名古屋市交通局は7月25日、市営バス中川営業所に所属する男性運転手(39)が、営業運行中に乗客からの注意に腹を立てて、突然バスを放置し立ち去ったとして、懲戒免職処分にしたと発表した。
運転手は「腹が立った。感情を抑えることができなかった」と話しているという。指導監督が不十分だったとして、当時の上司3人も文書訓戒などとした。
バスは午後1時12分に地下鉄・高畑駅を出発予定だったが、同局によると、運転手は6月28日午後1時10分頃、バスの発車直前に通行人から道を尋ねられて対応し、定刻より約1分遅れてバスを発車させた。その際、乗っていた70歳ぐらいの男性客から、「早く行け!」と大声で怒鳴られたことに立腹。蛇行運転した上で、停留所を一つ越えた地点でバスを止め、乗客8人を残したまま、道路上にバスを放置して立ち去り、歩いて営業所に戻ったという。
乗客から連絡を受け職員が駆け付けたところ、乗客のうち3人は姿がなく、3人は代行バスに乗り換え、2人が市の作業車で始発の停留所に戻った。
運転手は事件を起こした時点で勤続7年8カ月。これまでにも、11年3月には、運転中に口論になった乗用車の運転手にバスを接触させたとして、停職3カ月の懲戒処分を受けたほか、07年4月には乗客の体を扉ではさんだとして訓戒処分を受けており、なにかとトラブルの多い運転手だったようだ。
罵声を浴びせた乗客にも問題はあったであろうが、乗客を残して運行を放棄したことは許されることではない。
(蔵元英二)