ』だってHVの後塵を拝したばかりか、究極のエコカーの座を燃料電池車に奪われている。日本では『コストカッター』で鳴らしたゴーン社長の賞味期限がとうに切れていますが、本人はそのことに全く気付いていない。日本でも後釜を狙いそうな人物をパージしたことから、日産幹部連中は陰で『さっさと辞めてくれないか』と真顔で囁き合っていますよ」(前出・ウオッチャー) その声ははるか海を越えて、フランス政府首脳の耳にも届いているようだ。
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社会 2015年04月29日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第123回 おカネと経済力(前編)
長期にわたるデフレーションが続き、日本国民はすっかり「おカネ至上主義」に陥ってしまった。 実は、経営(ビジネス)はともかく、国民「経済」においておカネの優先順位はそれほど高くないのだが、誰もそうは考えなくなってしまった。 おカネこそすべて。おカネが大事。そう思っているからこそ、日本国民は財務省から垂れ流される「国の借金プロパガンダ」に騙され、真の意味の「日本の経済力」がデフレで痛めつけられていくのを放置し、自らも貧困化しているわけである。 というわけで、今回は「おカネの正体」「経済力の正体」について書いてみたい。まずは、おカネとは何なのだろうか。 ハッキリ言うと、おカネとは「債務と債権の記録」なのである。読者がおカネを保有しているとは、もちろん「債権がある」という話だ。 とはいえ、読者がおカネという「債権」を持っているということは、反対側に必ず読者に「債務」がある誰かがいることになる。 読者の財布に入っている現金紙幣(1万円札など)という債権(資産)は、日本銀行の債務(負債)である。実際、日本銀行のバランスシート(貸借対照表)を見ると、左ページの図(本誌参照)の通り約98兆円の現金が「負債」として計上されている。 さて、読者が近所の店舗で1万円の商品を購入したとしよう。代金を支払う前、つまりは1万円の商品を読者が受け取った“瞬間”は、 「店舗が読者に1万円の債権を保有している」 「読者は店舗に1万円の債務がある」 という関係が成り立つことになる。 というわけで、読者は財布の中から「読者の債権=日本銀行の債務」である1万円札を取り出し、代金を支払う。 つまりは、 「読者が店舗に対する1万円の債務を、日本銀行に対する債権で弁済した」 というプロセスが進んだことになる。 元々は読者が保有していた「対日本銀行の債権(=1万円札)」は、今度は「店舗が日本銀行に保有する債権」となった。 イギリスのエコノミストであるフェリックス・マーティンは、自著『21世紀の貨幣論』において、おカネとは「貨幣単位」「記録システム」「譲渡可能性」という三つの基本要素からなる社会的な技術と結論づけている。 先の例でいえば、「円という貨幣単位」「債務債権を記録するシステム」そして「日本銀行への債権が譲渡可能であること」と、マーティンのおカネの基本要素が全て満たされていることがわかる。 逆に言えば、それら三つの基本要素が満たされているならば、現金紙幣以外もおカネになりうるのだ。というよりも、実際に我々は現金紙幣以外のおカネを大量に使っている。 例えば、銀行預金だ。銀行預金とは、読者にとっては「銀行に対する債権」になる。 当然、銀行にとっては「読者に対する債務」でもあるわけだ。債権者が存在した時、反対側に必ず債務者がいる。 読者が、同じ店舗で5万円の買い物をしたとしよう。5万円分の商品を受けとった瞬間は、「店舗が読者に5万円の債権があり、読者が店舗に5万円の債務がある」という状態になる。 読者はデビットカードを使い、銀行預金から代金を支払った。 読者が銀行に保有する5万円分の債権で、店舗に対する5万円分の債務を弁済したわけだ。読者の銀行に対する5万円の債権(預金)は、店舗の債権へと姿を転じる。 これらを理解すると、「支払手形」もまた、譲渡性があるならば“おカネ”の役割を果たし得ることに気が付くだろう。 例えば、読者が「1年後に10万円を支払う手形(支払手形)」で10万円分の買い物をしたとする。読者の債務が、人々の買い物の支払いに使用され、つまりは「債務が譲渡」されていった場合、これは普通に“おカネ”の条件を満たしてしまうのだ。 ところで、おカネとは債務と債権の組み合わせである以上、「債務を生み出さない形で、債権(おカネ)を生み出す」ことは、本来は不可能である。 だが、この世には一つだけ、「債務発生」なしでおカネを生み出すことができる存在があるのだ。もちろん、独自通貨国の「政府」である。 実際、日本政府は現時点で自らの債務にならない形で“おカネ”を発行している。すなわち、読者の財布に入っている「硬貨(コイン)」である。 1円玉、10円玉などの硬貨は、保有者の債権ではあるものの、誰の債務でもない。 資産としてバランスシートの借方(左側)に計上されている硬貨と「対」になる貸方(右側)の債務は存在しない。借方の硬貨と「対」になる貸方は、政府の純資産なのである。 バランスシート上の「純資産」とは、これは企業会計でも同じだが、損益計算書上の「最終利益」が蓄積されたものだ。政府はおカネを発行することで、無から利益を発生させ、バランスシートの純資産として積み上げることが可能な存在なのである。 おカネの発行利益のことを、シニョリッジ(通貨発行益)と呼ぶ。シニョリッジとは、フランス語で「封建領主」を意味するシニョールに由来する。 さて、まとめるが、おカネの正体は「債務と債権の記録」であり、かつ政府は「債務」にならない形でおカネを発行することができる。これらを理解すれば、「経済力」と「おカネの量」が必ずしもイコールにならないことがわかるだろう。 経済力とは、何なのだろうか。次週、明らかにする。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2015年04月29日 12時00分
局内も疑心暗鬼の上重アナがスキャンダル連続で総スカン
ABCマートの元会長から利益供与を受けていた問題で大ヒンシュクを買っている日本テレビの上重聡アナウンサー(34)。当初、日テレとしてはキャスターを務める『スッキリ!!』を続投させる方向で考えていたが、ここに来て風向きが大きく変わり始めたという。 「日テレサイドが上重続投にこだわった理由は、4月という時期の悪さと、週刊誌に屈したくないというつまらないプライドです。さらに究極の理由はABCマートに対する配慮。上重アナを気に入っている元会長の顔を立てている訳です」(関係者) ところが、相次ぐ上重アナのスキャンダルに日テレ上層部もサジを投げたというのだ。つい最近も『週刊文春』(4月23日号)で上重アナがソフトバンク・松坂大輔投手から'06年WBC優勝時に譲り受けたサインボールを横流ししたと報じられた。もっとも、この一件に関しては日テレ広報・IR部は「事実無根」と完全否定。「法的措置も検討する」とのコメントを発表している。 「確かに、この一件は上重サイドに分があるようですが、上重に関する醜聞は他にもまだあると言われています。日テレ上層部も上重アナに対し、他に何かあるのではと疑心暗鬼になり始めているんです」(事情通) さらに、ABCマート以外のスポンサーも怒り始めている。 「最近の視聴者は出稿しているスポンサーに対し直接クレームを付ける。この事態に不慣れなスポンサーが撤退を考え始めているんです」(広告代理店関係者) CM出稿の取りやめを検討している企業は10数社に及ぶという。 「金額にして10数億円。ABCマート一社ではとても賄えません。最終的には上重アナを切る方向で調整するしかない」(事情通) いよいよ崖っぷち。
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社会 2015年04月28日 14時00分
習近平が大粛清 いま中国軍内部で起きていること(2)
また、米CIA筋の関係者がこう語る。 「国家主席就任が確実視された'12年8月には、習氏が出席予定の共産党指導部の会議室から時限爆弾が発見され、前後には毒殺未遂事件も起きている。まさに暗殺計画はこれまでにも、スレスレで回避されてきたと言えるのです」 一説には、こうした暗殺未遂事件の多くは、江沢民元国家主席の流れを酌む周永康前政治局常務委員が指示していたともいわれてきた。その同氏が昨年12月に収賄罪で摘発されたことから、一時はこの動きも鳴りを潜めるかとも見られたが、実情は全く逆の様相を呈しているのだ。 「軍部とは別に、共産党内にも粛清された江沢民一派や胡錦濤一派の怨念が渦巻いている。汚職撲滅を掲げ、政敵を次々と殲滅している習氏が、出身派閥ともいえる太子党官僚の汚職にフタをし続けているからなのです。そのため、党内には『徐氏は病死ではなく暗殺された』『今こそ正義の知略(クーデター)を振るうべきだ』との声が渦巻いているのです」(前出・CIA筋関係者) もっとも、習氏もこうした動きは織り込み済み。自らの危険を回避するために、ここにきて急速に身辺警護を強めているという。 前出の特派記者がこう明かす。 「習氏は昨年暮れから年明けにかけて警護隊の大幅な人事刷新を行い、腹心部隊で固めたのです。その筆頭が北京軍区全体の統括トップに任命された宋普選氏。また、北京軍区の中でも習主席や党幹部らが居住する中南海を護る司令塔に藩良時氏、中南海警備部隊のトップに王寧氏を就任させた。さらに北京管区の武装人民警察のトップに王建平氏を任命。これら重要ポストの大半は、習氏が中国トップに上り詰めるきっかけとなった浙江省共産党委書記時代の腹心ばかりなのです」 また、習氏の過剰な自衛ぶりはこれだけではない。この3月には、中南海と「全国人民代表大会」の特別警護を任務とする党中央弁公庁警衛局のトップである曹清局長を、いきなり解任。副局長を後継に就任させたほどなのだ。 「実は、この突然の人事刷新の裏には、警備局内で画策されたクーデターが発覚したためともいわれている。曹氏がこれに関与していたかは判然としないが、今では習主席は党や警察、軍の幹部らに強い不信感を抱いており、食事の際には毒見をさせているとの噂も噴出している。また、地方視察の際にも当日に警備陣の総入れ替えをしたり、移動ルートの変更も少なくないのです。そのため、さらなる危険を冒してでも、軍部の掌握に手を付けたと見られている。習氏にしてみれば政敵の排除は、もはや戦争と同じなのです」(前出・中国軍に詳しい事情通) もしもこれが事実なら、攻防戦はまだまだ続くはず。習近平主席が“返り血”を浴びる日は、そう遠くなさそうだ。
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社会 2015年04月28日 11時00分
GW直前緊急特集 巨大地震を呼ぶ火山噴火「警戒地域」〜富士山、蔵王山、吾妻山、桜島、御嶽山ほか〜(2)
噴火の可能性があるのは何も東北の火山に限らない。現在警戒レベル1程度の火山でありながら、専門家の目から見れば噴火の恐れのある火山はある。 「浅間山、三原山、阿蘇、霧島などの火山は、本格的な噴火をした後、本来なら火口底が300メートルほど沈まなければならないのに、上空から見ると火口底が目視できる。これはつまり、太平洋プレートにマグマがギュッと押し上げられた状態が続いているということです。このように上空から確認できる以外にも、マグマが押し上げられた状態の火山は増えていると考えています」 こう語るのは、御嶽山の噴火を予測していた琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏だ。 その中でもとりわけ気掛かりなのは、伊豆大島の三原山だという。 木村氏に続けてもらおう。 「三原山は日本の“ヘソ”と言えます。地震についても噴火についても、シグナルを出し続けている。そのメカニズムはこうです。まず三原山が大噴火し、その後、北海道、東北で地震が起きる。やがて三宅島などが噴火し、その後にやって来るのが、南関東での大地震なのです」 関東大地震(1923年)でもそうだった。大震災の起こる5年前に千島列島の一つの得撫島で、M8.6の巨大地震が発生。大震災の半年前には、三原山で噴火を記録している。 '53年の房総沖地震(M7.5)も同様だ。 「その前年には、M8.2の十勝沖地震があり、続けて三原山が小噴火を起こし、房総沖地震へと至るわけです」(同) 最近の三原山を見れば、'86年に大噴火し、'93年〜'94年にかけては北海道・東北でM7.8の巨大地震が2度、M8.1が1度発生している。そして、2011年には東日本大震災が発生。三原山噴火をめぐる巨大地震の勃発は、驚くほど一致しているのだ。 「三原山噴火はおおむね30年周期です。前回の大噴火が'86年ですから、今度は2016年前後。ということは、いつ噴火しても不思議はないということです。私のグループの研究者が目視したところ、火口底は上がったまま。つまり、噴火の準備ができていると見ていい。噴火の直前まで警戒レベル1ということもあり得ますから、ゴールデンウイークの登山は警戒レベルだけを頼りにしない方がいいでしょう」(同) 一方、九州の火山はどうか。雲仙普賢岳、阿蘇、霧島、桜島など、九州には活発に活動する火山が多い。 まずは霧島。国土地理院は火山周辺に4つのGPS観測点を設置し、山の変化を調査している。地下にマグマが蓄積されると山全体がわずかに隆起し、観測点間の距離が広がるためだ。 結果、2009年末からマグマ供給が急速に進み、えびの観測点と牧園観測点の距離が'11年1月までに約4センチ広がった。その後、噴火で大量のマグマを放出したため、2点の距離は約3センチ縮んでいる。ところが、昨年9月までに再び約3センチ広がった。これは、マグマ蓄積量が'11年の噴火直前の水準にまで達していることを表し、「新燃岳の再噴火はかなり近づいている」(前出・サイエンスライター)という。 また、過去に死者を伴う大噴火を起こしたこともある桜島も同じく脅威だ。 「桜島の場合、日本で今まで起きてきた100年に数回の大噴火が起きることも十分考えられる」 と地元の火山学者は言う。 実際、年明けからは「山体膨張」の変化が観測されている。気象庁は「地下のマグマが上昇しているため」と見ており、場合によっては火砕流を伴う大噴火を起こす可能性もあるとして、地元民は避難訓練も実施している。控えめに発表する気象庁が警告するほどなので、その可能性は高いともいえる。 「過去100年、日本の火山は非常に静かでした。しかし歴史をひもとくと、100年に4〜5回は大噴火を起こしている。桜島に限っていえば、1914年の大噴火が特筆に値するが、北海道駒ヶ岳の'29年の噴火も、それと並び20世紀に国内で起こった最大級の噴火です。これまで静かだったからといって、これからも静かだとは限らない。むしろ、これまでがレアケースだと思って備えるべきです」(前出・サイエンスライター) 油断できない噴火と巨大地震の連鎖。とはいえ噴火に関しては、注意しろと言われてもレジャーで登山に出掛けることもある。 防災ジャーナリストの渡辺実氏はこう注意を促す。 「たとえ警戒レベルが1であっても、まったく活動しないわけではないことを心得て侮らないことです。登山カードはしっかり書いて警察に提出してほしい。入山中はラジオ、携帯をオンにし、警報アラームが入ったらすぐにわかるようにしておくことが必要です」 自分の身は自分で守るしかない。
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社会 2015年04月27日 14時00分
習近平が大粛清 いま中国軍内部で起きていること(1)
中国の習近平国家主席が軍部掌握に向け、「大バクチを打った」と評判になっている。習指導部が突如、中国人民解放軍のトップである郭伯雄上将(72)を拘束したことが、このほど明らかになったからなのだ。 中国軍部に詳しい事情通が言う。 「粛清された郭氏は、胡錦濤前国家主席時代から230万人に及ぶ人民解放軍を率い、一時は中央軍事委員会第一副主席にまで上り詰めた“軍部のドン”。その人物が突如、拘束され、郭派閥ともいえる人民解放軍の約半数に不穏な空気が漂っている。一歩間違えば習主席に対する暗殺クーデターが起きかねない状況で、習氏もそれを覚悟でこの粛清に踏み切ったと見られているのです」 複数の関係筋の話を総合すると、習政権が郭氏を拘束した理由は汚職の疑い。すでに軟禁状態だった同氏を、4月9日に党中央規律検査委員会幹部が身柄拘束を通告したことが判明しているが、実はこの軍部粛清の動きは、それ以前から蠢き始めていたのである。 「発端となったのが、今年3月に立件された郭氏の息子、郭正鋼浙江省軍区副政治委員の収賄容疑です。指導部は息子を締め上げ、郭氏が軍事委副主席時代に部下から賄賂を受け取り、昇進や軍用地の転売などに便宜を図った容疑を固めたというのです」(同) また、習政権は昨年6月にも軍部を粛清。膀胱がんで病床にあった人民解放軍のナンバー2・徐才厚氏(今年3月に病死)をも、収賄で失脚させているのだ。 「“東北の虎”と呼ばれた徐氏は郭氏に次ぐ軍の実力者だったが、指導部は同氏が病気療養中であるにもかかわらず、他の軍幹部に気づかれないように電撃的に拘束した。この時にも『習主席は、胡錦濤政権の息がかかった軍幹部を根絶やしにするつもりか!』との声が上がり、一時、軍内部には不穏な空気が蔓延したほどなのです」(同) もっとも、習氏がこうした策略に打って出た裏には、背に腹は代えられない理由が存在するという。 実は習政権下では、同主席を狙う暗殺未遂事件が頻発しているともっぱらなのである。 全国紙の北京特派記者が言う。 「習政権は汚職官僚の撲滅を矢継ぎ早に進めているが、この政策への反発からか、すでに同氏を狙った暗殺未遂事件が6回も起きていると評判なのです。その直近の事件とも言えるのが、今年2月に陝西省西安市で起きた爆弾テロ。この時、習氏には同地の視察スケジュールが組まれていたが、宿泊予定のホテルに爆弾が仕掛けられ、それが事前に発見されたというのです」
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社会 2015年04月27日 11時00分
GW直前緊急特集 巨大地震を呼ぶ火山噴火「警戒地域」〜富士山、蔵王山、吾妻山、桜島、御嶽山ほか〜(1)
「もし蔵王山が噴火するのであれば、御嶽山の時よりも多少大きな噴火になる可能性がある」 ゴールデンウイークを前に蔵王山の噴火の可能性について、さる火山学者がこのように話し、地元では緊張が一気に高まっている。噴火警戒レベルも、火口周辺で小規模な噴火の可能性がある“レベル2”に引き上げられ、宮城・蔵王町では不安の声が相次いでいる。 「最も困るのは、噴火して地元の温泉街にも噴石が飛んできたり、溶岩流に巻き込まれるのではないかという風評被害です。この時期は稼ぎ時なので、キャンセルが相次ぐとやっていけません」(地元ホテル経営者) ただ、別のホテル従業員は「問い合わせが入ると、“大丈夫”とも言えない」と噴火の現実味に戸惑いを隠さない。 山形・宮城両県は、蔵王山での過去最大規模の噴火をもとに、ハザードマップを作成した。それによると、風向き次第で、約40キロ離れた仙台市でも降灰が予想される。 「仙台空港を発着する飛行機のほか、電車や新幹線の運行もストップすることが心配されます。降灰によって道路は非常に滑りやすくなり、電線が切れることもある。その点は、富士山が噴火した場合の横浜や東京の被害予想と同じです」(地元記者) 懸念はそれだけではない。蔵王山はいまだ雪化粧しているが、火口付近では、噴火して飛び出た噴石が雪を溶かし山の斜面を駆け下りる。発生した大量の水が土砂や岩石を巻き込みながら平野部まで到達する「融雪型火山泥流」となる可能性もあるという。 蔵王山の歴史をひもとくと、過去1000年間はおおむね100年に1回噴火したことがわかっている。 「前回噴火したのは1940年。これまでの噴火の歴史を見ると、もう少し先になりそうですが、東日本大震災の巨大地震の影響を加味しなければいけません」(サイエンスライター) 武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏も、巨大地震と大噴火の関連性を指摘する。 「1950年以降、M9クラスの地震は世界で7回起きている。そして、そのうち六つの地震では4年以内に近隣の複数の火山が噴火しているのです」 '52年のカムチャツカ地震(M9.0)では、翌日にカルピンスキ山が大噴火を起こし、その後、周辺の2つの火山が相次いで噴火。2年後の'54年にも一つの火山が噴火し、さらに'55年には、それまで1000年近く活動していなかったベズイミアニ山が大噴火を起こしている。 また、'57年にアラスカ州南西で発生したアリューシャン地震(M9.1)では、2日後にヴィゼヴェドフ山、1年半後にオクモク山が噴火した。 史上最大として知られる'60年のチリ地震(M9.5)、'64年のアラスカ地震(M9.2)、2004年のスマトラ地震(M9.1)、'10年のチリ中部地震(M8.8)でも、4年以内に周辺の火山が噴火。こうして見ても、3・11から4年経過した今、蔵王山が大爆発する可能性は極めて高いと言えるのだ。 「地元観光業者や気象庁は観光への影響を考えて控えめに言いますが、もし噴火すれば風評被害どころでは済まない深刻な実害が発生する。札幌へ飛ぶ航空機はあの真上を飛びます。火山灰を吸い込んでエンジンがストップしたケースは何度もあるのです」(同) 日本には海底も含め110の活火山がある。気象庁はそのうち「47の火山が100年以内に噴火する可能性がある」としている。3・11の最大の被災地、東北地方にあるのは、47座のうちの17座。中でも活動を活発化しているのが蔵王山、吾妻山なのだ。 「蔵王山の活動は抜きん出ており、昨年12月噴火警戒レベルが平常の1から2に引き上げられ、福島市が入山規制している。ところが、吾妻山の入山規制については、福島市は山頂付近の“大穴火口”から500メートルの範囲にまで縮小した。これは観光シーズンに合わせての措置です」(前出・地元記者) 長野県と岐阜県に跨る御嶽山の場合、当時は警戒レベル1だったにもかかわらず、昨年9月27日に突如として水蒸気噴火を起こし、死者・行方不明者62名を出した。観光客が大挙して押し寄せる今、何事もなければよいが…。
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社会 2015年04月26日 16時00分
今後も増えそうなリベンジポルノ
昨年11月にリベンジポルノを規制する法律(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)が施行されて4カ月が経過する。ところが、昨年末の時点で1カ月の間に全国の警察にリベンジポルノに絡む相談が110件も寄せられていたことが警察庁のまとめでわかった。 同法律は、交際相手だった人をプライベートで撮影した性的な画像について、写っている人を第三者が特定できる方法でインターネットに掲載するなどした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科すというもの。また、画像を拡散させる目的で特定の人に提供した場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金を科すとしている。 「発表によれば、被害相談のうち65件は20歳以下によるもの。その内容は『画像を公表した(公表する)と言われた』が最も多い42件で、続いて『画像を送りつけられた』が22件。また、全体における男女の関係においては『交際相手』が68件、次いで『ネット上だけの関係』といった知人友人が14件だった。警察は対処として、プロバイダーなどに画像の削除を要請するなどしているが、一度ネットに上げられ拡散したものを完全に消去することは非常に困難です」(ネットライター) 法律が抑止にならなければ、結局は安易に自分の写真を撮らせないことが一番の対策となる。 ジャーナリストの窪田順生氏が言う。 「恋人同士がスマホなどでハメ撮りした写真を雑誌に投稿するケースも相当数ある。彼らにとっては、その時は自分たちの営みを撮影することで大いに盛り上がるわけです。このご時世、リベンジポルノなどは、中学高校の時から、そういうことをやると人生を棒に振る、簡単に写真を撮らせることもいけないと、しっかり教育の場で教えていかないとダメです。いきなり議員立法で成立させても、いたずらに混乱させるだけだと思います」 ネット社会の今、若者の価値観が改まらない限り、リベンジポルノは無くならないのだ。
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社会 2015年04月26日 14時00分
「物言う株主」村上世彰氏の復活で震え上がる標的企業
“村上ファンド復活!”と市場筋が囃している。9年前にインサイダー取引で逮捕・起訴されたのを機に表舞台から去っていた村上世彰氏が、電子部品商社・黒田電気の株式を個人名義で5.94%取得したことが明らかになったのだ。かつてのモノ言う株主が“昔の名前”で堂々と復帰宣言したことから個人投資家が“おこぼれ”にあずかりたい一心で群がり、黒田電気株は一時ストップ高となった。 「黒田電気では“村上ファンドの残党”とされるC&Iホールディングスが買い出動しており、これで保有株はトータル10.96%に達している。資産はタップリある会社だから増配要求などで会社を揺さぶり、最終的には高値での自社株買いに追い込む作戦でしょう。これぞ、株買い占め屋の常とう手段です」(証券記者) もっとも、御大の村上氏復活に先駆けて数ある村上ファンド“残党組”は、とっくに市場で存在感を放っている。エフィッシモ・キャピタル・マネージメントはヤマダ電機、セゾン情報システムズを、レノはアコーディア・ゴルフ、自動車部品メーカーのヨロズを−−。 いずれも大量の株取得と御大譲りの荒業で、会社側をかき乱している。 中でもストラテジックキャピタルは、2.85%の株式を保有する会計用ソフト開発の日本デジタル研究所に対し、積立金を取り崩しての自社株買いを要求。社長の兄が経営する税理士事務所との委任業務に疑義があるとして東京地裁に取締役会議事録の閲覧を請求するなど、まさに“モノ言う株主”の本領を発揮している。 「日経平均株価が15年ぶりで2万円の大台に達する中、これで残党組が御大の下で一本化でもすれば、標的にされた企業は震え上がるでしょう」(市場関係者) 投資先企業のだらしなさを諭し、株主価値向上を徹底追及するその姿勢を見るにつけ、“ちょうちん買い”の個人投資家など、まだかわいい部類かもしれない。
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