その要因はさまざまだが、興味深い情報も聞かれた。「夏休み」だという。
「この時期、投手、野手ともに疲れが出るものです。ラミレス監督は『疲れているな』と思ったピッチャーの登録をいったん抹消し、休暇を与えます。休暇と言っても完全に休めるわけではなく、二軍で軽い練習をしながらですが、再登録可能となる10日後に体力が回復して投げられればいいと、考えるようになりました」(チーム関係者)
広島打線をゼロに抑えて勝利した8月7日、ラミレス監督は試合出場登録した29人のうち「投手=14人」とするメンバー構成を行った。投手陣でプラスアルファを感じさせるのは、昨季新人王の東克樹、ベテラン・井納翔一をまだ二軍で調整させている点。17年日本シリーズでラミレス監督は先発投手を中継ぎ登板させる”奇策”も見せている。今季終盤戦、救援陣にも疲れが見えてくれば、投手陣を総動員させ、猛チャージを仕掛けてくるかもしれない。
しかし、このチーム浮上のきっかけともなった”夏休み作戦”は、今オフの「重大問題」に影響してきそうだ。
「投手陣を統括しているのは木塚敦志手コーチ(42)ですが、影響力があるのは三浦大輔コーチ(45)。三浦コーチとラミレス監督の関係が良好ならば、騒動にはならないと思いますが」(ベテラン記者)
ラミレス監督の契約任期は今シーズン終了と同時に切れる。優勝すれば続投は間違いないが、「あと一歩」及ばなかった場合、DeNA経営陣の判断は難しくなる。
巨人を猛追したことを「プラス」と判断すれば続投。優勝を逃したとなれば、「マイナス」となるだろう。
「マイナスだと判断された場合でも、それはラミレス監督一人の責任ではありません。投手担当のコーチも同様にマイナスポイントが付けられます」(前出・同)
将来の監督候補の三浦コーチに”キズをつけるようなこと”はしたくない。かといって、敗因を分析せず、ラミレス体制を続行させるだけではチーム強化はできない。経営陣は判断が難しくなる。
「ラミレス監督は9月以降が本当の勝負になると見ています。首位巨人は広島(3位)を苦手としていますが、DeNAは巨人、広島ともに直接対決の成績が8勝8敗(対広島は1分け)。対戦成績上、苦手意識を持っていないDeNAは、巨人から見れば、ブキミな存在」(球界関係者)
ラミレス監督は「10日間の夏休み作戦」で、投手と、投手管理に関する主導権を握った。また、攻撃面では「8番・投手、9番・野手」という変則打順を定着させ、主砲・筒香を一時的とはいえ、2番に置く攻撃的打線も披露した。同監督はコーチの反対意見にも耳を傾けるそうだが、数値的なデータを出し、論破してしまうという。
強気な発言は、数値的なデータからくる。スコアラーなどが集めるデータはコーチも共有している。しかし、ラミレス監督はいつもプラスアルファの別データも用意しているそうだ。DeNAにはラミレス監督の特命を受けた別スコアラーもいるのだろうか。いずれにせよ、次期監督候補・三浦コーチと「夏休み作戦」で共闘したのだから、”特命スコアラー”の存在が気になる。組織内の人間関係にまで助言をしてくれる非常に優秀なスタッフなのだろう。(スポーツライター・飯山満)