初日は6724人、2日目は7520人とそれぞれ超満員の観客を動員。今回は主力ブランドであるロウのメンバーが中心だったが、日本ファンのお目当ては、昨年犬に噛まれ、来日したものの凱旋試合ができなかった元新日本プロレスの日本人スーパースター中邑真輔と、実に11年ぶりの来日となるトリプルHの参戦だ。
初日、トリプルHの試合は第4試合の予定だったが、会場のファンにとっては入場テーマが流れるまで試合順が分からないのがWWEのお約束であり、楽しみ方のひとつ。まず新日本でバレットクラブとして活躍したルーク・ギャローズ&カール・アンダーソンが入場し、続いて同じくバレットクラブのリーダーとしてIWGPヘビー級王者にも輝いたAJスタイルズが入場すると会場は最高潮に達した。
ここでヒットしたのがトリプルHの入場テーマ曲『THE GAME』だったのだからたまらない。これには報道陣の中にも席を立って見入る姿が見受けられた。イメージカラーであるグリーンのレーザー光線に包まれるかのように、トリプルHが威風堂々と入場。エプロンに立ち、客席を向くと、昔から変わらぬポーズを決めてから水吹きパフォーマンス。8人タッグマッチだったが、他の7選手がかすむほどの存在感だった。
アメリカでも見られないTHE CLUBとドリームチームを結成したトリプルHは、役員として多忙なこともあり、試合数が減っているとはいえコンディションはかなり良さそうだった。
驚いたのは全盛期と比べても引けを取らない肉体である。THE CLUBとの連携もスムーズで、ドリュー・マッキンタイア、バロン・コービン、ボビー・ラシュリー、サモア・ジョーを相手に格の違いを見せつけていた。最後はうるさいコービンをペディグリーで仕留めてカウント3。試合後もなかなか鳴りやまない「トリプルH」コールに応えるべく、時間をかけてコーナーパフォーマンスを披露し、日本のファンに感謝の意を示していた。
トリプルHの試合出場は初日だけと言われていたが、2日目も中邑真輔の後に『THE GAME』が流れるサプライズ。トリプルH&中邑真輔というドリームタッグが実現した。試合は中邑がロバート・ルードにキンシャサでWWE移籍後、日本初勝利を飾ったが、この記念すべき試合を見事に演出してみせた。ビンス・マクマホン会長兼CEOの娘婿で、後継者の筆頭と言われるトリプルHだが、レスラーとしての魅力は全く衰えていない。次はいつになるか分からないが、日本でトリプルH劇場が見られたのは、とても幸せなことである。
文 / どら増田
写真 / 萩原孝弘