世界最大のプロレス団体WWEは、今年のWWE日本公演『WWE Live Tokyo』(28、29日、東京・両国国技館)に、ビンス・マクマホン会長兼CEOの後継者として最有力とされる幹部の1人、トリプルHタレント部門兼ライブ・イベント部門兼ストーリー部門最高執行役員が来日し、試合を行うと発表した。
トリプルHの日本公演出場は、2008年以来実に11年ぶり。トリプルHは、28日の初日にAJスタイルズ、ルーク・ギャローズ、カール・アンダーソンの旧バレットクラブ勢とタッグを組み、ドリュー・マッキンタイア、バロン・コービン、ボビー・ラシュリー、サモア・ジョー組と対戦する。29日は今のところ出場予定はない。
トリプルHは、ハンター・ハースト・ヘルムスリーの略で、師匠は昭和のプロレスファンにはおなじみの“殺人狂”キラー・コワルスキー。日本の団体に参戦した経験がないまま世界のトップに上り詰めたまれな選手だ。デビュー当初は当時WWEのライバル団体で、後にWWEにより買収されるWCWのエース候補だった。トリプルHがWWEのトライアウトに合格していなければ、当時WCWと友好関係にあった新日本プロレスに入っていた可能性はある。
WWEに移籍後は、ショーン・マイケルズ率いるユニット、D・ジェネレーションXに入りブレイク。シングル転身後は、マイケルズ、ジ・アンダーテイカー、スティーブ・オースチン、ザ・ロック、カート・アングル、クリス・ジェリコ、ブロック・レスナー、ダニエル・ブライアンらスーパースターと名勝負を繰り広げ、2003年の日本公演では日本人スーパースターTAJIRIを相手にタイトルマッチを行い日本のファンの心をつかみ、その実力が本物であることを証明した。今年4月にD・ジェネレーションXとしてWWE殿堂入りを果たしている。
ビンス会長兼CEOの実娘、ステファニー・マクマホンと結婚してからは、ビンスの後継者候補として、WWE内でポジションを高めており、殿堂入りする選手やOB、OGなど、ビンスと“揉めて”WWEを去った人物とも交渉し、次々と和解に成功している。また先日は新日本を退団したKUSHIDAの公開契約にも同席。レジェンドの訃報が入ると真っ先にツイッターを更新するなど、現場監督と会社の最高執行役員、そしてレスラーという3つの顔をうまく使い分けている。
今回の来日は11年の間に変わった自身の立ち位置から、進化しているアジアのマーケットを自分の目で見ておく(または感じておく)狙いもあるのだろう。
文 / どら増田
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