第83回センバツ高校野球大会は、23日に開幕。従来通り、NHKは総合、教育テレビで同大会を中継している。ところが、関東、東北地区では16時で放送を打ち切ったのだ。総合テレビでは16時以降、震災関連番組を放送した。NHKでは前日に、この件を発表したが、ほとんどの視聴者に情報が伝わっていなかったもようで、愛好家を落胆させた。
その理由について、NHKは電力事情と震災情報の重要性のためとしている。NHKによると、野球中継を見る視聴者が急増し、消費電力が一気に高まることを避ける狙いがあるという。ただし、東北の地元校が出場する試合は、16時以降も放送する可能性がある。
高校野球はプロ野球とは、また違ってファン層も広い。春夏の甲子園大会は、いわば国民的行事。子どもからお年寄りまで、愛好している人が多い。民放地上波局でリレー中継してくれるわけでもなく、愛好家は途方に暮れている。
「NHKが言っていることも分からなくはないですが、視聴料を取って成り立っている放送局なのですから、視聴者が見たい番組を途中で打ち切るのはいかがなものでしょうか。16時以降、震災情報を総合テレビで流すなら、高校野球は教育テレビで流すとかできないのでしょうか。当日の電力事情がひっ迫した際に限り、中継を打ち切るのはやむを得ないかもしれませんが…。今回の対応は残念でなりません」(スポーツライターA氏)
NHKは球児たちの春を待っていた、高校野球愛好家の楽しみを奪ってしまった。「見たい番組を放送しないなら、視聴料を返せ」との声も聞こえてくる。
(ジャーナリスト/落合一郎)