昨年9月までニュース番組『ユアタイム』(フジテレビ系)でレギュラーMCを務めた市川は、「(ニュースを)単純化する怖さがあって、わかりやすくしなきゃいけないじゃないですか?すべては伝えられなくて…。でも、それが全てじゃないと知りながらやるのが、いつも怖いなって」とニュースを伝える時、断片的にしか伝えられないので、視聴者が偏った解釈をしてしまうのではないかという恐怖心が常にあったと口にする。
さらに、「いろんな経緯があってこうなっているのに、それを『こうです』っていうのは最後(番組を卒業する)までわかりませんでした」とMCをやっていた時の葛藤を告白。
『ニュースステーション』(テレビ朝日系)で長らくMCを務めた久米は、「それは無理ですよ。新聞でも無理だし、全部伝えるのは不可能だから」とバッサリ。「政治経済のみならず、単純な殺人事件でも、ちゃんと加害者の意見を聞いてる番組ってないから。殺されたほうがどうだこうだって言いますけど、『何で殺したのか?』をちゃんと聞いてる番組とか新聞ってありませんから」とどんな媒体であろうと、ニュースを全て伝えることはできないと語る。
さらに、「やむにやまれぬ理由があったかもしれないじゃない?殺す理由って、ちゃんと聞いてないんですよ。世の中のことって、きっとそうなんだよね。かなり一方的です、みんな。相当な理由がなきゃ、人は殺さないよ」とニュースを伝えることは、どう配慮しても一方的な表現になってしまうと語った。
断片的に表現したほうが伝わりやすく、視聴者を引き付けることができる。しかし、その表現に頼りすぎてしまうと、真実が伝わらないおそれがある。様々な大量の情報が瞬時に更新される今の時代だからこそ、もう一度ニュースの伝え方を考え直す必要があるかもしれない。