「そこは大丈夫です。維持できます」
メイウェザー戦が終わってからモチベーションの維持が難しかったか問われると、天心は全く問題ないと強調した。実際、セコンドとして来場した会場で話をしても気持ちが切り替わっているのが分かった。あの日のことをプラスに捉え、より強くなった姿を見せてくれるのではないだろうか。
「全体的にバランスのいい選手ですね。KO率も高いし、けっこう戦績もいいので侮れない。フェデリコ選手に限らず世界トーナメントに出る選手はみんな強いので、しっかり勝たないとダメだなと思いますね」
1回戦の相手であるフェデリコは、RISEで天心と対戦したイグナシオのセコンドとして来日しており、天心対策は万全と思われる。しかし、この一戦をしっかりと勝たなければ世間は再びメイウェザー戦の出来事を蒸し返すかもしれない。それは天心も百も承知。同時間帯にさいたまスーパーアリーナでは、“あの男”も世界を相手に闘うだけに、負けは許されない。ただ、今回のトーナメントは決勝で対戦を希望していたロッタンが、ONE日本公演との兼ね合いもあり出場取り消しとなった。トーナメントで優勝し、ロッタンとはケリをつけなければならない。
「Aブロックはスアキムじゃないですか。だってルンピニーの現役チャンピオンですよ!Bブロックは志朗君に頑張ってもらいたいけど、決勝に上がってくるのはルンキットかな。1回戦のフレッド・コルデイロ戦でどれだけ対応できるか。対応できると思いますけど。だってルンキットはラジャダムナンの現役チャンピオン。現役のラジャとルンピニーのチャンピオンが出るトーナメントってすごくないですか」
天心はタイの二大王者であるルンピニー、ラジャダムナンの現役チャンピオンに勝って世界トーナメントを制覇し、ロッタンや、“あの男”を世界最強のキックボクサーとして迎え撃とうと考えているのではないだろうか。勝てば準決勝で7月21日にエディオンアリーナ大阪に初上陸することが決まっている。大阪で天心の試合を見たいという声は、大阪に行くたびに聞かれる。再起戦をスッキリとクリアして、大阪のファンの前に“神童”那須川天心の試合を見せつけてもらいたい。
文 / どら増田
写真 / 山内猛