前作に続いて、マツジュンと公私にわたってタッグを組むのは、俳優で歌舞伎役者の香川照之。作中では、同じ弁護士事務所に籍を置きながらも反目しあい、時には共鳴する。この上ないコンビネーションを発揮しているが、そんな2人を強固な関係にしたのは、酒。前作では、寝ずに痛飲することもあったようだ。
そもそもマツジュンは、“飲みニケーション”で親睦を深めるタイプ。嵐のライブ演出を担っているため、ジャニーズタレントのステージはもちろん、役者仲間の舞台にも可能な限り足を運ぶ。そして、打ち上げ、三次会と、とことん付き合う。飲食代を負担することも珍しくない。のみならず、その日初めて会った無名役者に帰路のタクシー代を渡したことまであるという。
その舞台は、演出家・野田秀樹の新作戯曲『足跡姫 〜時代錯誤冬幽霊〜』。ドラマ『失恋ショコラティエ』(フジテレビ系)で共演した俳優・佐藤隆太が出演しているため、足を運ぶと、いつものように打ち上げに参加。アツい演劇論を語っていると、気づけば若手役者が終電を逃していた。すると、「これで帰りな」と顔も名前も知らず、その日あったばかりの数名にポンと紙幣を渡した。
マツジュンが酒の大事さを感じたのは、22歳。野田秀樹の脚本・演出の舞台『贋作 罪と罰』を、千秋楽の前日に鑑賞した。さらに、翌日も観に行った。すると、野田から「今日打ち上げだから、よかったら来ない?」と誘われたため行くと、その宴席で主役の女優・松たか子と初めて対話した。仕事での交流がなかった松と、打ち上げでグッと距離を縮められたことによって、酒の魔力が好結果を生むことを知った。
さらに、その二次会では野田が、「2回観て、どうだった?」と聞いてきた。松本は正直に意見を述べ、ダメ出しまでした。すると野田から、冗談ながらもなかば本気で、「演出助手で来てくんないか?」とオファーされた。
映画『バンクーバーの朝日』(14年)のPRで、俳優・妻夫木聡が嵐の番組にゲスト出演したことによって、翌15年、野田作品で妻夫木の出演作『エッグ』の千秋楽を観に行った。このときももちろん、打ち上げに参加。俳優の大先輩である仲村トオルらと親睦を深めた。翌16年には、俳優・森山未來の舞台『VESSEL』を観るため、京都まで遠征。その夜は、森山が参加したキャストの方ではなく、演出家の方の宴席に出席している。
マツジュンの打ち上げ参加率は、99・9%。いや、100%かも……。