この商法にはキャッシュバック付商品販売、金券買取、空売り、買取などが存在します。
このような商法がなぜ、出てきたのでしょうか? 最大の理由は昨年6月に完全施工された改正資金業法にあります。新貸金業法では総量規制がされ、貸金業者で借りられる額がこれまでより少なくなりました。また、専業主婦が借金する場合、配偶者の承諾が必要になったり、総じて審査が厳しくなりました。それとともに、上限金利が下げられました。
これにより、どういうことが起きたというと、今まで多重債務があっても、貸金業者独自の判断で新たな借り入れができて、しのげたのができなくなりました。借りられる額は年収の3分の1までと決められてしまったからです。多重債務者はおおむね、返済するために新たな借り入れをする自転車操業に陥っていますので、新たな借り入れができなくなると困ります。もはや、ヤミ金にでも手を出すしかないのです。
そこで現れたのが、カード現金化業者です。総量規制のため貸金業者ではもう借りることができず、カード会社のキャッシング枠もいっぱいになっている人の受け皿となったわけです。キャッシュバック付商品販売業者は貸金業者ではなく、表向きはあくまで物品販売業者です。従って貸金業者としての登録も不要。クレジットカード会社との取引が可能になれば、即開業できるわけです。
カード現金化業者のほとんどが元貸金業者でしょう。今や大手の消費者金融会社が窮地に陥っている状況ですから、中小の貸金業者は生きていけなくなりました。なかなか貸付もできず、その上儲け(金利)も減ったとなると、食いっぱぐれてしまいます。そこで、カード現金化業者に転業したわけです。
ご承知のように、クレジットカードにはキャッシング枠とショッピング枠があります。通常、ショッピング枠の額が大きいですね。キャッシング枠がいっぱいになっていても、カード現金化はショッピング枠を利用しますから何の問題もありません。あくまで、“販売”ですから、貸金業者にある審査は不要。無職であっても、ショッピング枠に空きさえあれば簡単に利用できます。そこが、カード現金化業者を安易に利用してしまう理由です。
資金業から転業した業者にとっても、多大なメリットがあります。これまでは客の返済管理をしなければならず、貸し倒れのリスクもありました。ですが、この商法では業者はカード会社から入金があった時点で、業務は完了。債務はカード会社にありますから、焦げ付いたら、リスクを負うのは業者ではなくカード会社ということになります。
金券買取業者に至っては、客から買い取った金券をショップに売って換金するだけですから、カード会社と取引を始める必要もなく、誰でも即開業できます。ですから、ヤミ金が転業する場合も多いでしょう。
カード現金化業者の商法では、客側は実質的には法外な金利を払わされることになりますので、通常に金を借りるよりリスクが高いです。利用に際しては、十分な注意が必要です。後で泣きを見ることにもなりかねません。
(ジャーナリスト/落合一郎)