条件は2年契約総額650万ドル(約5億4600万円)プラス出来高で、3年目の選択権は球団が持つ。
中島にとっては、ようやく実ったメジャー移籍となった。昨オフ、ポスティングシステム(入札制度)を利用して米球界入りを目指したが、落札して独占交渉権を得たヤンキースとの交渉は破談し、西武に残留した。今年5月に海外FA権を取得し、シーズンオフに行使していた。
昨オフの落札金額、ヤンキースの提示条件は、中島にしてみれば屈辱以外のなにものでもなかった。落札金額は250万ドル(当時約1億9200万円)で、前年にポスティングシステムを使ってツインズ入りした西岡剛内野手(28=現阪神)の落札金額約533万ドルの半分以下。
ヤンキースから提示された条件は1年80万ドル程度(推定=当時約6400万円)で、控え選手扱い、さらに6年間はFAを認めず球団が保有権を持つというもので、到底受け入れられるものではなかった。
この背景には、前年に好条件でツインズ入りした同じ遊撃手の西岡の不振があった。これが原因で、日本人野手への評価が極端に下がり、中島への評価もかんばしくなかった。
西岡は10年オフにツインズと3年総額925万ドルで契約したが、今回中島が合意した条件は、年俸換算すると、西岡よりわずかに上回る。1年が経過して、ようやくメジャーでの西岡ショックも払しょくされたようだ。
中島の今季年俸は2億8000万円プラス出来高で、年俸はアスレチックスと合意した条件とほぼ同額。しかも、絶好のタイミングで、FAとなっていた正遊撃手のスティーブン・ドルー内野手(29)がレッドソックスと合意に達しており、中島は「レギュラー」として期待される。昨オフに辛酸をなめた中島だが、ヤンキースからのオファーを蹴って、1年待ったかいがあったようだ。
(落合一郎)