社会
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社会 2015年05月23日 18時00分
亡くなった家族の遺品整理はどうしたらいいの?
大切な家族が亡くなった時、どうしても必要に迫られるのが遺品整理だ。亡くなった家族が一人暮らしだったら、遺族の誰かがやらなくてはならない。 特に遠方に住んでいる場合は、やりたくても、なかなかできないから切実な問題だ。同居、あるいは近くに住んでいても、「仕事が多忙でやる時間がない」「亡くなったショックや思い入れがあって、やる気持ちが起きない」といった理由で、できないケースもある。なかには、「やらなければならないが、亡くなった家族と疎遠、不仲だったため気が進まない」といった事例もあろう。 そんな時、どうしたらいいのか? まさか、大切な遺品の整理を人様に頼むわけにはいかない。そこで、存在するのが、いわゆる遺品整理業者だ。おおむね、業者は年中無休24時間体制で緊急でも対応してくれる。 神奈川県川崎市に本社を構え、関東、関西エリアで遺品整理業を営む株式会社ロードの専務取締役・鷹田了氏に現状を聞いてみると、「核家族化が進んだことにより、9割以上が亡くなった方と別居のご遺族からの依頼です」と言う。 一人暮らしだった場合、病院で亡くなったケースはいいが、自宅で孤独死してしまった際は、気付いた時には異臭が漂ってしまっていることもある。そんな時、業者は異臭を除去する特殊清掃も行っている。 困るのは、亡くなった方が賃貸住宅に住んでいて、孤独死した場合だ。大家は原状回復を望むが、「どこまでが原状回復か?」で大家と業者の間で、厳しいやりとりがなされることも少なくないという。 「原状回復には明確な基準がなく、大家さんが過剰な請求をしてくるケースもあります。我々はあくまでも大家さんと遺族との間の中立的な立場で、どちら側に付くわけにもいきません。その板ばさみで苦慮する時もあります」(前述の鷹田氏)といった苦労話もあるようだ。 遺族が求めるのは、「故人の思いもあって、遺品を無駄にしないでほしい」ということ。核家族化が進んだことで、大型の家具などは遺族も引き取れないが、業者では単に遺品を撤去するだけではなく、分別し、貴重品の捜索もしてくれる。リサイクルが可能なものはリユース品として販売する他、衣類などは海外に送って再利用してもらうことで、遺族も喜んでくれるという。 気になる費用だが、業者によって差はあるが、1ルームで4万円前後、1LDKで8万円前後、2LDKで15万円前後、3LDKで20万円前後といった具合。これは、遺品の量、搬出条件、派遣する人員などによって増減する。ハウスクリーニング、エアコンの取り外しなどのオプションも、別途料金で対応してくれる。 遠方であれば、出向く交通費もバカにならない。遺品整理のため、仕事を休めば、減収する場合もあるだろうし、手間もかかる。それを考えれば、遺品整理業者の費用はそれほど高いものではないだろう。 身寄りがない一人暮らしの方は、終活として、生前に万が一の時に備えて、後見人などに依頼をしておくのが無難だ。 ただ、なかには常識外れの高額な料金を請求して来たり、遺品を不法投棄したりする業者もいるという。多くの良心的な業者は見積もりを出してくれるので、業者選びは慎重にすることをオススメする。※取材協力/遺品整理ロード(神奈川県川崎市麻生区岡上263-110)(山本 生道)
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社会 2015年05月23日 17時00分
淫行逮捕 フィリピン国籍元芸能プロダクション社長の闇背景
5月13日、モデル志望の中学生少女(15)にわいせつな行為をした疑いで、フィリピン国籍の芸能プロダクション元社長を逮捕した。 容疑者は昨年9月24日、都内のイベント会場でスカウトした15歳の少女を目黒区青葉台にある社員用マンションに誘い「そのスタイルなら必ず売れる。俺が売れるようにしてあげるから」「グラビアをやるために体形を確認しよう」などと言って服を脱がせ、性行為に及んだ。 「さらに容疑者は『モデルの子はみんなやっていることだから、誰にも言っちゃダメだよ』と口止めし、12月までの間に10数回にわたり相手をさせていた。他にも自身が発行する雑誌のモデルや芸能界を志望する少女らに法外な契約料を要求し性行為を繰り返すなど、相当な余罪があるとみられている。中には、契約料を断わったために交際クラブに登録させられ、支払いを迫られた被害者もいるようです」(社会部記者) 容疑者はフィリピン人の父母の間に生まれ、来日後間もなくその両親が離婚。母親はすぐに日本人男性と再婚し、以来、岐阜県内で育った。 「彼を知る人物によれば、中学時代には強い腕っぷしを武器に悪さを繰り返し、卒業後は地元の不良グループに属していた。エアマックス狩りやビンテージジーンズ狩りなどの恐喝で有名だったそうです」(同) 一方、今回の事件は最近の特異な犯罪へのフィリピン人関与を浮き彫りにしている。'13年10月に東京・三鷹市で18歳の女子高生が殺害され、被害者のわいせつ写真、動画をネット上にさらす 「リベンジポルノ」としても注目された事件の犯人、池永チャールス・トーマス被告(殺人罪などで公判中)は母親がフィリピン人。 今年2月に神奈川県川崎市で中学1年生の上村遼太君(当時13)が、複数の少年に殺害された事件の主犯格(18)も母親がフィリピン人のハーフだった。 「日本国内のフィリピン人女性は母国への仕送りや帰省費用などで金銭的な負担を抱える。離婚例も多く、生活・教育水準も低下し子供が落ちこぼれる場合が多い。そこに周囲の差別が拍車をかけ、グレるフィリピン人ハーフが増えている背景もあります」(同) 被害者が少女となれば、見過ごすことはできない。
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社会 2015年05月23日 15時00分
ヤマダ電気の助っ人ソフトバンクvs村上ファンド残党の攻防戦
ヤマダ電機がソフトバンクとの資本・業務提携を発表した。ヤマダが進める省エネ住宅『スマートハウス』などで協力するとしているが、額面通りに受け取る関係者は皆無に近い。 ヤマダの現在の筆頭株主は、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントという旧・村上ファンド出身者が設立した投資会社。発行済み株式の17%弱を保有し「物言う株主」として不気味な存在感を増している。市場筋は「エフィッシモに対する防衛策としてソフトバンクにすり寄った。安定株主作りが最大の狙いだろう」と解説する。 ソフトバンクはヤマダの自社株5%を227億円で引き受ける。これに創業者の山田昇社長の保有分(9%=資産管理会社分を含む)をトータルすると14%で、ほぼ拮抗する。とはいえ、ソフトバンクの孫正義社長は「根っからの商売人」(関係者)。請われてヤマダ株を取得し、大金を投じる以上、より大きな見返りを期待しないわけがない。 「ヤマダ電機はソフトバンクだけでなく、ドコモやauなどの携帯電話も扱っている。孫社長がヤマダの店舗網をフル活用しようとすれば、ライバルを一斉に締め出す作戦を取るのは明らか。遠からずソフトバンクの軍門に下らないとも限りません」(大手証券役員) これぞ野心家で知られる孫社長によるヤマダ電機の“機関店舗化”だが、問題は筆頭株主としてにらみを利かせるエフィッシモがこの事態を許すかどうか。何せ、転んでもタダでは起きないという点では、あの村上世彰氏譲りの荒業を駆使して標的企業を震え上がらせてきたエフィッシモの方が役者は上手。むしろ孫社長がヤマダ電機の応援団長にシャシャリ出たことで「相手にとって不足なし」とばかり、ファイティングポーズを取る可能性は十分ある。 「ダボハゼ路線を突き進んだ孫社長は意外にも脇が甘く、むしろヤマダ電機よりも攻略しやすいかも知れません。村上ファンドの残党は内心、『カモが2羽に増えた』とニンマリしているはずです」(市場関係者) 二兎作戦は吉か凶か。
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社会 2015年05月23日 11時00分
安倍首相との会食で急浮上 巨人原監督参院選出馬とスポーツ庁長官就任
今季限りの勇退が囁かれる巨人・原辰徳監督。今度は永田町方面からも情報が流れてきた。2020年東京五輪をにらみ、安倍政権が今年10月に発足させるスポーツ庁の長官就任を画策しているというのだ。 この話を裏付けるようにシーズン真っただ中の5月11日、原監督は首相官邸に招かれ、安倍晋三首相と会食した。原監督と巨人の契約が今シーズンで満了することもあり、さまざまな憶測を呼んでいる。 「首相との会談は'13年3月の開幕直前に続く2度目で、その際は文字通り激励会でした。今回も首位を横浜DeNAに明け渡した時期と重なり、叱咤激励にも映りますが、背景にあるのがスポーツ庁長官就任の打診。そして次期参院選への出馬要請だったようです」(スポーツ紙デスク) 夕食会から2日後の13日、国会が動いた。参院本会議でスポーツ庁を設置するための文部科学省設置法改正案が採決され、全会一致で可決。今年10月の発足が決まった。 「初代長官には元Jリーグチェアマンで日本サッカー協会最高顧問、日本バスケットボール協会会長の川淵三郎氏が最有力視されています。これに猛反発しているのが、Jリーグ発足時から犬猿の仲として知られる渡辺恒雄・読売新聞グループ会長。川淵氏への刺客として“至宝”の原監督を自民党に差し向けたとみられているのです」(同) 時間的に原監督の初代スポーツ庁長官就任は不可能に近いが、来年なら十分に可能。ひとまずワンポイントの長官でつなぎ、原監督にバトンという作戦か。 「巨人との契約が今季で満了するのを見込んで、首相は来年7月の参院選へ担ぎ出そうとしているのです。本来なら参院選当選後に入閣が定石ですが、小泉政権では民間人の竹中平蔵氏を経済財政政策担当大臣に抜擢し、その後の参院選で自民党比例代表に出馬させてトップ当選した例がある。原監督にもこのウルトラCを用意しているようです」(日本テレビ関係者) 今、行動に移さなければ、原監督の今後に向けて各方面から交渉が進行することから、新たな契約を結ぶ前に青田刈りというわけだ。落選後の繰り上げ当選となった堀内恒夫元巨人監督とは違い、原監督は女性人気も高く、東海大グループの組織票も計算できる。当選確実の上に比例票も大量に獲得でき、自民党にとってもメリットは計り知れない。 「実は原監督、趣味はNHKの国会中継鑑賞という無類の政治好き。現役時代から自民党支持を表明するなど、将来の政界転身をにおわせていました。ヤクルトファンの安倍首相とは“支持球団”こそ違え、政策は近い。一方のナベツネさんとしても、原監督がV4を置き土産に政治家へ転身をするのであれば“格好がつく”ともくろんでいる。おそらく、真意はそこらあたりにあるのでしょう」(ベテラン巨人担当記者) 安倍首相と渡辺会長のそれぞれの思惑に振り回されそうな原監督。 腹の内はいかに…。
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社会 2015年05月21日 16時00分
新宿歌舞伎町「第2次ぼったくり」で起きていること(2)
「同胞」と安心させ、外国人が外国人をぼったくりするパターンも急増している。 影野氏が続ける。 「歌舞伎町は韓国人や中国人、もしくは若いカップルだらけになりました。ゴジラの登場もあって、このところ田舎からやってくる人たちも増えた。『歌舞伎町は危ない』といわれているのに、わざわざ(笑)やってくる。まさに歌舞伎町は、怖いもの見たさに人がやってくるサファリパークのような場所です。キャッチにしても、昔は脱サラで一攫千金を夢見て30歳を超えてもキャッチになりたがる人がたくさんいたもんですが、今は半グレが何も考えずに『ひとまずキャッチでも』『キャッチくらいしかできない』という“でもしか”キャッチが増えています。僕らがぼったくりをしていた時代は、客が数十万円を払ってショックを受けているところへ『せめてものプレゼントです。ヘネシーをどうぞ』と酒をおごってショックを和らげたものです。まあ『ヘネシーです』といっても、トリスに味の素をかけて味をヘネシーっぽくしたバッタものですが(笑)。昨今の“第2次”ともいえるぼったくりは、すぐに暴力を振るったりと、まるで余裕がないのも特徴ですね」 シャレのような話ではあるが、シャレにならないのは毎晩、交番の前で店と客が「話が違う」ともめていることだ。もはや新宿署から伝わる話では「夜の電話を取るのが鬱になってきた」という署員もいるほど「ぼったくられた」という電話が頻発しているのだ。 歌舞伎町のぼったくり事情に詳しく、自ら『歌舞伎町ぼったくり被害相談室』を開設している青島克行弁護士(うみとそら法律事務所)が語る。 「そもそも、まともな店が客ともめるわけがないのです。警察がもっと裁量を発揮して、まず客と店との連絡先を交換させ、ひとまずは帰すという対応をしてくれればいいのですが、警察が『民事不介入』と言って『当事者同士で話せ』と突き放しているのが問題です。条例違反の点についても、防犯カメラの活用をすれば客引き行為の立証だってできるはずですし、料金トラブルが毎晩のように起こるのは、店側が料金説明義務を果たしていないからだと警察が断定してくれればいいのです」 ぼったくるアホウにぼったくられるアホウ…。 「ぼったくりに遭ったら、もうキャッチのセリフからずっと録音しておかないと証拠にはなりませんよ。警察も、被害届を受理するのが面倒だから書類にしたくない。話し合ってくれと帰すのは、面倒を避けたいだけです」と影野氏も言う。 ぼったくりを「人生勉強になった」と見るか、それとも「人生最悪の出来事」と見るか…。歌舞伎町には今宵も“甘く危険な香り”が漂っている。
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社会 2015年05月20日 16時00分
新宿歌舞伎町「第2次ぼったくり」で起きていること(1)
東京・新宿歌舞伎町−−。4月、コマ劇場跡地にオープンした『TOHOシネマズ新宿』は、都内最大級の複合映画館。ビルの屋上からのぞく等身大ゴジラの顔のオブジェは新たな観光名所となり、このゴールデンウイークも大いににぎわいを見せた。 だが、この街には依然として深〜い闇が存在する。“ぼったくり”の被害が絶えないのだ。 警視庁によると、歌舞伎町でのぼったくりに関する通報は今年1〜3月で約700件もあったという。防犯カメラがそこかしこにあり「客引きは全て違法です!」と繰り返しアナウンスが轟いているにもかかわらず、それでもキャッチに引っ掛かり、「3000円ぽっきり」「1時間2000円」などのフレーズにうなずいて入店した揚げ句に「1人30万円です」とコワモテの店員に請求され、泣き寝入りしている人が後を絶たないのだ。歌舞伎町には、いまだ1000人ものキャッチがいるといわれている。 今年に入り、キャバクラ店『ALTANA』従業員ら2人を恐喝容疑で逮捕、同じく『grandoir』従業員ら4人を強盗の疑いで逮捕、同じく『LUMINE』従業員ら4人を暴行容疑で逮捕…。警視庁新宿署は大忙しだ。 「横暴な料金請求です。『ALTANA』では、キャッチが客にした話では70分4000円だったところ、1時間飲食しただけで62万円を請求したようです。警察は以前からこの店をマークしており、複数の被害者から事情を聴いていました」(全国紙社会部記者) 1999年、新聞に《梅酒1杯15万円》の見出しで報道されたぼったくり事件で逮捕された“元ぼったくりの帝王”こと作家の影野臣直氏は、『ぼったくり防止条例』ができる基点となったことで知られ、歌舞伎町のぼったくり事情に精通している。 「今のぼったくり店は“にわか店”です。他の場所からブラリとやってきて1、2カ月で稼いではまた他の盛り場に移るということをやっている。そもそも歌舞伎町には、ぼったくり条例ができたといっても、昔から連綿とぼったくりはあったわけです。この条例は『明確な料金の義務化』と『乱暴な言論や暴力による料金不当取り立ての禁止』をうたっていますが、値段表なんて例えば店内を赤い照明にして赤い文字で書けば読めませんし、料金取り立ても外部と連絡が取れるようにしておけば、何回もやんわりと『遊んだ分は払って下さい』と丁重に請求すれば条例には触れない。キャッチが言っていた値段とは違うという主張も、店としては『そんなキャッチは知らない』と言い張ればいいだけです。抜け道はいくらでもあるんですよ。客は、払わないと無銭飲食になるわけです。そもそも“サービス業”で登録すると、飲食物はいくら値段を付けてもOKなのです。警察を呼んでも『当事者同士で話せ』と言われるだけです」
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社会 2015年05月19日 16時00分
首位陥落でもビクともしない! トヨタ王国自信と過信
日本の自動車産業史に残る一つの大きな“事件”と言っていいだろう。2014年度の世界新車販売で、トヨタ自動車がついにドイツのフォルクスワーゲン(VW)の後塵を拝し、2位へ転落したのだ。 グループの総販売台数はVWの約1018万5000台に対し、トヨタは1016万8000台で、その差は2万台弱だった。この数年、VWは急激に成長を遂げており、既に米GM(ゼネラルモーターズ)を抜き去っていた。その余勢を駆って「今年中にはトヨタを抜いて世界一に躍り出るのではないか」との観測しきりだった。それが1年前倒しで実現したのである。 もっとも、暦年(1〜12月)ベースではトヨタ1023万1000台、VW1014万台と、トヨタが約9万台上回っていた。昨年1〜3月に4月の消費増税をにらんだ駆け込み需要から、国内販売が急増していた分が大きい。暦年ではその分がカウントされるが、4月からの年度ベースではカウントされない。その違いがあるとはいえ、VWに盟主の座を奪われたのは事実である。 トヨタ首脳陣は、さぞショックに打ちひしがれているかと思いきや、「むしろ『トップ転落は織り込み済み』とサバサバしている面々が少なくない」とウオッチャーが打ち明ける。 かつて拡大路線を突き進んだトヨタは2008年のリーマン・ショックに直撃され、巨額の赤字に塗れた。何せ'08年3月期に2兆円を超えていた営業利益が、翌'09年3月期には4600億円の赤字に沈んだのである。その反省を踏まえ、'13年から新工場建設を3年間凍結すると発表し、むやみに販売台数を追わず、生産性など利益重視の経営に徹してきた。 これに対し、トップ奪取の大目標を掲げたVWは“イケイケドンドン”とばかりに積極投資を重ねてきた。だからこそ、年度ベースでVWの後塵を拝したことにもトヨタ首脳は「想定の範囲内と受け止めている」というのだ。 むろん、トヨタとて2位や3位の座に安住する気などサラサラない。現に4月半ばには'13年に掲げた「3年間凍結」の方針を1年早く解除し、総額1500億円を投じて中国とメキシコに年間生産能力それぞれ10万台、20万台の工場建設を発表した。その狙いは「下手するとVWとの差が一気に拡大する。だからVWに追い付き、抜き去るべく前倒しで手を打つ必要がある」ということに尽きる。 「豊田章男社長は去年5月の決算会見で『意志ある踊り場』と表現し、規模の拡大よりも長期的視野に立った競争力を磨くことの必要性を訴えた。ところが当時は距離があったVWに、その“踊り場”でアッサリ抜かれてしまった。対外的にどう釈明しようと、御曹司がこれに焦らないわけがない。そこで『VWと競うには迫力不足』の陰口を承知で中国、メキシコの工場建設にGOサインを出した。建前はともかく、着工を1年遅らせたらVWの背中が遠のくと思ったからです」(経済記者) トヨタはハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)では、突出した技術力を誇る。この点ではVWやGMといえども、足元にも及ばない。しかし、自信と過信は表裏一体の関係にあり、一歩誤ると無用の敵を作りかねない。 トヨタは新年早々、FCVの特許を東京五輪が開催される'20年末まで無償で解放すると発表した。ところが「自社技術を普及させ、世界のFCV市場を主導したい」との魂胆が透けて見えることから、ホンダをはじめ国内勢は距離を置いている。当然ながら海外勢の腰も重い。FCVで一気に世界制覇を狙ったトヨタの野望は、早々に頓挫した格好なのだ。 「自動車業界では、技術は日産、エンジンはホンダといわれている。それに対し『販売のトヨタ』ですからね。FCVで国内外に敵ばかり作った揚げ句に失速したら、それこそ目が当てられません」(前出・ウオッチャー) 今春、FCVの特許開放と並んでトヨタの英断と称されたのが、下請けメーカーに対する値下げ要請の見送りだ。トヨタはこれまで450社の1次取引先に対し、値下げ要請を年2回行ってきた。ところが'14年度下期(昨年10〜今年3月)に続いて'15年度上期(4〜9月)も実施すると発表した。トヨタ王国を支える下請けへの“気配り”には違いないが、その分社員のベースアップにつながるため「FCV普及でタッグを組む安倍政権へのゴマ擦り作戦だ」との冷ややかな見方さえくすぶっている。 国内の販売も消費増税後の今年3月まで、実に12カ月連続で前年割れとなっている。状況は決して楽観できるものではないが、プライドだけはめっぽう高いトヨタのこと。その“反撃”を世界中が注目している。
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社会 2015年05月19日 10時00分
達人政治家の処世の極意 第一回「田中角栄」
戦後政治史の中で、一方で金権政治家の声もあったが、カリスマ性において突出していたのが、田中角栄元首相であった。 その天才的な政治手腕と「情と利」を駆使した人心収攬術で一政治家としては前代未聞、最盛時史上最大の141人の派閥を擁し、全国津々浦々に広大無比の人脈を構築して圧倒的な影響力を発揮、長く政治権力の座を死守したことは知られている。ために、名言・至言は溢れるほどあり、その一つが表記のそれである。 田中は配下の若手議員などに、よくこう言っていた。 「世の中は白と黒ばかりではないぞ。敵と味方ばかりではない。その中間に広大なグレーゾーンがある。そこを取り込めるかが、人の支持が集まるかどうかの最大のポイントだ」。そして、続けた。「その辺がわからん奴に天下が取れるわけがない」と。 結果、その配下から実に6人の総理大臣を輩出させた。異例である。竹下登、細川護煕(もりひろ)、羽田孜、橋本龍太郎、小渕恵三、鳩山由紀夫であり、彼らはその田中の言葉を常に胸に置き、天下を取ったのだった。 田中は旧制高等小学校卒、汗と涙、人に揉まれ、裸一貫で働く中でこうした言葉を学び取った。組織というものは、自分を支持してくれる人間が一握りはいる。他方、人の言動すべからく気に入らずの強固な批判、反対派がやはり一握りはいる。その間に、自分に利があれば支持し、損となれば距離を置くという“日和見組”が山のようにいる。この日和見組が、まさに広大な中間地帯、グレーゾーンというわけだ。 しかし、このグレーゾーンの人間がドッと動けば、組織内の世論となることが重要だ。この世論を取り込めば、自分にとっての支持の輪が一挙に広がるということである。田中はそのために、「バカになってでもグレーゾーンへの目配り、気配りを忘れるな。面倒と思っても、そうした連中の意見に耳を傾けろ。我を通すだけが能じゃないぞ」とも教えたのであった。 一方、田中にはその死後、後継としてのちに外務大臣になった田中真紀子という娘がいる。女性議員の中での政治センスは群を抜き、がんじがらめの官僚制度に風穴を開けられる人物とされ、「日本初の女性総理大臣はこの人」との声もあった。しかし、結局は父親の最も大事なDNA(遺伝子)を欠落させていたことで、そのチャンスを逸したのだった(現在、落選中)。 なぜ、真紀子はチャンスを逸したのか。 まさに、父親が死力を尽くしたあのグレーゾーン取り込みのための目配り、気配りがまったくできていなかったからにほかならない。我を通すことが優先され、例えば外務省でも省内改革を目指したものの、逆に外務官僚からヘキエキされて距離を置かれる結果となり、改革の志半ばで外相も解任されてしまうというテイタラクだったのだ。 そうしたグレーゾーン取り込みの“秘策”として、田中は次の言葉も強調した。 「自分の言葉で話せ。借り物は必ず人が見抜く」と。田中は自分の名代で演説に出掛ける秘書などに、こうクギを刺したものだった。「いいか。わかったようなことを言うな。気の利いたことを言うな。そんなものは聴いている者は一発で見抜く。借り物でない自分の言葉で、全力、誠心誠意でやれ。そうすれば、人は聞く耳を持ってくれる」 自分の言葉で話せるかどうかは、人を説得できるかどうかの大きな分かれ目になる。 よくシタリ顔でウンチクを傾け、まくし立てたりする話し手がいるが、よく聞いていると自分の言葉がないことがある。本、新聞、テレビ、あるいは友人、知人から借りた“他人の言葉”の羅列だったりする。 しかし、ある程度、世の中で揉まれた聞き手なら、そんな借り物は信用していないということである。「こいつは何もない男だ」、会社に戻るより早く、商談決裂の電話が入っていたりするのである。 稚拙でも構わない。自分の少ない経験に、この仕事への意欲をプラス、とにかく誠心誠意、自分の言葉で話すことだ。 第一、かわい気がある。かわい気があれば、相手は少なくとも聞く耳を持ってくれる。身を乗りだしてくれるということである。「説得の極意」ということである。“論語読みの論語知らず”が通用するほど、世の中は甘くない。 「真理は常に中間にある」。このこと一つを人生訓にしただけで、周囲の見方は大きく変わる。人間、時にバカになることも必要ということである。=敬称略=■田中角栄=第64・65代内閣総理大臣。新潟県出身。働きながら専門学校で土木業を学び、後に共栄建築事務所と田中建築事務所を設立。その後、衆議院議員選挙に当選。通商産業大臣、大蔵大臣、郵政大臣、内閣総理大臣などを務めた。小林吉弥(こばやしきちや) 永田町取材歴46年のベテラン政治評論家。この間、佐藤栄作内閣以降の大物議員に多数接触する一方、抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書多数。
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社会 2015年05月18日 16時00分
地震専門家が警鐘 富士山大噴火、そして首都直下型地震に備えよ!(2)
このところ東北や九州の火山の活動が活発化しているが、気になるのは箱根山の活動が富士山の噴火に繋がるのか、という点だ。 前出の木村氏は、箱根山と富士山の噴火の時期について、それぞれ箱根山が2015年±5年、富士山が2014年±5年と予測している。つまり、まさに今から東京五輪目前の噴火が濃厚と予測している。 「2つの火山は、マグマだまり自体はつながっていませんが、ともに太平洋プレート、フィリピン海プレートに押されています。箱根山が悲鳴を上げたことから、富士山もいつ悲鳴を上げてもおかしくはない状況なのです」(木村氏) ちなみに、三陸沖を震源として発生した貞観地震(869年=M8.3以上)の5年前に富士山が噴火、さらに3年前には新島向山の大噴火が起き、1年前には兵庫県でM7以上の直下型地震が発生している。 「噴火と巨大地震の関連性については、最近になり専門家の間で指摘され始めています。実際に富士山噴火の前後には日本中で天変地異が発生しており、貞観地震の9年後には関東諸国地震、つまり、今でいうところの首都直下型地震が起きている。こう見ると、富士山噴火と連動して首都圏直下型地震が起こっても何ら不思議ではありません。ましてや、房総沖と伊豆小笠原沖では、巨大地震がすでに秒読み段階とも言われている。富士山噴火の後、房総沖地震、伊豆小笠原沖地震、そして首都圏直下地震と、巨大地震が相次いで襲う可能性も十分にあるのです」(サイエンスライター) 専門家の間では、3・11では日本海溝のうち宮城県沖〜茨城県沖までのプレートが滑って巨大地震となったが、その北側の三陸沖と、南側の房総沖のプレートが滑らずに残っているとされる。つまり、3・11の震源域のストレスは取れたものの、北側と南側ではストレスが強まっており、その現象の一端として今年2月17日、北側の岩手沖でM5.7、最大震度5強の地震があったばかりだ。 木村氏はこの北側地域についてM8.5、発生時期を2019年±5年の地震を予想しているが、3・11の際も都内では震度5を観測しているだけに、同じ程度の地震動は覚悟しなければならない。加えて木村氏は、伊豆小笠原諸島沖を震源とする巨大地震が発生するとも予測(2012年±5=M8.5)。こちらは地震動そのものよりも、首都圏沿岸と西日本の太平洋側に発生する巨大津波が脅威という。 また、房総沖のプレート付近で巨大地震が発生した場合、首都圏の揺れによる被害は深刻なものとなる。 「房総沖地震が起きた場合、東京は震源地から100キロ以上離れていますが、最大で震度6強、広範囲で震度6弱の揺れがあるでしょう。地震研究者の間では、早ければ10年以内、遅くとも30年以内には間違いなくやってくると言われています」(前出・サイエンスライター) そんな折、5月3日午前1時51分ごろに鳥島近海でM5.9の地震が発生し、伊豆諸島の八丈島で最大50センチの津波が観測されている。震源の深さは浅く、地震の規模が小さいのに津波が発生したことについて気象庁は「地下のマグマの活動にともなって津波が発生した可能性がある」としている。 また、小笠原諸島の一つ、西之島の地下ではいまだ猛烈な火山活動が続いており、今後、海底で新たな噴火が起こる可能性もあるという。 「小笠原諸島の海底火山の噴火により突如出現した西之島は、その後も拡大し、海面上の体積は東京ドーム約52個分にあたる6446万立方メートルにまで達している。懸念されるのは、通常の火山活動にとどまらず、噴火が巨大地震を誘発することです。そうなれば、当然、大津波も発生します」(前出・サイエンスライター) 木村氏の定義によれば、この西之島の噴火は「P3噴火」である可能性があるという。「P3噴火」とは、「P1」「P2」と呼ぶ噴火の段階を経て、群発地震が発生した後に小規模の噴火が起きる段階であり、その後、大地震発生となる可能性があるという。 箱根山の異変が悪夢の連鎖を生み出さないことを祈るばかりだ。
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社会 2015年05月18日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第125回 日本の真の成長戦略
さて、ずいぶんと色褪せてしまってはいるが、2012年末に第二次安倍(晋三)政権が発足し、アベノミクス「三本の矢」が始まった。一本目の矢は金融政策、二本目の矢は財政政策、三本目の矢が成長戦略であると“謳われた”わけである。 金融政策と財政政策の組み合わせ、すなわち一本目の矢と二本目の矢のパッケージは、デフレ対策の王道だ。 デフレとは「総需要の不足」が原因で発生する。総需要とは国内の消費、投資、そして純輸出の総計、つまりは「支出面のGDP」そのものになる。 支出面GDPが不足している以上、日本政府が財政出動で消費や投資を増やし、日本銀行が国債買取(=通貨発行)で金融面の支援をするという政策パッケージは、デフレ対策として完璧に正しい。 問題は、三本目の矢「成長戦略」である。 2012年11月、総選挙が始まった頃、安倍総理(当時は「総裁」だが)は、第一の矢が「金融政策」、第二の矢が「財政政策」と説明し、さらに第三の矢の「成長戦略」について、 「スーパーコンピューター『京』や、iPS細胞のような高度医療を発展させる」 と語っていた。 その時点で、総理は早くも「イノベーション(革新)」という抽象的な表現を使っていたのだが、筆者は、 「スパコンや最先端医療に政府が投資するならば、結局は【財政出動】になるわけで、デフレ対策として有効だ。総理は山口県出身なので、【三本の矢】という言葉を使いたいのだろう」 程度に思っていた。 その後、実際に「成長戦略」のメニューがオープンになると、法人税減税、労働規制緩和、混合診療、農協改革、電力自由化や発送電分離など「政治力で規制緩和させ、参入障壁を下げさせ、既存の市場(所得)のパイに新規参入し、新たな付加価値を生み出すわけではないにもかかわらず所得を奪っていく」いわゆる「レント・シーキング」、しかも安全保障を弱体化させるレント・シーキングがずらりと並び、唖然としてしまったのである。 いつの間にか、成長戦略が規制緩和に代表される「構造改革」に化けてしまった。 そもそも、規制緩和にせよ、構造改革にせよ、市場の競争を激化させ、物価を引き下げる「インフレ対策」だ。 構造改革(成長戦略)がデフレ対策ではないことは、浜田宏一内閣官房参与も、岩田規久男日本銀行副総裁も、さらには竹中平蔵氏(パソナ・グループ取締役会長)も認めている事実である。 なぜ、デフレ脱却を標榜して誕生した政権が、物価を押し下げるインフレ対策を実施しなければならないのか。 新たに市場に参入し「既存所得のパイ」から所得をかすめ取ろうとしているレント・シーカーたちのビジネス目的ではないというならば、何が理由だというのか。 だいたい、政府が「成長戦略」を構築するという時点で奇妙な話だ。政府に「○○の分野が成長する」などということが、事前にわかるはずがない(ついでに書いておくと、民間にもわからない)。 民間が様々な分野に投資し、ビジネスを展開。後になって「○○の分野が成長分野だったのだ」ということが判明するに過ぎない。事前に成長分野を特定することが可能ならば、この世から“投資の失敗”が消え失せることになる。 それでも、「三本の矢」を揃えたいということで、どうしても「成長戦略」を立てたいならば、安倍総理は初心に帰り、「未来」のための大規模プロジェクト、最先端医療、宇宙開発などに「投資する」という意味におけるイノベーションを訴えるべきだ。すなわち、民間が投資しにくい分野への財政出動である。 そういう意味で、結局のところ「成長戦略」とはいっても、第二の矢「財政政策」の一環になるわけだが、デフレ対策としては間違いなく正しい。 実際、次世代スパコン『Suiren(睡蓮)』や、リニア中央新幹線、そして国際リニアコライダー(電子・陽電子の衝突実験による将来の加速器計画)といった「正しい意味の成長戦略であるイノベーション」のプロジェクトも、一部では進行している。 2027年に東京〜名古屋間、2045年(!)には名古屋〜大阪間が開業予定の超伝導リニア技術を駆使したリニア中央新幹線だが、4月21日、山梨県の有人走行試験において「時速603キロメートル」を記録し、自らが持つ世界最高記録を更新した。人間が“地上”を時速600キロ超で移動したのは、人類史上初めてのことである。 もっとも、JR東海は現時点では“私費”でリニア中央新幹線を建設する予定になっている。そのため、特に大阪までの開通時期が異常に遅くなってしまっているのだ。 政府はJR東海に「無利子無担保」で資金を貸し付け、余計な口を挟まないことを約束し、東京〜名古屋〜大阪同時開通を目指すべきである。さもなければ、関西地区の経済の地盤沈下は避けられない。 また、リニアといえば大規模直線加速器である「国際リニアコライダー(ILC)」の日本国内建設を決断する時期が迫っている。 ILCについて技術的に細かい話を書くスペースはないが、全長31キロメートルから50キロメートルに達する「超伝導加速空洞」の中を、高さ5ナノメートルという超平行ビームを両端から送り出し、加速し、衝突させる「世界最大の超精密機器」になるという。 これらILC建設の有力候補地になっているのが、岩手県一関市から大東町大原にかけた一帯なのである。野村総研の試算によると、ILCの建設により、建設段階から運用段階に至る30年間で、全国ベースで約25万人もの雇用機会が創出される。 また、公益社団法人日本生産性本部は、ILCを日本に建設した場合、我が国の産業界に起きるイノベーション(この場合は経営革新)の経済効果として、一次効果と二次効果を合わせると、30年間で計44.7兆円にも達すると試算している。 ワクワクしてこないだろうか。真の意味での成長戦略、イノベーションとは、「国民」がワクワクするプロジェクトに政府や民間が投資するという話であり、一部の投資家や企業家だけがワクワクするレント・シーキングのための構造改革ではないのだ。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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