「オカマ美人コンテスト」や、オカマのバレーボールチームが活躍する内容の映画のヒット、さらに、世界一とされる性転換手術の件数、夜の街のレディーボーイなど、タイは「第三の性」には寛容でおおらかな社会だ。
「しかし、“彼ら彼女ら”の立場には法的な裏付けはなく、身分証明書の性別欄、医療保険や銀行口座開設、大手企業や官公庁での就職などでの“性差別”が厳然と存在しているのも事実。身近なところでは、学校や会社、官公庁などでの“男女別”トイレやロッカー、シャワーなどがトラブルの原因となっています。学生の10%が『第三の性』と判明した地方の学校では“その他”のトイレを増設して対応している例もあるほどです」(外信部記者)
新憲法下ではパスポートや身分証明書、さらにトイレなども「男・女・その他」と第三の選択肢ができる可能性が高く、1万人から10万人とされるタイの「トランス(性転換者)」にはうれしい朗報となる。
憲法改正審議委員会のスポークスマン、カムノーン・シッティサマルン氏は「性別を変える権利、性とは異なる人生を送る権利を保障し、法の下で全ての性差別が解消され、平等であるべきだ。タイは寛容の社会なのだから」と説明。熱心な仏教徒が大半のタイ、きっと仏さまも微笑んでいることだろう。