報道によると、この日荒磯親方は現役時代と同じ白まわしを締めて稽古場へ。部屋の若手力士に対し、身ぶり手ぶりを交えて指導を行ったという。また、稽古後は両国国技館で行われた研修会に参加するなど、土俵外でも精力的な一日を過ごしたとのことだ。
また、この日は胸を合わせる場面はなかったが、今後は苦楽を共にした弟弟子高安(大関)の相手を務める可能性も示唆。来たるその日に向け、これからも現役時代と同じような鍛錬を積んでいくという。
涙ながらに引退を表明した先月16日からおよそ半月を経て、この度心機一転の“再デビュー”を果たした荒磯親方。今回の一件を受けたネット上には、「いい親方になれると期待しています」、「経験を活かして強い力士を一人でも多く育ててください」、「なんとしても高安を横綱に上げてくれ!」といった期待のコメントが寄せられている。
荒磯親方の指導者人生が一体どのようなものとなるのか、もちろん現時点では誰にも分からない。ただ、酸いも甘いも味わった自身の経験をうまく指導に落とし込めるならば、一人前の力士を多数輩出する名親方になれる可能性も十分に考えられる。
また、親方業と並行して協会の職務にもしっかりと取り組めば、将来的な協会内での出世も大いに期待できる。横綱経験者である荒磯親方は「委員待遇年寄」からスタートしているが、これからの働き次第では理事長の座も狙える人材へと成長を遂げるのは想像に難くない。
当代随一の人気力士が名親方、さらには理事長となれば、相撲人気が今以上に高まることは自明の理。荒磯親方には横綱として満足に相撲が取れなかった分、指導者として広く活躍してくれることを切に願いたいところだ。
文 / 柴田雅人