ロッタンの欠場についてRISEの伊藤隆代表は「ロッタン選手の欠場についてファンの方々には大変申し訳なく思います。今後ロッタン参戦が全くなくなったわけではなく、タイミングを見てONEと協議してオファーしたいと思います」とコメントしている。
今後もロッタンにオファーをしていくことを強調したが。現在ロッタンはシンガポールの格闘技団体ONEチャンピオンシップ(ONE)と契約を結んでいる。ONEは3.31両国国技館大会で日本に初進出することも決定。今回、RISEとロッタンは昨年末にジムレベルで参戦に合意し、先日行われた会見でもロッタンから「決勝で天心を倒す」というコメントが寄せられていた。しかし、ONEとの話し合いがうまく進まず、今年に入り数回協議したがスケジュール調整がつかず、参戦不可能となったとRISEは説明している。
天心は「ロッタン選手をしっかり倒さないとスッキリしない」と意気込んでいた。微妙な判定勝ちとなった昨年6月のリベンジを今回のトーナメントの決勝で果たしたかっただけに、残念なニュースだ。
代替選手としてタイのラジャダムナンスタジアム王者、ルンキット・モーベストカマラーの参戦が決まった。ルンキットは昨年10月にロッタンとラジャダムナンタイトルマッチで対戦し判定勝利し、新王者となった18歳の新鋭。天心戦の後にロッタンに勝った選手ということだけでも十分な実績であることが分かるが、天心よりも若いというのも大きなポイント。またこれでルンピニースタジアム王者のスアキムに続き、タイの二大殿堂スタジアムの現王者が58kgトーナメントに参戦することとなった。天心にとっては個人的なリベンジはお預けとなってしまったが、世界一を決めるトーナメントとしては、それにふさわしいメンバーがそろったのではないだろうか。
若き王者・ルンキットは「タイでも話題になっていたRISEに出場できることになりとてもうれしい。ロッタンが日本で有名になったみたいだけど、そのロッタンも僕には勝てないからね。このトーナメントで僕が負ける可能性は0パーセントだ」と「負ける可能性がない」、つまり優勝宣言をしている。
ルンキットを招聘したMuayThai Super Fightの佐藤孝也代表は「ルンキットは18歳ながら、昨年10月にロッタン・ジットムアンノンとラジャダムナンスタジアム・スーパーフェザー級タイトルマッチを行い5R判定勝利。同じくこの58kgトーナメントに出場するスアキムには昨年のラジャダムナンスタジアム生誕記念興行で大接戦の末敗れているものの、2月1日に再戦が決まっています。サウスポーからの左ミドルでどんな相手でも冷静にコントロールし冷酷にとどめを刺す、“灼熱の国のアイスマン”。現在、セクサンとともに最もタイで注目を集めるヨード・ムエ(超一流選手)です」とルンキットの実力に太鼓判を押している。2月1日に行われるスアキムとの頂上決戦の再戦を制するようなことがあれば、ロッタン以上の難敵になるのは間違いない。
天心が当たるとすればお互いに決勝まで勝ち上がるのが条件となるが、天心とスアキムは同ブロック。昨年2月に「今までで一番強かった」と言わしめたスアキム戦の再戦が準決勝で実現する可能性は高い。ルンキットとスアキムの2.1決戦の結果が、RISE世界トーナメントに影響を与えるのは必至。天心が世界一のキックボクサーであることを証明するために、格闘技の神様は天心に新たな試練を与えたようも見える。ただ、天心は「強いヤツ」と試合をするのが本望。この試練を楽しみながら乗り越えてくれるだろう。
取材・文 / どら増田
写真 / 山内猛