ここに“100年の歴史”も重なり、高校球児は「甲子園大会に出場したい!」と思うのだろう。
そんなグラウンド整備の行き届いた甲子園を本拠地とする矢野阪神だが、夏の大会が開幕した時点でのチーム失策数は「87」。このペースで行けば、シーズン終了後には120以上をカウントしてしまう。エラーが3ケタに到達したら、暗黒時代にあった2000年シーズン以来になるという。
「途中加入のソラーテの守備位置が固定できず、他選手にも影響が出ています」(在阪記者)
前マーリンズ傘下のヤンハービス・ソラーテ(32)が来日したのは7月21日。矢野燿大監督(50)は、メジャー通算75アーチの大砲に「ショート」を守らせたが、動きが緩慢だからと外野でテストし、最近はセカンドを守らせている。第4回WBC・ベネズエラ代表メンバーでもあり、ブルージェイズ時代(18年)に取材した米国人ライターによれば、「守備はうまい方」と話していた。
「ソラーテの打撃力が惜しいからスタメンから外せないんです。そのソラーテを二塁に回したため、それまで二塁を守っていた糸原にショートを守らせていますが、エラーが目立ち始めました」(前出・同)
「ソラーテの守備がヘタではない」と言うメジャーリーグ取材者はほかにもいた。だとすれば、ソラーテを守備難にさせた原因はどこにあるのだろうか。
コーチ経験を持つパ・リーグ出身のプロ野球解説者は、「土のグラウンドの難しさが原因ではないか?」と言う。プロ野球が開催される日本の野球場は、大半が人工芝だ。人工芝の内野フィールドは打球が速い。だから、打球を待って捕っても、一塁送球でアウトにできる。しかし、土のグラウンドは違う。パ・リーグの選手が甲子園で交流戦を戦う際、人工芝と土の違いにちょっと戸惑うのと同じように、ソラーテも天然芝を敷き詰められたグラウンドと「土の球場」の違いに苦しんでいるのではないかと予想していた。
夏の甲子園大会中、出場校の外野手は手入れの行き届いた内野にスパイクの足跡を付けたら申し訳ないからと、遠回りをして守備位置に就く。阪神の外野手も、ファールゾーンを走って守備位置に向かうことが多い。ソラーテにその理由を説明してやれば、エラーは減少するのではないだろうか。甲子園のグラウンド整備について、教え直さなければならない阪神選手は他にもいるが…。(スポーツライター・飯山満)