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キャバ嬢が生まれる瞬間(76)〜クリスマスを店で過ごしたかった女〜

 私はクリスマスというイベントが昔から恐怖でしかなかった。毎年、12月24日の3か月くらい前になると、今年は誰と過ごすのだろうと、漠然とした不安が襲い掛かってくる。とにかく1人で過ごすのが嫌で嫌で仕方がなかった。

 どちらかというと誕生日よりもクリスマスの方が嫌いで、その瞬間に女が1人でいるっていうのは世界から自分の存在が否定されているような気がしてた。私が男に生まれていたらここまでの気持ちになることはならなかっただろう。だからいつも女友達を無理矢理誘って飲みに行ったり、カラオケに行ったりすることが多かった。

 あと急いで冬に男と仲良くなろうとしても、クリスマスはデート代やプレゼント代がかかるとわかっている男が多いから、直前に別れを切り出されたり、キャンセルさせることもある。その時の絶望ったらない。ほかには、普通のアルバイトをしてた年もあった。その時はコンビニで働いていたのだけど、次々とカップルが来店してくるから、すごく惨めな気持ちだったな。

 それで色々考えた上で、私が働きはじめたのが、キャバクラだった。キャバクラならクリスマスに出勤するのはよくあることだし、何よりお客さんが私のために会いに来てくれるから、孤独の隙間を埋めることができる。それどころかお客さんからプレゼントまで貰えることがあるのだから、とてもうれしい。

 もちろん好きな人とクリスマスを過ごすのが一番なんだろうけど、いつもタイミングが悪くて、冬は恋人がいなかった。だから彼氏が出来るまでは、毎年キャバクラで働いて過ごそうと思ってます。

(取材/構成・篠田エレナ)

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