幅数メートルの細長い路地裏のような小さなエリア。土ではなくアスファルトの地面が示すとおり、都心の駅前に児童遊園があることじたい珍しい。しかも幹線道路のすぐそばだ。しかし、夕暮れどきというのに肝心の子供の姿は見当たらず、サラリーマンや主婦ら大人のオアシスとなっていた。
同園にはブランコやすべり台のほか恐竜や犬をかたどった遊具がそろっている。若いサラリーマンは重そうなカバンを恐竜型遊具に置き、携帯電話で商談中。少し離れた遊具には主婦とおぼしき中年女性が座っている。「この児童遊園、大人ばっかりじゃないか!」。心の中でそうツッコミつつ、別の恐竜型遊具に座ってみた。途端、バネでビヨンビヨン揺れた。
荷物を地面に置いてしっかり乗ってみた。若いサラリーマンの冷たい視線を痛いほど感じたが、中年女性は全く無関心。よくよく見たらうたた寝している。乗り心地のほうは、揺れ具合が増してエキサイティングなものになった。
同園が掲げる禁止事項には、野球やサッカー、自転車の乗り入れのほか「酒を飲んだり寝泊まり禁止」があった。大人対策だろう。大人が遊具に乗るのは禁止じゃないのかな…と思っていたら、3人乗りのダックスフント型遊具「ロッキンパッピー」に対象年齢3〜6歳とあった。ためしに手で揺すってみたらバネの反動が大きく、より楽しめそう。さすがに堂々と乗ることははばかれ、残念でならない。
近くの商店街の店員は「大人がよく休んでいるよ。子供は見かけないね」と話した。対象年齢を引き上げた遊具を設置すべきかもしれない。