政権発足からわずか2カ月でこの急落ぶりは、永田町の常識を覆したといえる。本来ならば多少の問題点があったとしても、3カ月程度は“ご祝儀相場”で内閣支持率は高めに保たれるからだ。
この異常さを伝えるため、大手各紙は見出しに強い言葉を入れた。「内閣支持半減21%」(読売)や「麻生内閣支持激減21%」、朝日は「麻生政権2カ月で急降下」と説明を付けた。
それぞれ独自調査したにもかかわらず、前出3紙とも、どちらが首相にふさわしいかを問う“党首力”で麻生首相が小沢氏に逆転される結果となった。つかみどころのなかった福田前首相と比較し、強いリーダーシップが期待された麻生首相の生命線が断ち切られた瞬間といっていい。
麻生政権の急激な不人気ぶりは、ボロカスに言われた福田・安倍両政権をしのぐ。いずれも政権支持率は下落していったが、発足3カ月後では福田35.3%、安倍48.6%と、政権維持の“危険水域”とされる支持率30%切りは回避している。
それを麻生政権は最短2カ月で突破。ここまで急落しては早期の解散・総選挙に踏み切るのは事実上困難で、足元の与党内でも一層ぐらつきが増すのは間違いない。このペースでいけば、“政権の地獄モード”といわれる1ケタ台に突入するのも時間の問題だ。
急速に国民の「麻生離れ」を招いた原因は、相次ぐ政策のぶれや失言によるものだから麻生首相の自業自得。与党内では大胆な政策転換を求める悲鳴に似た声が上がり、「もう麻生首相では解散は打てない」(自民党閣僚経験者)と“麻生降ろし”が本格化しそうな気配すら漂ってきた。
自民党の菅義偉選対副委員長は7日、支持率急落について「浮き足立った自民党議員が出てきたことが影響している」と述べ、渡辺喜美元行政改革担当相らが首相批判を繰り返していることを一因に挙げた。当の渡辺氏は状況によっては離党も辞さない姿勢をみせており、水面下の動きが加速することが予測される。
民主党をはじめとする野党は、内閣支持率急落にイケイケモード。「国民は麻生内閣を完全に見放した」(鳩山由紀夫民主党幹事長)などと言いたい放題だ。“てやんでえ太郎”は方針転換するのか、その動向が注目される。