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キャバ嬢が生まれる瞬間(78)〜若さを無駄にしたくなかった亜紀〜

木村亜紀(19歳・仮名)

 私は高校を卒業した後、フリーターになり、渋谷のカフェで働いていた。特に大きな夢とかはなかったけれど、子供の頃からオシャレなカフェで働くことに、ただ漠然と憧れていたんだよね。カフェの同僚は可愛い子が多く、キッチンの男の人も魅力的で、日々は充実していた。そんな時、高校の同級生からキャバクラで、一緒に働かないかって誘われたんだよね。

 私はトークがうまいわけでもないし、夜の世界は何もわからないから、キャバクラでやっていくのは不安だった。だから最初は断っていたのだけど、友達から「若い時はキャバをやったほうがいい」って必死に説得された。彼女が言うには、若いというだけでお客さんから指名されて、優しくしてくれるのだとか。説得に負けた私は、カフェとキャバクラを掛け持ちすることにした。

 実際、キャバクラで働くのは楽しかった。なにより一番の驚きは給料の多さだよね。カフェはオシャレな場所で働けるメリットはあるけど、時給は決して高くない。でもキャバクラは、短時間でカフェの何倍ものお金が貰える。それがわかった時、もうカフェで働くことに憧れを抱いていた頃のピュアな気持ちはどこかへ消えていた。

 それで1週間のうち、キャバよりカフェで働く回数が最初らへんは多かったけれど、いつしか出勤数は逆転し、そのうちに私はカフェへ行かなくなった。やっぱり若さでお金が貰えるのならば、今の内に大金を稼いでおきたいという考えに変わったから。今後、特に散財するつもりはないけれど、今はとにかくお金を貯めて、将来何か自分のために使いたいと思ってます。

(取材/構成・篠田エレナ)

写真・Japanexperterna.se

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