「北の湖理事長は焦っていますよ。このままでは角界始まって以来のスキャンダルで退陣に追い込まれる。晩節を汚すことになるわけです。おまけに、現役時代はずっと格下だった三重の海(武蔵川理事)にトップの座を奪われる。何とか、この絶体絶命のピンチを切り抜けたいと思っていたわけです」(相撲関係者)
北の湖理事長は今まさに崖っぷちに立たされている。というのも、警視庁が抜き打ちの尿検査をしている国技館や北の湖部屋、大嶽部屋へガサ入れをしたのは、「先に逮捕された若ノ鵬の供述から露鵬、白露山の両力士も大麻を吸引していたとの確証を得ていたからです」(捜査関係者)
案の定、両力士の尿からは大麻の陽性反応が出た。その発表を受けて、相撲協会が蜂の巣をつついたような騒ぎになった。慌てた協会側は陽性反応が即、大麻を吸引していた事実に繋がるわけではないと釈明。そして、検査キットにかかった尿を国内で最も権威のある三菱化学メディエンスに提出した。
6日には精密検査の結果が陽性と出た。残る検体は検査項目が増えたため、きょう8日に延期された。
「三菱化学はいつでもどうぞと言っているのに、協会は(三菱化学が)受け取ってくれないと応酬した。結局、協会側は再鑑定してほしくなかったんです。だから、たとえクロの判定が出ても、再検査すると言い張った。大麻を吸引しても尿には出ないところで再検査をしても無意味。強行突破しようとしたのです」(前出・相撲関係者)
臭い物には蓋。それが角界の長年のやり方だった。が、このままでは、現在事業部長でナンバー2の武蔵川理事に、理事長の座を奪われてしまう。その危機感が北の湖理事長に、事件をうやむやにしようとさせたのか。だが、警視庁はそれほど甘くはない。
「違法薬物の取り締まりは、ここ数年厳しくなっている。国技・大相撲の力士だからといって、容赦はしないでしょう」
と薬物犯罪に詳しいジャーナリストは指摘する。ガサ入れの結果、大麻や吸引器具は発見されなかった。だが、「今後、立ち入り先のバーやスナック、クラブを捜索して両力士と大麻との関わりを徹底捜査するはずです」(捜査関係者)
外国人力士が遊んでいる、夜の六本木や錦糸町が捜査対象になる。ところで、外国人力士の活躍が目立つ大相撲だが、内実はお寒いものだ。
「若ノ鵬なんて張り手じゃなく、拳骨で相手を殴っていた。連中は国技の何たるかをまったく分かっていない。ただ体が大きく、身体能力が優れているから勝っているだけです」(元幕内力士)
実は15年ほど前も外国人力士をめぐるトラブルが続出して、相撲協会の部屋持ち親方で構成する師匠会では外国人スカウト自粛を打ち出した。
「発端はモンゴル人力士の集団脱走=別項=でした。このままでは国際問題になりかねないし、国技がすたれる。結局、当時の出羽海親方の提案で当面、外国人は取らないと申し合わせたのです」(ベテラン相撲記者)
理事会の決定を避けたのは世間の批判を避けるためだったといわれる。ベテラン相撲記者は、次のように危惧する。
「今回の問題でも、師匠会で揉めることは必至ですね。なかには絶対、外国人は取らないという親方もいる。お互い、利害関係がぶつかりあって収拾がつかなくなるかもしれません」