社会
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社会 2015年04月04日 14時00分
父娘バトル勝利! 「大塚家具」かぐや姫が奔走する“逆襲封じ”
株主総会を終えたばかりの『大塚家具』(東京・江東区)が、揺れている。同社は3月27日に株主総会を開催。61%の株主の賛同を得た大塚久美子社長(47)が“父娘バトル”を制したが、さらなる騒動が巻き起こることが確実視され始めているからなのだ。 経済部記者がこう語る。 「理由は、36%の支持を得ながら敗れた父親の大塚勝久前会長(71)が、総会直前に『一度や二度では諦めない』と吐露したためで、一敗地にまみれても逆襲に出ることを示唆したからなのです。そのため、久美子氏側もこれを警戒し始めたともっぱらなのです」 ちなみに、この不気味な発言がただの脅しでないのは明らか。というのも、勝久氏は18%前後を保有する同社の大株主。加えて総会が終わった現在も、久美子氏側に付いた同社の資産管理会社が保有する10%のうちの7%の株が不当だとして裁判で争い続けているからなのだ。 「裁判の争点は、同社が管理する大塚家具株の返還になるわけだが、勝久氏は裁判の末に同社管理の10%の株全てを奪い取る方針を示しているという。また、久美子氏側に付いた米投資会社は総会時に11%の株を保有していたが、後日6%を売却。この多くを勝久氏側が購入したといわれ、今後バトルが再燃する可能性が高いのです」(同) もっとも、こうした勝久氏側の動きは久美子氏も織り込み済み。 そのため、“逆襲封じ”の奇策が進行しつつあると評判なのだ。 「防衛策の筆頭が増資で、勝久氏側の持ち株比率を大幅に下げてしまおうという作戦です。また、業績悪化で社長を解任されてはたまらないとして、久美子氏側は当初主張していたニトリやIKEA路線とは一線を画し、ディズニーとのタイアップも視野に入れ始めている。さらにアウトレット商品の拡大、今回の騒動における『謝罪バーゲン』などを行い、勝久氏側の攻撃の霧消化を狙っているのです」(経営コンサルタント) 父娘バトルはまだまだ続きそうだが、果たしてかぐや姫に春は訪れるのか?
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社会 2015年04月03日 12時00分
役人根性まる出し! トクホ(特定保健用食品)認定に蠢く「大手優遇」「事なかれ主義」「私利私欲」を暴く(2)
今年2月上旬に出された安全委(専門調査会)の“評価書案”によると、《ヒト試験での有害事象は認められていない》。つまり心臓への副作用はないと記されていたが、《その機序で作用していると判断するには十分なデータが示されていない。(だから)作用機序および安全性について、科学的に適切な根拠が示されない限りにおいては、本食品の安全性を評価することはできないと判断した》と述べられている。 消費者委でも作用機序については約2年の時間をかけて議論しており、安全委の言う「十分なデータが示されていない」のなら、そもそも消費者委が了承するはずがない。安全委の言う「評価できない」とは、『蹴脂茶』について、詳細が全くわからないと述べているに等しい。こうなると職務放棄と言えやしないか。 また安全委は「β受容体に作用して脂肪を代謝しているとの機序が信じられない」との見解を示しているが、今回、リコムからの依頼でトクホ申請のデータ作成に携わった日本きのこ学会会長で、東京農大の江口文陽教授はこう反論する。 「作用していることは、私だけでなく複数の研究者が認めていることですから間違いありません。“安全委”ですから、機序がどうであれ、安全かどうかの審議に徹していただきたいものです」 くどいようだが『蹴脂茶』の安全性については、過剰摂取試験を含む臨床試験において有害事象は何ら認められていない。一方『蹴脂茶』の作用機序が正しいとする消費者委の意見に従えば、それでダメなら『蹴脂茶』のような従来になかった関与成分、作用機序、あるいは保健の用途を申請する先進性の高いトクホは、今後許可取得が困難になってしまう。こんな姿勢では“保健機能食品制度”が正しく運用されないのではないか。 安全委に否定された格好の消費者委に、両者の齟齬をどう思うかと尋ねたが、「この件に関するパブリックコメントの募集が締め切られたばかりで、当委員会に戻されておらず、現段階でコメントはできない」との答えが返ってきた。 安全委は3回にわたり『蹴脂茶』の安全性について議論した議事録を残している。その文言の中に、驚くべき発言が登場する。 《『蹴脂茶』の作用機序は、多くの製薬企業が挑戦し失敗している。この減量メカニズムの開発に、画期的なことを扱っているとはとても思えない申請者(リコムのこと)が成功するはずがない》 これは東大大学院農学生命科学研究科のH教授(安全委座長代理)の見解だが、まるで“中小企業ごときに抗肥満物質の開発などできるはずがない”と言わんばかりに聞こえる。 《『蹴脂茶』がトクホとして世に出た場合、世界初の安全に使える減量薬になる》と、ある委員が発言したことを制しての発言である。 またこのH教授、βアドレナリン受容体への作用について、心臓に関係する副作用報告が一部にあるとして『蹴脂茶』否定論を述べた人物でもあり、一貫して『蹴脂茶』を否定し続けていたという。 こうしたH教授の発言の裏には、どうやらとんでもない真実が隠されているようだ。 「H教授の研究室はK薬品、D製薬、F製薬と共同研究を展開中です。またこれらの製薬会社に大学院生を就職させているばかりか、この3社はβアドレナリン受容体に刺激を与える抗肥満薬や抗肥満食を開発中で、特許庁で確認できる限りK薬品55件、D製薬17件、F製薬10件の特許出願があるのです。ですが、まだ医薬品としては日の目を見ていない。またH教授自身が特許を製薬会社と共同出願しています。つまり『蹴脂茶』は、H教授本人や教え子たちが開発中の医薬品や健康食品のライバルとなるために認めなかったと疑わざるを得ません」(業界紙記者) この点についてH教授に尋ねたが、「安全委のホームページに本食品に関する見解は述べられている。それ以上でも以下でもない」と語るのみだった。 食品の安全確保は何よりも大切である。しかし、身近となった“トクホ”という国の認定制度に「大手優遇」「事なかれ主義」だけでなく「私利私欲」までが跋扈しているようなら、ただのスキャンダルでは済まないだろう。
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社会 2015年04月02日 12時00分
役人根性まる出し! トクホ(特定保健用食品)認定に蠢く「大手優遇」「事なかれ主義」「私利私欲」を暴く(1)
トクホ、いわゆる特定保健用食品(消費者庁許可)は、1991年に保健機能食品制度が定められて以降、急成長を遂げてきた。市場規模は4000億円に達し、健康食品まで広げれば今や1兆円を超える巨大マーケットだ。 だが2009年、トクホの信頼性を大きく揺るがす事件が起こる。化学メーカー最大手の花王が発売した食用油『エコナ』に、発がん性物質の「グリシドール脂肪酸エステル」が高い濃度で含まれていたのだ。 花王は販売を中止した上、商品を自主回収したが、この発がん性物質に対して“暫定的健康影響評価”、つまり「トクホとしてノー」と判定したのが、そもそもトクホに“お墨付き”を与える立場でもある内閣府所管の『食品安全委員会』(以下、安全委)だった。 製造者がトクホの認定を受けるための通常の流れはこの安全委と、さらに同じ内閣府所管の消費者委員会(以下、消費者委)両方の“お墨付き”をもらい、最終的には消費者庁から許可を得なければならない。 実は現在、トクホの番人であるこの安全委から「安全性を評価することはできない」と意味不明な判定を下されている“トクホ”がある。開発したのは『リコム』(東京)というベンチャー企業で、鍋の季節に欠かせないエノキタケから抽出した成分を含んだ『蹴脂茶(しゅうしちゃ)』という肥満改善のための健康茶だ。 この『蹴脂茶』の機序(仕組み、メカニズム)について、リコムは次のように説明している。 《抽出物に含まれる遊離脂肪酸混合物が腸管から吸収された後、血液循環によって、脂肪細胞表面に存在する『βアドレナリン受容体』への結合を介して、脂肪の低減作用を発現する》 リコムは'08年、5年にわたってこの機序を証明するデータを蓄積し、それを添付した上で消費者庁に申請した。だが、今回の安全委の結論により、4億円の資金を投じて収集してきた臨床データが台無しになったばかりか、『蹴脂茶』の発売自体もメドが立たなくなってしまった。中小企業としては死活問題である。 安全委が指摘した「安全性を評価できない」点について最も重要と思われるものは、《βアドレナリン受容体刺激作用は、近年、急性心筋障害を起こす可能性を否定できない。しかし、本試験は心筋への影響を評価するために必要なデータを提供していない》という心臓系への副作用の疑いが指摘されたことだ。 「生体内の作用機序については、学術論文4報を提出し、安全委に先立って行われた消費者委の議論で了承されています。安全委の役割は消費者庁の諮問を受けて、安全性を評価することであるのに、消費者委で了承された作用機序に言及しているのです。これはおかしい。そもそもエノキタケは日本人が長年食してきたもので、健康被害の報告はありません。また蹴脂茶成分の遊離脂肪酸混合物はありふれたもので、日本人が常食している他の食品にも含まれている安全なものです。安全委は『ヒト試験では何の副作用も出ていない』と言う一方で、『新規メカニズムなので、副作用の可能性が完全に否定できない』と、前例がないからダメだと言わんばかりの妙な理屈を持ち出しているのです」(リコム・浜屋忠生社長)
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社会 2015年04月01日 12時00分
安倍首相と二人三脚 金満トヨタの五輪ビジネス
トヨタ自動車が国際オリンピック委員会(IOC)と最高位スポンサー(TOPスポンサー)契約を結んだ。1業種1社に限定されるTOPスポンサーは既に米コカ・コーラなど11社が契約しており、日本企業ではパナソニック、ブリヂストンに次いで3社目。全世界で五輪のロゴマークを使った多彩な宣伝が可能で、2024年までの契約を結んだトヨタは東京五輪で使用される車の独占権を得る。 世界の自動車メーカーでIOCとTOPスポンサー契約を結んだのはトヨタだけ。いわば“世界一”のお墨付きを得たことになる。道理で3月13日、IOCとの調印後にトーマス・バッハ会長などと並んで記者会見した豊田章男社長が満面の笑みを浮かべたわけだ。 世間が目を剥いたのは、そのバカ高い契約金である。トヨタは金額を公表していないが、情報筋は「2000億円の大台に乗った」と明かす。既にTOPスポンサー契約したパナソニックが「約300億円。コカ・コーラや米マクドナルドなどもほぼ同額」(情報筋)とあっては、トヨタの大盤振る舞いが突出する。 何が日本屈指の金持ち企業を突き動かしたのか。トヨタ・ウオッチャーは「宣伝効果の見返りが大きいとソロバンをはじいたのは間違いない。だけど転んでもタダでは起きない三河商人の血を引く御曹司のこと、秘めた魂胆が透けてくる」と指摘、こう喝破する。 「章男社長と周辺は東京五輪が開催される2020年を経団連の会長、すなわち“財界総理”で迎えたいとの思い入れが強い。そのステップとして彼は経団連が発足させたスポーツ推進委員会の委員長に就いている。経団連会長は本来ならば副会長クラスから抜擢されるポストだが、御曹司は経団連の主要ポストを経験していない。華々しい財界デビューを飾り、次いで悲願とする財界総理の座獲得に向け、金満トヨタの存在感をアピールする必要があったのです」 政治との距離も着実に縮まっている。今年の1月、トヨタは燃料電池車(FCV)『ミライ』の第1号車を首相官邸に納車した。試乗した安倍晋三首相は「大変乗り心地が良い」と上機嫌だったが、それ以上にご満悦だったのが豊田章男社長だったと関係者は振り返る。 「FCVの普及には1基5億円とされる水素スタンドを全国規模で拡充することが欠かせませんが、このインフラ整備を企業単独で行うのは不可能。その点、東京五輪でFCVを公用車にしたい安倍政権の後押しは渡りに船。トヨタがFCVの特許を無償で解放すると宣言したのも、政府との二人三脚をよりスムーズに運ぶための方便に他なりません。ハッキリ言えば、政治利用の一語に尽きます」 まさに三河商人の面目躍如。口さがない向きが“平成の政商”と陰口するゆえんだが、この手の話には続きがある。トヨタは2月27日、国内外の仕入れ先を集めた集会で従来ならば年2回実施してきた値下げ要請を、2015年4〜9月期に見送ると正式に発表した。'14年9月〜'15年3月に続いて2期連続の見送りである。これは確かに、下請けメーカーには朗報だ。では一体“英断”のどこがうさんくさいのか。 「実は発表の1カ月前、章男社長は首相官邸を訪ね、民間企業の決断にもかかわらず事前に伝えている。その趣旨を甘利明経済再生相は『下請けの賃上げ原資にしてもらえれば、とのことだった』と明かし、歓迎すると表明したのです。アベノミクスには追い風になると御曹司の“点数稼ぎ”を高く評価したのだから、お笑い草です」(経済記者) トヨタは今年の春闘でも他社に先駆けてベースアップ4000円を発表、これに刺激されて大手各社が大幅ベアに踏み切ったことから安倍政権を喜ばせた。それほど豊田章男社長と安倍首相の二人三脚、平たく言えば蜜月は際立っている。財界関係者が苦笑する。 「野党は全く意気地がないし、自民党内でもポスト安倍の有力候補が見当たらない。それをいいことに安倍さんは長期政権をもくろんでおり、5年後の東京五輪を現職の総理で迎えたいとの野心がアリアリです。章男社長にしても財界総理で東京五輪を迎えたいと本気で思っている。第一、社格からいって有力な対抗馬は見当たらない。TOPスポンサーに2000億円を注ぎ込む実弾パワーを見せつけられたら誰だって尻ごみしますよ」 とはいえ「来年のことを言えば鬼が笑う」のが世の常。まして東京五輪の開催は5年も後のことだ。前出のウオッチャーは「トヨタは今年、独フォルクスワーゲンに抜かれ世界一から滑り落ちる。これが不吉なシグナルにならなければいいが」と顔を曇らせる。 蜜月関係にある安倍政権に万一のことがあれば、トヨタとて無傷では済まない。
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社会 2015年03月31日 12時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 高水準ベアは広がるか
3月15日、トヨタ自動車の労使交渉で、今年のベースアップが昨年比1300円上積みの4000円で決着した。予想されたより、やや高めの賃上げだった。 トヨタの賃上げが高水準に落ち着いたことは、賃上げ相場にも好影響を及ぼす。なぜなら、春闘では「トヨタルール」なるものが浸透していて、トヨタのベースアップの範囲内で労使が妥結するという暗黙の了解が、多くの企業でなされているからだ。 実際、パナソニック、日立、東芝、富士通、三菱電機などの家電大手は、トヨタに次ぐ3000円のベースアップで決着している。 こうした高水準ベアは、政府の圧力によって実現された側面もある。昨年末に政府と財界、労働組合のトップが一堂に会して政労使会議を開いた。そこでは、経済の好循環を実現するためには賃金の上昇が欠かせないとする合意文書が交わされているのだ。 政府は労使交渉に介入しないというのが資本主義経済の大原則であるのに、それを破ってまで政府が賃上げを要請した。今年の春闘が「官制春闘」と呼ばれる所以だ。 問題は、この高水準ベアが中小・零細企業にも広がるかどうかという点だ。もし中小の賃金が上がらなければ、今回の高水準ベアは、ただでさえ拡大している格差をさらに広げることになってしまう。 残念ながら、私は、そうなる可能性が非常に高いとみている。昨年、まさにそうした状況が起きているからだ。厚生労働省の「毎月勤労統計」によると、昨年の賃金上昇率は、500人以上の事業所が1.8%、100〜499人が1.5%、30〜99人が1.2%、そして、5〜29人の事業所は、何と0.0%という数字だったのだ。 中小・零細企業では、まったく賃上げなどされていない。これがアベノミクスの下で起きている経済の実態なのだ。経団連加盟の大手企業には賃上げ圧力をかけられるが、中小企業にはできない。 仮に圧力をかけられたとしても、そもそも中小企業に賃上げの余力がない。それは、アベノミクスの成長戦略で、市場原理主義化を進めることにより、強い企業をより強く、弱い企業はそれなりにという政策が採られているからだ。 それでは、大企業と中小企業間の格差を縮小するためにはどうしたらよいのか。国は、中小企業の賃上げを誘導することができないのだから、方法は一つだろう。それは、定額減税のような形で、庶民にカネをばらまくのだ。財源は大きな利益を出している大企業から、法人税増税のような形で徴収すればよい。 あるいは、消費税率を8%から5%に戻すということでも構わない。消費税は低所得者ほど負担が大きいからだ。 ただ、こんなことを書いていて、自分自身が虚しくなってしまうほど、そうした格差解消のための動きはまったくみられない。それは、安倍政権が格差拡大を目的にしているとは言えないけれど、少なくとも格差拡大を本音では容認しているからだ。 だから、大企業や公務員など、いわゆる勝ち組になれなかった人の採るべき道はたった一つ。毎年、節約を積み重ねることで、増えない給与の下でも家計破綻を防ぐことだ。
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社会 2015年03月30日 12時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第119回 所得創出への道
日経平均が、本稿執筆時点で1万9000円を突破している。 現在の政策を継続する限り、あるいは外国において○○ショック(例:ギリシャショックなど)が発生し、急速な円高にならない限り、日経平均が2万円を超える可能性は高いだろう。 何しろ、黒田(東彦)日銀が量的緩和政策を継続し、為替レートを円安に維持している。日本の証券市場は取引の65%が外国人投資家であるため、円安になると日本株が「外資」にとってお買い得という話になり、日経平均は上昇する。 加えて、現在の日経平均は“五頭のクジラ”によって買い支えられているのだ。クジラとは何のことかと言えば、日本株に巨額の「買い」を入れてくる日本の公的な機関投資家たちである。具体的には、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、そして「日本銀行」の五頭になる。 要するに、公的マネーが株式市場につぎ込まれ、現在の株高が演出されているという話なのだ。 UBS証券によると、五頭のクジラの買い余力は、以下の通りとなっている。●GPIF 7.1兆円●共済 3.4兆円●かんぽ生命 3.4兆円●ゆうちょ銀行 10.3兆円●日本銀行 3兆円 ちなみに、日本銀行の「株式購入」は、個別の株銘柄を買っているわけではない。上場投資信託(ETF)を買っているわけである。 さて、外国人投資家や五頭のクジラが主導しているとはいえ、現実に日経平均は15年ぶりの水準を回復しているのは確かだ。 それにもかかわらず、2014年(暦年)の国内総生産(GDP)はマイナスに終わり、さらに我々国民の実質賃金が、相変わらず対前年比マイナスで推移しているのはなぜなのだろうか。 簡単だ。所得(マクロ的にはGDP、ミクロ的には実質賃金など)とは、国民が生産者として働き、生産したモノやサービスが購入されなければ創出されないためである。 株式とは企業の「資本」であり、モノでもサービスでもない。株式の値段がどれだけ高騰しても、証券会社が提供する「株式売買サービス」などを例外に、国民の所得は生まれない。 また、インフレ率とは前述した「モノ」「サービス」の価格の変動率を意味する。 株式はモノでもサービスでもないため、どれだけ株式市場が活況を呈しても、インフレ率には直接的には何の影響も与えない。 3月17日、日本銀行の黒田総裁が、金融政策決定会合で記者会見した。 同会見で、黒田総裁は「物価マイナスに転じる可能性を排除できない」と、インフレ率の指標であるコアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)が今年、マイナスに陥る可能性を示唆した。 日本銀行は、実は黒田日銀発足前から量的緩和により、マネタリーベース(日本銀行が発行した現金、日銀当座預金の合計)を増やしている。 日銀が銀行から国債を買い取り、マネタリーベースは2011年1月の約100兆円から、'15年1月には279兆円にまで拡大した。 中央銀行が4年間で170兆円超のおカネを発行しても、コアCPIは、消費税増税分(2%)を除くと、'15年1月の数値で対前年比0.2%増に過ぎない。 なぜ、日本銀行が200兆円近い巨額の「日本円」を発行したというのに、インフレ率は低迷し、我々の所得が増えないのか。 理由は、日銀の金融政策、あるいは「政府のデフレ対策」と表現した方がいいのだが、「所得創出への道」が不明確であるためだ。 現在の日本の経済政策(デフレ対策)は、大きく二つの問題を抱えている。 一つ目は、「物価」の定義にある。 本連載でも繰り返しているが、そもそも日本銀行のインフレ目標が、コアCPIで設定されていることが変なのだ。日本のインフレ率は、エネルギー価格を含む「生鮮食品を除く消費者物価指数」で測られているのである。 何が悲しくて、エネルギー自給率6%の日本が、インフレ率に外国から輸入する原油価格を含めなければならないのだろうか。日本のインフレ率は、コアCPIではなく、エネルギーを除いた「コアコアCPI」で見るべきなのだ。 二つ目は、量的緩和はいいとして、 「そこから所得創出(=GDP拡大)が導かれるルートが不明確」 という点である。 日本銀行が国債を買いとり、日本円を発行する量的緩和を実施した時点では、別に誰の所得も生まれておらず、物価にも何の影響も与えない。 先述の通り、所得とは、 「国民が生産者として働き、モノやサービスという付加価値を生産し、消費や投資として支出されて初めて創出される」 わけである。 量的緩和により株価がどれだけ上がろうと、外貨がどれだけ買い込まれようとも、物価には直接的に何の影響も与えない。もちろん、所得も生まれない。 無論、量的緩和により円安になり、株価が上昇すると、 「株価が上昇し、キャピタルゲイン(=債権や株式等資産の価格の上昇による利益のこと、もしくは含み益)を得た国民が消費を増やせば、所得が創出される」 という資産効果や、 「将来、インフレになると予想すると、国民は消費を増やす」 という“理屈”は理解できる。 とはいえ、資産効果がいくらなのか、あるいはインフレ予想が消費を何パーセント増やすのか、はこの世の誰にもわからない。資産効果や期待インフレ理論は、事前に「計測不能」なのである。 それに対し、財政出動は計測可能だ。たとえば政府が公的固定資本形成(公共投資から用地費等を除いたもの)を追加的に10兆円増やせば、国民の所得が直接的に拡大し、日本のGDPは「確実に2%以上」成長することになる。 ここに、乗数効果が加わるため、実際の成長率はさらに高まる。 この「当たり前のこと」を政治家や官僚が理解してないか、もしくは理解していないふりをしているからこそ、日本国民は「株価上昇と所得縮小」という奇妙な事態から抜けられないでいるのである。 ならば、国民が理解するしかあるまい。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2015年03月29日 17時00分
米軍三沢基地戦闘部隊のイスラム国空爆参加で狙われる日本国内テロ
チュニジアで3人の日本人を含む20人以上の観光客らが、イスラム過激派の銃撃テロで死亡し、その最中に行われた報道が、我が国に衝撃をもたらしている。 青森県の米軍三沢基地所属のF16戦闘機部隊が、イラクやシリアで有志連合軍が行うイスラム国への空爆に、参加していたことが発覚。日本を狙ったテロが、再び懸念され始めたのだ。 政治部記者がこう語る。 「これをスクープしたのは、3月9日付の『赤旗』です。同紙によれば、問題の部隊は『第13戦闘飛行中隊』。中東へ派遣されたのは昨年5月〜10月の間で、昨年8月から行われた米軍の空爆に参加していたというのです。作戦機数は不明だが、『24機のF16が中東に行った』との情報もあり、政府筋も慌てている。後藤健二さんらが殺害された今では、これが原因で日本国内にテロが続発する可能性が指摘されているのです」 こうした見解が広がる裏には、チュニジアで起きたテロ事件が大きな影響を及ぼしているという。実は発生当時、同事件には不気味な情報が錯綜していたからなのだ。 公安関係者が言う。 「一報の段階では『最大ターゲットは邦人だったらしい』との情報がもたらされた。つまり外国人は巻き添えを食ったとの見方が強かったのです。真相は不明だが、その最中に三沢基地が空爆機の供給拠点だったことが発覚した。イスラム国支援者の中には『後方支援国を叩け!』と主張する者がいるだけに、日本へのテロ実行の可能性は確実にアップしたといえるのです」 もっとも、気になるのは仮に日本が狙われた場合、どんな凄惨テロが展開するのかという点だ。 防衛省関係者がこう語る。 「イスラム国は昨秋から塩素ガスを使用している疑いが強い。現地のイラク軍やクルド人部隊が、嘔吐や呼吸困難を訴える事態が続発しているからです。日本を狙ったテロでも、まず使われるのはこの塩素ガスだと見られているのです」 地下鉄サリン事件が起きた日本では、その効果は絶大。国家機能が麻痺する可能性も否めないのだ。
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社会 2015年03月29日 13時00分
タイの新憲法で生まれる「第三の性」
「微笑みの国」タイでは、昨年5月にクーデーターで政権を掌握した軍政が憲法改正作業を進めている。その新憲法の条文に「男性・女性」に加えて「第三の性」を盛り込む方針が明らかにされた。今年4月までにまとめ、8月に正式決定を目指すというこの方針、実現すれば「LGBT(レズ・ゲイ・バイ・トランス)」といわれる人々にとって、タイはさらに優しい微笑みの国になる。 「オカマ美人コンテスト」や、オカマのバレーボールチームが活躍する内容の映画のヒット、さらに、世界一とされる性転換手術の件数、夜の街のレディーボーイなど、タイは「第三の性」には寛容でおおらかな社会だ。 「しかし、“彼ら彼女ら”の立場には法的な裏付けはなく、身分証明書の性別欄、医療保険や銀行口座開設、大手企業や官公庁での就職などでの“性差別”が厳然と存在しているのも事実。身近なところでは、学校や会社、官公庁などでの“男女別”トイレやロッカー、シャワーなどがトラブルの原因となっています。学生の10%が『第三の性』と判明した地方の学校では“その他”のトイレを増設して対応している例もあるほどです」(外信部記者) 新憲法下ではパスポートや身分証明書、さらにトイレなども「男・女・その他」と第三の選択肢ができる可能性が高く、1万人から10万人とされるタイの「トランス(性転換者)」にはうれしい朗報となる。 憲法改正審議委員会のスポークスマン、カムノーン・シッティサマルン氏は「性別を変える権利、性とは異なる人生を送る権利を保障し、法の下で全ての性差別が解消され、平等であるべきだ。タイは寛容の社会なのだから」と説明。熱心な仏教徒が大半のタイ、きっと仏さまも微笑んでいることだろう。
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社会 2015年03月28日 18時00分
大阪の中学校教諭がナンパ目的で見知らぬ女性宅に押し掛け御用
なんとも、とんでもない教師がいたものである。 大阪府警北堺署は3月22日、マンション敷地に侵入したとして、建造物侵入の疑いで、同府堺市立陵南中学校の男性教諭(26=同市北区百舌鳥梅町)を逮捕した。 逮捕容疑は、同日午前2時5分頃、通りすがりの20代女性の後をつけ、同市北区長曽根町のマンションに侵入した疑い。 同署によると、教諭はマンション敷地内の駐輪場で女性に「こんばんは」と声を掛けた。女性はてっきり住人だと思い込み、「こんばんは」と返した。 すると、教諭は女性の後を付け、女性が3階にある部屋の前に立ったところで、「トイレを貸して」と言い出した。 女性は慌てて部屋に入ったが、何度も呼び鈴を鳴らしたため、110番通報。駆け付けた同署員がマンション建物内をうろついていた教諭を発見した。 警察の調べに対し、教諭は容疑を認めており、「ナンパ目的だった。部屋には入っていない」と供述している。 同区内では、約1週間前にも別の女性が男に「トイレを貸して」と声を掛けられたといい、同署では関連を調べている。 ナンパとは通常、路上などでするものであり、見知らぬ人の自宅まで押し掛けてするものではない。ましてや、手口が「トイレを貸して」では、部屋に上がり込んで、わいせつ行為に及ぶのが目的だったといわれても仕方あるまい。「ナンパ目的だった」は苦しい弁明に聞こえるが…。(蔵元英二)*写真イメージ
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社会 2015年03月28日 13時00分
線虫・アニサキスがん発見の可能性
「驚くべき発見のきっかけとなったのは、アニサキスによる食中毒でした。佐賀県内の病院でサバにあたった食中毒患者の胃の中を調べたところ、線虫のアニサキスが寄生していた場所にがんを発見したのです。研究成果を発表した九州大の実験で使われたC・エレガンスという線虫は、このアニサキスと同じ線虫です」(医療関係者) 先ごろ、九州大の研究グループが体長1ミリほどの線虫を使い、がんの有無を1滴の尿から高い精度で判別することに成功したと発表した。早期のがんも発見でき、実用化されれば容易に安価でがん診断が可能になるという。研究チームは「精度の向上などを進め、10年程度で実用化を目指したい」と話している。 がん患者の呼気や尿には、特有の匂いがあることが知られており、「がん探知犬」を使った診断手法も研究されている。ただし、犬だと1日に5体程度の検体しか識別できないという。一方、九大の広津崇亮助教は「線虫は飼育が容易で、実験技術も蓄積がある」と期待を膨らませている。 「実験で使われた線虫は犬と同程度の嗅覚を持ち、好きな匂いに集まり嫌いな匂いから逃げる習性があるという結果が出た。そこで研究チームが、健常者218人、がん患者24人の尿を採取。実験皿の上に1滴ずつ垂らし線虫の動きを調べた結果、健常者207人と、がん患者23人を正しく判定することができたのです。がん患者をがんと診断できる確率は95.8%にまで達し、がんの種類や進行度にかかわらず判別できたといいます。ただし、そのがんの種類を特定できない点が課題として残されています」(医療ライター) 世田谷井上病院の井上毅一理事長もこう言う。 「線虫は匂いに敏感で、前々からそういう可能性があることは指摘されていました。ただ、実用化するには相当な年月がかかると思いますね」 実用化が待たれる。
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元ボーイフレンド・宮川英二、最大の挫折は「M-1グランプリ」 セカンドキャリアは、芸人やお笑いサークルの学生の就職支援 芸人の給料も赤裸々に語る
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2025年09月18日 17時00分
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岡平健治「19」解散は「お金の問題じゃない」 岩瀬敬吾、地元に戻るのを「止められてよかった」 今後はバラエティーで「ポンコツっぷりを見て笑ってほしい」
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2025年08月05日 23時00分
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misono、家族について「マジで気持ち悪い家族」 「⼦ども⾃然にできると思っていたけど……」と不妊治療の再開、明かす
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2025年09月16日 11時00分