問題となったのは21時直前。日本テレビは試合途中にも関わらず、試合中継を終了した。イチローの最終打席を、地上波のみを視聴していたファンは観ることが叶わず。その後も、BSの日本テレビやCSのG+では中継されていたが、視聴環境がないファンは不満の声を挙げた。
さらに、23時からのnews zeroでも、イチローの引退記者会見の模様が放送される予定だったが、「このあとすぐ会見」とテロップに表示しながらも、会見はなかなか始まらず。news zero放送終了時刻である24時直前にようやく始まったが、1分で打ち切られ、またしてもイチローを見せることは無かった。
繰り返しの放送終了に、インターネット上は「イチローを、見せないのか」と冒頭のコピーを皮肉った文言で溢れ返り、「イチローを見せろ!」「あの終わり方はない」「見たければ金払えということ?」と辛辣なコメントをする人もいた。
一方で、この試合で実況を務めた佐藤義朗アナウンサーには、「ありがとう」の声が寄せられた。イチローが8回裏に交代を告げられ、右翼の守備位置からベンチへ引き上げた場面でのこと。球場中が大歓声に包まれ、イチローが他の選手と抱き合う中、佐藤アナは終始無言を貫いたのだ。
一言も喋らず、会場の音声だけを届けた佐藤アナは、イチローがベンチへ退いたあと、「同じ国に生まれ、同じ時代を生き、この瞬間に立ち会えたことに感謝したいと思います」と一言だけコメントした。
無言だった時間は約4分。この長い時間、視聴者のために一言も発せず、感動を演出するような派手なコメントもしなかった佐藤アナには「その判断と勇気に敬意を表したい」「最高の実況でした」「会場の雰囲気、イチロー選手の表情などを沈黙で伝えた」「平成最後の名実況だ」と称賛のコメントが寄せられた。
批判も称賛も寄せられた今回の日本テレビの野球中継。「最後まで中継せず、BSやCS、ネットに後を任せるのは、地上波の時代の終焉を感じる」「地上波の存在価値とは」という言葉も、インターネット上からは聞こえたが、この言葉が全てを表しているようにも思える。野球中継の在り方を考えさせられる1日だったと言えるだろう。