チームにとっては、待ちに待った西岡の戦線復帰だが、これで割りを食う選手がいることを忘れてはならない。
西岡が守っていた二塁には上本博紀内野手(27)がどっかり座り、規定打席にも到達。打率.303(以下、成績はすべて25日現在)と3割を超え、セ・リーグの打撃ベスト10の10位に入るほどの急成長ぶりを見せている。
この状況に、和田豊監督(51)は「上本は外せない」として、西岡の三塁コンバートを決めた。これまで、三塁は右打者の新井良太内野手(30)と、本来は捕手の左打者・今成亮太(26)を併用。新井良は52試合に出場し、6本塁打、27打点、打率.292。今成は55試合に出場し、2本塁打、9打点、打率.288と、ともに好成績を残している。
しかし、西岡が三塁にコンバートされることで、この2人は弾き出されてしまう。試合に出られるとしたら、レギュラーが確定していない右翼となる。今成は外野も守れるが、新井良はほとんど経験がない。14日の西武戦では、右翼でスタメン出場した新井良だが、守備面での不安をのぞかせてしまった。
首脳陣は「右翼手として2軍で実戦経験を積ませるため」との理由で、25日に新井良の出場選手登録を抹消した。ちゃんと成績も残しており、長打力があって勝負強い新井良は代打要員としてでも、ベンチに置いておきたいところだが、2軍に落とすなど、なんとももったいない話。
また、西岡が三塁に固定されれば、交流戦では三塁も守っていた新井貴浩内野手(37)も、守るポジションがなくなり、再び代打屋に戻らざるを得ない。
実は西岡だけではなく、打率.188と打撃不振のため、2軍で調整していた福留も26日に1軍合流。当面、右翼は福留中心の起用となりそうで、三塁から右翼に回される今成も新井良も、これまでより出場機会が激減するのは必至だ。
上本の成長という副産物があったからとはいえ、西岡の三塁コンバートで、多くの選手が割を食うことになりそうで、チーム内には“不満の嵐”が吹き荒れそうな気配だ。
(落合一郎)