言わずと知れたバミューダ・トライアングル、日本では小笠原近海もその一つだ。しかし普段は、何事も起こらない穏やかな時を刻んでいる。海域であるため、人が存在する時間も限られており、異次元の様相を呈する瞬間に遭遇するのは稀である。ところが、やはり磁場の狂いだろうか。物体の消滅こそ起こらないものの、不可思議な現象に常時遭遇できる場所がある。
米オレゴン州ゴールドヒル。その昔、インディアンが悪魔の地と忌み嫌い、何かを感じるのか動物も近づこうとしなかったその場所に、傾いて建つ古い小屋がある。それは、斜面を、円の中心に向かって引きずり込まれていっているようにも見える。周りを囲む木々も同調しているのか、傾きねじ曲がって渦巻き状に生えている。人もまた、小屋に一歩足を踏み入れると中心に向かって引っ張られる感覚に陥り、抵抗しようと身体を傾けてしまう。三半規管に異常を覚え、めまいや吐き気をもよおす者もいる。それは気のせいではなく、羅針盤等計器類は狂い、出鱈目に回り出す。ほうきは支えなしで立ち、煙草の煙は螺旋を描き上っていく。ある場所では、5m離れて立つ2人の立ち位置が替わると、背の高さ も替わってしまう。
これらの現象については、トリックの技法を用いて建設された商業施設とは違い、1943年以来、幾度も調査、研究が行われたが、未だ、科学的解明には至っていない。
(七海かりん/ 山口敏太郎事務所)